そのU
グループ・ディスプレイソングフライト Groupe Display Song Flight
 集団的求愛誇示囀飛行
 Display = 求愛誇示 Song = 囀り Flight = 飛行

by HappyChappy 2012,08,02

 繁殖期の鳥たちは求愛誇示、縄張り主張の為のディスプレイ・ソングを行うのが知られている。その方法は正に様々である。オオジシギでは単独或いは複数個体群のディスプレイフライトが観られる。ここでは後者の複数個体群によるディスプレイフライトを解説する。原生花園では快晴の青空の下で単独のディスプレイフライトが高高度で続けられている。そこに隣り合うと思われるライバル個体が入り二個体でディスプレイフライトを行う。高高度での声のやり取りは分かりにくいが真上を通過する際にはある程度の声は確認することができるのです。互いに単独でのディスプレイフライトを続けながら、発する声はジッジッジッ、ジュビジュビジュビ、ジャツジャッジャッなど複雑な声を発している。この場合は多分♀は飛行に参加していないと思われる。二個体か三個体で高高度でディスプレイを続けて何時の間にか、それぞれのテリトリーに戻りディスプレイは休止する。単独ディスプレイフライトはテリトリーの上空で行われテリトリー主張の為である。これは繁殖の期間中繰り返し終夜行われている。その回数は初期に最も多く、長く続けられ、中期そして後期になるほど回数も時間も少なくなり最終的には終息する。集団ディスプレイフライトは本来、♂のグループのディスプレイフライトの中に♀が先頭に加わる。そして期が熟すと♀は草原に着地する。その♀を追って♂も着地してそこでは♀は複数の♂と交尾を繰り返す。これが集団ディスプレイの本来の目的である。集団ディスプレイの形成は♂が低空で原生花園の広範囲を飛翔始めることから始まる。ジッジッジッ、ズビズビズビッ、ジャッジャッジャなど到底囀りとは思いない声である。それは互いに牽制威嚇するかのように私には聴こえる。初めは単独で、そして二羽になり、三羽、四羽で低く広範囲を飛びまわり時には単独でディスプレイフライトを行いながら。いつの間にか♀が先頭を飛ぶ・文献による・そして気運が熟した頃。♀が着地、♂も着地。これらは何度も観察している。そこでは乱婚・一妻多夫・の神聖な儀式が行われる。何度か儀式を重ねた♀は木立の下に粗末な産卵座・営巣をして産卵(四卵程度)する。抱卵が始まる。六月には雛が孵化する。その頃からディスプレイフライトの回数や時間がどんどん少なくなりそして終息して繁殖期は終了する。つまり、集団ディスプレイフライトは原生花園を広く高く低く飛び回る神聖な儀式の場合と単なる各個体間の縄張りを主張する牽制・威嚇・誇示を競い合う、二通りの集団ディスプレイフライトが観察される。というのがこれまでの観察した私の考えです。
 

突然に集団フライトが始まる。

広大な原生花園を広く飛び回る。複雑だが単純な短音・濁音を発して他の♂♀を誘っているかのようです。

 

互いに威嚇・牽制・誇示するかのように複雑な声を発する。ジャッジャッジャッ・そんなに側に近づくなよ・・・・・・ゲッゲッゲッ・お前の方こそ近づくな・・・・何を言ってるのよ、彼女は俺が一番お気に入りだよ・・・・ズビズビズビッ・・・・・ははははは面白い人ね・・・・ズビャクズビャクズビャク・・・・・俺に決めなよ・・・・神聖な儀式があるのよ・・・・・・・

 

時には高く、そして低く続けられる。あまり近くを飛ぶなよ・・・・・・・・・・そちらこそ境界侵犯でしょう・・・・・いやいや実力だよ・・・・・・・・・・・・・じゃ体力勝負だな・・・・・・・・・・・・・・ジジジジジッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゲッ・・・・・・・・ジュビジュビジュビッ・・・・・・・・・・・・と俺には聴こえてくるのです。集団ディスプレイはオス同士の競技大会のようなものです。強いものは何度もメスと交尾するチャンスがあり。弱くても交尾には参加できるチャンスは少ないが必ず来る。そんなチャンスを求めて一日中ディスプレイが続く。

 


白夜・濃霧の中では低く飛び回り、晴天・快晴の青空では高高度でのディスプレイフライトが観られるのが普通です。それでは満月の夜のディスプレイフライトはどうでしょうか?深夜にも続けられるから、普通に続けられていると思います。1週間もノンストップで飛び続けるオオジシギは夜間のディスプレイなんて極めて簡単な事です。

 単独ディスプレイフライト時の水平、垂直移動図に引き続き、集団ディスプレイフライトの位置を水平、垂直図で解説しました。2012,08,14ロンドンオリンピックは閉幕している。

 ディスプレイフライトはいろいろな方法で行われている。通常知られているのは個体A-Eがテリトリーの範囲内で行われる単独ディスプレイフライトです。その単独フライトでは稀に?が続けられる。これは所謂、先に解説した集団ディスプレイとは異なる複数♂によるものである。と思います。暫く続いた複数・個体のディスプレイフライトはいつの間にか終息している。そして、最も重要な集団ディスプレイフライトは交尾という神聖な儀式を伴うものである。単独♂による、複数♂による、集団♂♀複数によるディスプレイフライトがあります。
 ディスプレイフライト、本番奏のズビャクズビャクズビャク、ザザザザザザザーーーーーーッッッッッ。雷様のような風切り音を発しながら急降下する。オオジシギです。外側尾羽は5-6対、この個体では5対で総数16枚です。尾羽を広げると扇状になります。中央尾羽は一番上になる。外側ほど下になり閉じると横から見て中央が一番上、最外側尾羽は下側になる。この急降下の真正面からの画像で分かるように段差があります。この段差で風の切る音が相当な音になるのです。単なる平面的な扇状では多分音は小さいと思います。2009年の画像から。



 



五羽による集団フライト。原生花園を低く、高くディスプレイしながら飛び回る。

 



集団の気運が最高調に達すると先頭の♀が着地、続いて♂も着地する。着地するところ。


 

グループフライトの謎に迫る。

繁殖期の初期はディスプレイフライトが最も活発に行われる。当然の事です。問題は繁殖期の中期、後期のフライトで゛す。何度かのフライトを続けて交尾、受精した♀は営巣、産卵、育雛に入ります。集団フライトは♀の参加で大いに盛り上がり何度も続けられます。次第に♀の参加が少なくなり遂には参加♀がゼロになる。するとどうでしょうか、♂たちは段々とフライトの回数も飛行・ディスプレイ時間も短くなり最後は終息する。ということです。俺は7月の上中旬でもフライトがあるのは何故と思いましたが。何らかの理由、孵化の失敗や育雛の失敗など様々な理由、で繁殖期間中に再度繁殖にチャレンジする♀が居ればフライトは続けられる。とおもうようになりました。再チャレンジといってもその期間は限定されます。SHORE BIRDSによると繁殖期は4月下旬から8月上旬です。これで季節的には納得です。渡りの最盛期は8月上旬から9月上旬ですが、それ以後も遅れて渡る個体も居るのです。7月上旬に巣材を運ぶオオジュリン、ベニマシコを観察しています。既に雛が巣立ちしているのに巣作りとは・・・。何らかの理由で遅く始める個体が居るのですね。2012,08,17by HappyChappyお盆も終わりました。

by HappyChappy 2012,08,02
renewal 2022.05.23
 
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