Common snipe Summer . Breeding Plumage
夏羽・繁殖羽のタシギ

初期・前期

2012,08,31
by HappyChappy

2022.05.15renewal

(C) Birdopia Gallinavi 2012

 

タシギの繁殖期は4-8月になっている。SHOREBIRDS、つまり繁殖期の前には既に繁殖羽に換羽している。と考えるのが普通です。繁殖地への移動時期は3月から5月である。そう考えると繁殖地へ到達前の個体の羽衣は夏羽・繁殖羽ということで間違いではないと思います。タシギは九月に入ると渡来・秋の渡りが始まる。通常では成鳥から渡りが始まり、次いで幼鳥へと続くのである。タシギは渡来・通過・越冬する個体数が多いのでいろいろな羽衣の個体を観察するには最適でもある。幼鳥・幼羽から成鳥までの変化を観察した画像から纏めてみた。

幼鳥・幼羽  ⇒(部分換羽) 第一回冬羽 ⇒ (部分換羽)第一回夏羽・繁殖羽 ⇒ (完全換羽)成鳥・冬羽・非繁殖羽

成鳥・冬羽・非繁殖羽 ⇒ (部分換羽)夏羽・繁殖羽 ⇒ (完全換羽)冬羽・非繁殖羽 
成鳥の夏羽・繁殖羽から冬羽・非繁殖羽への換羽は風切羽や尾羽の換羽を伴うことが観察されます。冬羽への完全換羽の完了は12-1月頃になる。冬羽・非繁殖羽から夏・繁殖羽への換羽は肩羽など部分的に行われるように感じる。つまり、冬の地味なバフ色から濃く明るい印象、肩羽などが変化している。ことが分かります。観察経験より。

幼鳥・幼羽の新鮮な個体は九月から十月に観られる。渡りの途中に観られる個体は幼羽から第一回目冬羽への換羽途中のいろいろな個体が居る。肩羽の上列肩羽から換羽が始まり、順次、下列肩羽へと換羽する。この時点で成鳥冬羽との区別は困難である。と言われている。

第一回目の冬羽に換羽が終了するのは12月から1月頃と図鑑には書いてある。この時期に観察したいと思っている。他のジシギでも同様な換羽すると思われる。
しかし個体差によりかなり遅い個体が居る事も事実です。最近は早生まれ、遅生まれという概念で区別している。

年が明けると越冬も本格的になり正しく冬羽(第1回冬羽、成鳥冬羽)の時期になる。節分、立春が過ぎて啓蟄の頃にはあのバフ色の羽縁は心持明るく濃くゴールデン系に変わる頃である。三月になるとタシギたちは移動が始まる。個体差により換羽の程度も様々である。三月の沖縄はケラマツツジ゛が咲きヒマワリが満開の季節です。越冬していた個体群はどんどん渡りフイールドからタシギは減少する。もっと南で越冬したタシギたちは北上の途中に立ち寄る。

既に四月下旬になると個体数は極めて少ないがぼつり、ぼつりと畔で日光浴するタシギを観察することができるのです。畔には小さな花・
タガラシの花が咲き乱れている。暑くなったが爽やかな風を受けながらの観察は心地よく感じる季節の到来です。

残っているタシギもGW明けるとほぼ観られなくなってくる。
関東地区のマイフイールドではタガラシの花の咲く田んぼに立ち寄るタシギが多くなる。都市郊外で越冬するタシギは11月から4月が安定して観察されるが、四月に入ると北上するタシギが増えてくる。マイフイールドで越冬した個体が冬羽から夏羽に換羽が始まっているのか完了しているのかは未確認です。

久しぶりに五月上旬に北上の途中にタガラシの咲き乱れる郊外の田んぼに立ち寄ったタシギの個体は所謂、夏羽・繁殖羽ではということに気が付いたのです。これまでは繁殖地に到着した個体が夏羽・繁殖羽という認識でしたが、鳥たちは繁殖期の前が一番輝く時期でもある。ということは個体差はあると思うが四月には既に夏羽・繁殖羽というのは間違いでは無いのでは・・・・。ジシギ観察を始めた頃2004-2005-2006年には羽縁が黄金色は夏羽という識別でした。これが4-8月ならある程度理解はできるのですが・・・・・。
どうして9-10月に夏羽・繁殖羽が?というのがありました。兎に角、綺麗な羽衣は夏羽という認識、実は間違いと気が付くまでそんなに時間は要しなかったのです。ジシギは一般的に繁殖期にはディスプレイ・フライトをします。日本のジシギは全て該当します。そんな繁殖期を過ぎた個体が綺麗な夏・繁殖羽である筈がありません。

つまり、ジシギは繁殖期の初期或いは繁殖期以前・直前では綺麗な繁殖羽です。オオジシギで観られるように次第に夏羽・繁殖羽は退色、擦り切れ、脱落などを伴い初期の綺麗な羽衣は全くの変貌・ディスプレイフライトの過酷さ・をするのです。ですから、繁殖期・中・後期では既に夏羽・繁殖羽のイメージとは程遠い羽衣になっているのです。夏羽でも冬羽でも初期・換羽完了直後がもっともフレッシュな羽衣が観られます。時間の経過と共に退色・擦れ・脱落が伴うのが通常の変化と思います。

 

2012,05上旬、埼玉県、タシギの夏・繁殖羽(第一回夏羽かも?)第一回夏羽と夏羽、冬羽も同様に識別は今後の課題です。背面は茶・黒が多く濃く肩羽の羽縁は綺麗に整っている。冬羽・非繁殖羽では全体的にバフ色が強く淡色に なるのが普通である。

A-C埼玉県、2012,05月上旬

個体A


 個体 B


 

個体 C


2022.05.15追記、
夏羽は明るい茶褐色になり頭側線内に明るい斑点が多数目立つようになる。艶やかになる。そんな特徴がはっきりと認められます。斑点は個体差・冬羽では、が大きいです。しかし夏羽では明らかに変化が認められるのです。肩羽羽縁のバフ色は濃い薄いは個体差、赤味・茶色が強いか否かでも変化する。

 

個体 D

埼玉県2006,04,30

個体 D

埼玉県2006,04,30


 

個体 E
埼玉県2006,04,30

夏羽・繁殖羽の初期の個体は背面や後頭部、顔などが明るく赤茶色が濃くなる。冬羽・非繁殖羽は全体的にバフ色・汚れた白・で地味な色になっている。秋の南西諸島では幼鳥・第一回目冬羽へ移行中の個体でも茶赤色の濃い個体は居る。タシギでは一般的に夏羽・初期は赤茶色が濃く明るくなり、冬羽では上の個体のように地味なバフ色が普通です。2012,09,11追記

 

個体 F

神奈川県、2010,01月下旬

冬羽・非繁殖羽

1月下旬のこの個体は冬羽で間もなく夏羽に部分換羽すると思われる。画像は全て色調整をしていません。夏羽と冬羽の色彩変化は分かりましたか。

 

田植えの遅い田んぼにはタガラシの花が咲き乱れている。そんなお花畑に北上するタシギたちが羽を休めている。一羽、二羽、三羽、・・・・・・十羽以上もいる。神経質な警戒心の強いタシギは観察者の俺に気が付いて飛び立つ。ジェーーーーッと鳴きながら体を左右に傾けながら次第に高度を上げて旋回する。又一羽、・・・・飛び立つ。数羽が飛び立つ、双眼鏡で追うと次列風切り後縁が太く白く見える。声もハッキリとシャガレ声で長く伸びて聴こえる。遠くで円を描くように方向が変わる、そしてこちらにどんどん近付いて来た。あれれ・・・・・、元の場所に又降りた。そんな経験有りませんか。タシギを観察していて二番穂に隠れていた個体が飛び立つ、又飛び立つ、その後は個体群が二羽か三羽程度では一羽が飛ぶと残る個体も全て飛び立つ。のが普通です。ところが、もう少し多い群れでは一羽、二羽、三羽、飛び立つ。暫く様子を見て丁寧に二番穂の間を丁寧に観る。居る居る、もう少し残っていることが多いのです。但し、数羽が飛びだした時点で観察者自身はフリーズなどカムフラージュする必要はあるのです。そうでない場合には全てが飛び出してしまうのです。お試しあれ。2012,08,32 by HappyChappy  BlueMoonて何?珍しいって事です。

 冬羽・非繁殖羽は別項を参照ください。
 (C) Birdopia Gallinavi 2012
 Golden Snipe Gallinago Aurum  キンジシギ 黄金地鴫
 2022.05.15renewal
 15年以上前には四月末に市街地から最も近い年中水田にタシギが越冬して夏羽まで観察することが普通でした。この画像から容易に想像できます。あれから15年の経過で環境の変化、都市化や道路の拡張などにより田んぼはどんどん減るばかりです。でもそれだけでは無いです、地球温暖化の影響でしょうかタシギたちは早々に、夏羽を待つことなく旅立ってしまうこの頃です。勿論、少数は夏羽を魅せてくれる個体も居ますが以前に比べたら数は激減しているのです。タシギたちが安心して暮らせる自然がいつまでも残る事を祈るばかりです。
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