Gallinago stenura Pintail Snipe
 ハリオシギ・針尾鴫

 2013,03,11-04,25までの一ヵ月半、沖縄本島北部でジシギの越冬と春の渡りを楽しんだ。神様からの贈り物を拾い観察したのでまとめた。

2013,05,20
by HappyChappy

 Golden Snipe Gallinago Aurum キンジシギ 黄金地鴫 renewal2022.05.20
 ジシギの特別な執着心が芽生えたのは舳倉島でのハリオシギの尾羽の見本を見た頃だと思う。それ以前はタシギ、北海道のオオジシギ、冬のアオシギくらいの識別である。その後、チュウジシギ・関東の地元・江戸川流域の水田地帯で見るようになる。しかし、ハリオシギは関東での観察例も極少数ある程度でした。その後いろいろと調べると西地区、対馬、沖縄の観察例が多い事に気が付く。そして南西諸島の旅が始まった。SHOREBIRDSのジシギを一語、一語訳しながらも全体的な意味不明な日本語となり今でも当時の翻訳は残っている。そして時折修正しながら、観察により得た知識がSHOREBIRDSの翻訳に相当役立っている。一部は意味不明のものもある。地鳴きや囀りは日本人的発想と欧米人は全く異なりそのままの音を訳すととんでもない事になる。ハリオシギの尾羽、外側の針尾は特別な幸運の下では観察される事がある。と記載されている。見本では無い生態での観察と撮影は通常相当な困難さを伴います。ハリオシギを至近距離(10m以内)で観察、撮影するチャンスはそんなにあるものでは無いからである。至近距離でハリオシギを見つけてもこちらが観察を始めると同時に気が付いて隠れる、逃げるが当たり前だから。そんなハリオシギを何度も何度も観察を続けることで、稀には愛想の良い個体との遭遇することがある。しかし、愛想が良すぎて近すぎて観察、撮影不可ということもある。適度の至近距離で繰り返し羽繕いなどを繰り返し、尾羽が手前或いは横・左右どちらでも良い、場合により至近距離でこちらを向いて、これはある程度警戒しているのかも知れない。そんな時の羽繕いでは尾羽、外側尾羽は全く見ることはできない。そして条件が揃い、尾羽を手前側にして伸び、羽繕い・尾羽を始める。伸びはほんの一瞬の動作である。翼の伸びをする。カメラは同時に連写する。フアインダーで尾羽、外側尾羽を確認できる程の動作は極めて稀であり、そんな所が見えたら確実に写っている。一瞬を切り取り、その日の画像を整理する時にパソコンで開くとくっきりと尾羽、外側尾羽が写っていることがある。あーーー、あれはハリオシギだったんだ。やはりハリオシギなんだ。と思う事がよくある。ビギナーズラックという言葉がある。初めての望遠レンズを背負い明治神宮に出かけた。30年前の事です。オオタカがオシドリの♀を狩る場面を観察・撮影した。こんな場面は30年間でそんなにある訳が無い。初めての沖縄ジシギ旅ではマニュアルフォーカスで尾羽の撮影に集中した。その集中力は今はそんなに持続できない。当時の画像を何度も繰り返して見る度に新しい発見、とんでもない状態で尾羽、外側尾羽が写っていることがある。今では、どのような場面、行動で尾羽、外側尾羽が見えるかがほぼ分かっているからその場面ではできるだけ連写しているが、その場面を見過ごしてしまうことの方が多いように感じる。観察の集中力の持続は、観たい、撮りたいという意欲の表れだから。今では、撮ることだけには執着せずに観察を楽しむ方に傾いている。ということでビギナーズラックでピンテイルが撮れても、その後の観察でハリオシギを見つける事さえ困難でありそれを克服するには相当な観察、日数、時間が必要であるのは言うまでも無い。今回の旅では、何度かハリオシギに出会い、尾羽を見る機会もあった。当然、撮影もと思うほど撮れてはいない。しかし、全く無いことは無いからそれなりの成果はありました。何年経ってもハリオシギ、チユウジシギと堂々巡りすることがある。ジシギ観察はそれで良いと思っている。100%の確率なんて神様しか分からないから誰でも迷い、勘違いはあるから。ひとつでも新しい個体を識別して識別眼力を増やすしか無いのです。現場、フイールドではいつもあやふやな答えだけが独り歩きしている。旅の半ば頃に、いつものように早朝、夜明け後に開始するのが常です。前日に会ったハリオシギやチュウジシギの現場、フイールドから始めるのが俺の方法です。昨日はハリオという判断だが、果してそうなのか、そうでは無いのか、を確かめるという作業もある。なによりも手っ取り早くジシギに会える事になる。こうして繰り返すと、この個体は越冬個体か或いは渡りの個体かなどが見えてくるのです。同じ場所てで何度も出会えるのは越冬個体の可能性が高い。一方では渡りの途中の個体は一日だけ、一回だけという事が多いように感じる。越冬個体は場所の移動、その場所内でも多少の移動はある。しかし、特別の理由の無い限りそんなに遠くに移動はしないのが多い。渡りの個体は複数日数滞在するのでは、という疑問がある。当然これはよくある事実です。越冬個体は何度も観察しているので、場合により個体識別になることもある。羽衣が特徴的だと覚え易いですがそうでも無いこともある。幸いにして越冬しているハリオシギ、チュウジシギは無数に居る訳ではない。つまり、秋の渡りのように次から次に個体が入れ替わるという事が少ないのです。ある朝に農道に鳥が一羽落ちていた。??しながら通過したが・・・・・・・・・・・・・・停車して農道からどかしてやろうと向かった。手に取る前に、顔を見るとハリオシギだと直ぐに分かった。この個体は当ブログのトップページに使用ている個体と同じような個体でした。そして側溝の空き地に放置した。その後観察しながらその場所を何度か通過しながら手に取り、尾羽が不自然な事に気が付いた。
尾羽が無いから換羽中だ。と思いこみ、それで外側尾羽も無いのだ。と思った。どうしても納得できないので、この個体の撮影を始めた。全体、裏表の翼など、そして、ついに外側尾羽の痕跡を見つけたのでした。
 様からの贈り物 2013,04,07早朝、沖縄県

色彩・体形・顔などはハリオシギそのものです。未だ冬羽の後期のようです。

翼上面、翼の先端部は丸いと感じる。次列後縁は目立たない。

  翼下面、所謂淡色では無い。


 

中央・中間・尾羽は脱落している、換羽中かも知れない。

外側尾羽・針尾は七本ある。未だ伸びてない。

 初めに尾羽を広げたら二三枚しか認められなかった。外側尾羽を確かめてみると初めは見つけられなかった。不思議だなーーーと思いながらも、換羽中と思った。それでも納得できなかったので詳細に観察してみた。段差、段差と理屈では知っていましたが、それほどまでに段差かという驚きでした。この個体は外側尾羽が脱落、事故或いは生理的な自然換羽と思われるが、尾羽は通常夏羽から冬羽への換羽時に、年に一度のみ、行われると理解している。外側尾羽は伸長途中である。換羽についてはいろいろ解説されている。しかし、冬羽から夏羽への換羽は部分換羽である。というのが一般的である。今回の旅ではいろいろな理由・事故脱落、換羽により初列、次列、三列風切りの換羽中が観察されている。分からない事が沢山増えた様な気がする。
 


ハリオシギの伸びによる外側尾羽、典型的な段差のある個体です。連続的に伸びを繰り返した、いろいろな角度で尾羽が見えました。外側尾羽が細く見える、見えた、だけではハリオシギとするには不十分です。しかし、針が一枚、一本でも確認できればハリオシギです。違いは何かお分かりですか。細く短いです。

 図鑑的な真横からの一枚。針が一本見えている。このような顔を覚えておくと次は直ぐに分かるようになる。経験の積み重ねです。下半身が短い寸詰まり体形。頭が大きく目も大きい、嘴は短め。


 タシギの第一回冬羽と成鳥冬羽を確かめる為の旅でしたが、三月の上旬では遅すぎたようです。冬羽を観察するのは12月頃にいろいろな個体と出会えると思えるようになりました。成鳥では繁殖羽・夏羽、非繁殖羽・冬羽と羽衣が変化する。幼鳥は幼羽から第一回目冬羽、第一回目夏羽、第二回目冬羽から成鳥と同様な換羽になる。第一回目夏羽でも繁殖羽であり、繁殖を行うのかは分かりません。通常では繁殖すると考えるのが普通です。機会があれば冬季に出かけて観たいと思うこの頃です。
2013,05,20by HappyChappy
Golden Snipe Gallinago Aurum キンジシギ 黄金地鴫
renewal 2022.05.20
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