オオジシギ
 大地鴫生態写真集
Latham's Snipe Gallinago hardwickii

(C)BirdopiaGallinavi 2014
取材地、北海道・東部原生花園 2014,06
by HappyChappy

 

手前が♂、奥が♀です。オオジシギが地上でもいろいろな場所でディスプレイ、囀りを行う。この場面はオスは声を発すること無く、翼を半開きにしながら♀の前でディスプレイしていた。繁殖期の鳥は神経質で警戒心が強い。オオジシギも非繁殖期でも彼らの習性として、攻撃的ということは先ずあり得ないです。逃げる、隠れる、カムフラージュすることで彼らのDNAは永遠に繋がって行くのです。



♀にディスプレイする♂。この時の動きはスロウモーションを観ているようにゆっくりとした動作で暫く続いていた。ペアで居る所を見つけただけでも、飛び立つほど彼らは警戒心が強くてこのような行動を至近距離で観察することは非常に稀な事です。

 


♂は姿勢を低くして♀の気を引いている。♀の嘴は異常に長く見えませんか?

 

右が♂で、ソングポストに乗っている。個体差かも知れませんが、ここの♂の背は♀の
背よりも濃い・黒いです。

 

小高くなっている土塊の上でディスプレイをする♂のオオジシギ。



 


暫くディスプレイソングをするとソングポストを降りて地上でのディスプレイを始めた。

 

縄張りの中のソングポストに乗りディスプレイする。

 

白夜のような深い霧雨の早朝に路側帯の草地に採餌に降りたが途中でもディスプレイに余念がない♂。

 

♂がディスプレレイフライトを終えて着地した。気が付いたら側に♀が居る事にが付いた。どちらがどちらかは不明である。ピントを合わせていた方が♂と思われる。画像を拡大すると嘴の長さ、背の濃さ・黒さに差があります。


 ちょっと一休みです、オオジシギも尾羽は平面的に観ましょう!


 

♂の尾羽、16枚、T-5の外側尾羽の平面的濃さ・黒が明確、ところが外弁の縁はほぼ連続した白色・淡色です。真横から尾羽を水平的に観察するとほぼ淡色・白色のように見えます。淡色とか暗色・黒色なども尾羽は水平的観察が基本です。こんな些細なことの積み重ねが重要になるのです。今後のヒントになれば幸いです。別項目で尾羽と年齢を考察しているので参照ください。



T1-3、T1中央尾羽、T2-3中間尾羽、T4-8外側尾羽。

 

牧柵でディスプレイする♂

 

突然に伏せた、上空に猛禽・オジロワシがゆっくりと通過して行く。動かないとただの棒としか思いないでしょう。所謂、フリーズという生態行動の一部です。ジシギ観察ではどの種でも共通に観られます。

 

個体識別が可能な身体的特徴が有ります。分かりますか?第二趾が変形して持ち上がっている。来季又会えるかな?これくらいなら生活には支障が無いと思います。来年も会いましょう、それまで俺も頑張るぞ!!!お前も頑張れよ!

 外側尾羽の水平的観察

上の解説の様な一枚が見つかりました。外側尾羽が淡色に見えませんか?誰もが疑い無いですね。しかし、上の解説を良く理解しましょう。

 

繁殖地では人工物・電柱・牧柵・漁船などなどに止まりディスプレイする事が多いです。原生花園は草原で小高い樹木は極めて少ない。そこで人工物の利用が多くなるのです。勿論、草原でも近くに樹木などがあれば当然利用するのです。しかし、10年も同じ所に通っていると人工物の空抜きではなかなか良いものが撮れないのです。それは道東はなかなか青空になりにくい季節なんです。それでも青空になればなんとか生態写真として使用可能になるのです。近すぎるとお腹ばかりで、遠いと小さいのは当たり前です。



 

青空がでれば忙しくなる。フライトも電柱も、風景もあれもこれもと
写すことになる。快晴の青空よりも適度に雲があると尚良いのです。

 成鳥・♂・夏羽・繁殖羽、尾羽16枚外側尾羽T-8,7,6,5,4T-1,中央尾羽T-2,中間T-3.中間


フライトの尾羽は露出が難しいけれども、白黒なら多少の露出ミスでも明らかです。

 


どうせ撮るなら芸術的な一枚と、カメラを志す者なら誰もが思っている。今季はこれが精いっぱいの努力賞でしょうか?なかなか良い風景を探すのは容易な作業では無いのです。センダイハギの黄色とノハナショウブの青。

 

六月中旬になる頃、雌は採餌をどうしているのだろうかと気になる。お天気の朝だった。覚めると空は明るく太陽が顔をだしているる。しまった、と飛び起きて観察地に向かう。すると餌場所と分かっているのに、油断をしながら駐車場に入る。するとオオジシギの姿がちらちらと見え隠れしていた。一旦、車を通過させた。そしてゆっくりとその場所につけた。するとペアだったのです。カメラを構える、テレコンが付いていた。それでも一枚撮ってから、そして外している間に、気が付いたオオジシギはさっさと繁みに隠れてしまったのです。手前は♂、奥は♀です。黄色い花はクロガラシかも知れない。早朝や昼でも時折雌は縄張り内の採餌場所に来るのです。しかし、オスはディスプレイするから直ぐに気が付くのですが、雌は忍者のごとく警戒心が強く人目には触れないのです。誰も居ない早朝や夕方に纏めて採餌していると思われる。その間オスは代わりに抱卵することは無いと思われる。
 

ガスがかかっていた。そんな日は雨にはならない。それでも晴れるのか曇るのか・・・・・・・。時折太陽の場所だけ明るくなる。そしてオオジシギは空高くディスプレイフライトをする。太陽の左側の黒い点はゴミではありません。拡大するとオオジシギそのものです。こんなビッグチャンスは一月の間に何回あるだろうか・・・・・・・・。拡大すると分かります。写真集には絶対入れたい一枚です。

 
道路には高速度で通過する車ですがオオジシギは生まれ育ったホームタウンです。車には全く警戒するすねことはありません。車とオオジシギは僅か1-2mしかありません走る車は警戒せず、止まる車は危ないと分かっているのです。ここの芝地は大切な堂、採餌場所なんです。
 

路側帯の芝地・草地は適度に除草される。オオジシギは草原の鳥ではあるけれど、適度に除草された草地は絶好の採餌場所になっているのです。ディスプレイが無ければ絶対に見つけるのは不可能です。もし、出会いがしらに遭遇しても撮影することは不可能です。生態行動観察からその先を読みとることができれば撮影可能です。何か捕食しました。ディスプレイの忙しいなか、採餌は素早く済ませることが多い。それを一日繰り返すと彼らの生活・生態行動がちょっとだけ分かるようになるのです。ディスプレイフライトが突然静かになる、よく観ていると草地に降りて採食する。その場所が分かれば来るのを待つだけです。結構、人を寄せ付けない。つまり警戒心は強いのです。彼らも採食し易い草地を選択する。何年も通っているとその場所が分かってくる。そんなところで何日も滞在する。それでも行く場所は何か所もあるから一週間も滞在するのは長い方になる。

撮影機材、ニコンAFS500mmf4,300mm,18-200mm,150-500mm&D300S,D7100,D90,D300,V-1,コーワTSN884&30倍、ニコンクールピクスP310,カシオエクシリムなど
 あとがき

今季も一通り道東のオオジシギを観察することができました。今季の目標はフライトの青空でした。それは今年に限ったことではありませんが、この時期の道東は霧が濃く、白夜のような日々が続くのです。限られた日数の中では止むなく移動しなければならないなどの制約があるのです。ですからあまり移動せず納得する天気になるまで同一場所で観察するのも一の方法です。来年以降はそれらを十分に考慮に入れて撮影・観察場所を選定したいと思っているのです。今年の観察結果を総括すると今まではフライトなどディスプレイ中心の観察でした。それがペアのテリトリー内の餌場所、ソングポスト、地上のソングポストなどなどいろいろとチェックしてペアの行動・生活を十分に知ることから始まるのです。すると♀にも意外と遭遇するチャンスが有るのです。そんなことから今季は地上での生活・生態の一部を観ることができたのです。次回はもっともっとその生態が解明、雌の特徴を撮ることが目標となりました。最後にフライト、イコール尾羽ですからそれらの枚数、淡色などがもっともっと明らかになればと自分自身の課題としているのです。今季は幼鳥の尾羽、換羽サイクル、年齢にも考察しています。これらが正しいと分かるまでは当分先の事でしょう。自分自身で証明したいと思うこの頃です。by HappyChappy2014,07,08台風8号、最強で最大の勢力、特別警報発令中。
(C)Birdopia Gallinavi2014

2022.05.24 renewal

 Golden Snipe Gallinago Aurum キンジシギ 黄金地鴫
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