2013年と2014年春の渡りをまとめてみました。
春の渡りと夏羽のジシギ
四種類 タシギ、ハリオシギ、チュウジシギ、オオジシギ

(C)Birdopia Gallinavi  by HappyChappy 2014,05,12

2021.10.01校正

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 越冬ジシギと春の渡りの夏羽のジシギたちを長期に渡り観察した。2013,03,09-04,27、2014,03,01-05,01の期間、沖縄本島の中北部の田園地帯で観察した。三月の上旬までは越冬タシギが多く残り、チユウジシギが少数、ハリオシギが極少数越冬している。タシギはどんどん少なくなり限られた場所での越冬残留個体が少数四月下旬まで残っている。三月から四月は鳥たちの渡りが始まる。ジシギも同様である。越冬個体と渡来・北上個体の違いは幾つか感じられる。その一つ、越冬場所である。かなり長期に渡り同一場所に留まっているのが観察される。反対に、渡来・北上個体は通常では安心・安全が確保されないような場所、つまり、越冬個体が殆ど利用しない場所、こんな場所というところに出現する。しかし、これは早朝とか雨天とか限定した条件の下である。早朝には外敵、人、車、犬、カラス、マングース、猛禽・サシバ、ハヤブサなどが出現すれば即座に移動、あるいは安全な場所、休耕田など草地の多い場所に隠れてしまうことになる。渡来・北上個体は数日から一週間程度で観られなくなるのが普通であるが、それ以上の滞在は未確認である。秋の渡りと春の渡りの違いがある。それは秋は幼鳥が圧倒的に多く観察され、その中に成鳥が観察される。秋の渡りは個体数が多いので観察は極めて簡単でいろいろな個体に出会える。そして幼鳥の為かもしれないが警戒心は個体差は感じられるが至近距離での観察が簡単にできる。しかしながら観察にはある程度の創意工夫が必要になる。できるだけ体をカムフラージュするか車などを利用するのが良い。越冬と春の渡りは秋とは全く異なり種、個体差などにもよるが全体的に警戒心はかなり強く、個体数が圧倒的に少ない、或いは居るには居るのだが見つけられない。つまり簡単には人目に触れる場所には出ないなどの理由により、見つけても遠い、隠れる、飛び去るなどは普通である。鳥が少ない時の条件は晴天、風が吹きつける、周囲の鳥の気配は全く掴めない。こんな条件では鳥・ジシギたちも安心して採餌、休憩するのは命がけであろう。反対に鳥が居ない、鳥が居ない。という日が何日も続く、そして雨になる。するとあちらこちらは湿地になり、路側帯も、ひび割れた休耕田にもジシギが降って湧いたように出て来る。ことは経験から分かっている。そんな日は無理せずに別の行動、ヤンバルで山の鳥その他を楽しむなど気分転換しているのが最良です。特に、渡りの時期は前線通過などによる暴風雨により鳥たちは止むなく着陸させられる事になる。今回も四月下旬に前線が通過した。これは南西諸島から北海道まで日本列島を通過したのである。そして、この春の渡りのピークが来たのです。三月はタシギが渡去・北上し、チュウジシギが渡来し始めるそれでもチュウジシギが一日一個体観察出来れば良い方である。四月に入るとハリオシギが観られるようになり、ハリオシギが多くなり、タシギは圧倒的に少なくなる。その後は雨になってもジシギの個体数は増える事はなかった。そして念願の道東で出会う、夏羽の個体との出会いは一つのドラマであった。夏の道東で出会うオオジシギはあの場所でしか出会うことは無いから時期が異なると俺には全くの別種のように思えるほどの換羽による変身である。七月に入るとオオジシギはほぼ繁殖期も終盤になり、ディスプレイフライトや囀りなどは極端に少なくなる。そして早い個体は肩羽の上・背から換羽が始まり冬羽に移行を始めると同時に渡りが始まる。関東では七月上旬から南下する個体が観察され始める。一昨年、2012年秋、昨年2013年秋の田んぼの観察でオオジシギの成鳥と幼鳥・第一回冬羽換羽中を観察した。昨年はチュウジシギだけの観察でオオジシギとは出会うことは無かった。これまでの経験で春の渡りで違和感のある個体、直感的に何かしら感じるものがある。これらのことが何度かある。記憶では昨年も二度の経験、今季も二度の経験でした。昨年のデータは未検証なのでコメント不可、今季は二度経験している。今季のデータを詳細に検討して見た。一回目、湿地・葦が刈り取られた休耕田で、一羽のジシギが背を低くしながら採餌しながら移動していた。直ぐに見つけたが、極めて警戒心が強くてちょっとした木立や草の裏に隠れるなどしながらこちらの様子を窺っているのがプロミナーの観察で手にとるように明らかである。距離はある程度あり、デジ一眼の撮影可能な距離である。次第に葦の裏側になり、出てきても草の陰などに隠れてしまい。観察は出来ない。その日の画像の検証では色彩が濃い、雨覆いも顔のパターンも道東の夏羽に比べたらかけ離れていると判断し、違和感はあるがやはりチュウジシギと朱色でマーキングしていた。2014,04,20午前から午後。第二回目、2014,04,25朝七時から十一時頃までの観察。20日過ぎからジシギが突然増えたので朝のスタートをちょっと早めていた。多く観られる場所に直行した。そして遠くで休んでいる一羽のジシギが居た。ここからドラマの始まりです。田芋の畑と現地では言う、その畔際に一羽のジシギが後ろ向きで休んでいた。ジシギが背中に嘴を入れて休むあの姿勢である。この姿勢ではほぼ種の特定は不可能である。今年は気合を入れてジシギが観えている間は種の特定をするまで観察する。が目標でした。ああ・・・・ーーータシギだとか、チュウジだとかの特定に至れば、遠ければ一応一枚か二枚はシャッターを押すのが常である。その時の一枚がある。上の説明の通りであり、特定は不可であった。その個体は時々、警戒の為か顔を出しては周囲を見回し、外敵の警戒をしている。観察者への警戒では無いことが分かる。しかし、この時既にあの違和感が感じられていたのであろうか、なかなか種の特定に至る特徴が見いだせないからなのか時々観える顔に何となく感じていたのです。随分とシンプルな顔立ちで淡色に感じられた。そして側面の雨覆いもやはり淡色である。側面から観ると何とあの道東の夏の個体のオオジシギと瓜二つである。違和感はどんどん確信にかわりそれが更に納得に変わった瞬間である。そのままの個体が今、ここに居る、高鳴る心を落ち着けて、自分自身に平常心と言いながらデジスコ、V-1と望遠を準備してその時を待った。一目観た時からその個体は渡りの個体と分かった。深夜・早朝に渡来して極めて疲労困憊状態である。休み、時々畔を突くが本気では無い、ちょっと突いては休憩する。それを繰り返し、一時間、二時間、三時間が経過する。休憩を続けるが本気で採餌も続ける、そして芋田の畔の側面を突きながら俺のほうに一歩、又一歩と近づいて来る。途中でその個体は確信していたから、後は確実な画像、側面からの平常心、俺も相手も同様にと願いつつ近づくのを待ち続けた。朝からの小雨は段々小降りになり農家の作業者もちらほらと目立ち始めた。畔から土手に上がり周囲を警戒する。その時が全身撮影のチャンスとなる。畔の下では顔と上半身しか観えないから。三時間を過ぎてから採餌が活発になった。そしてあっという間に近づいて来た。そして畔に上がり周囲を警戒していた。その時、芋田の作業者が来て作業を始めた。あっ・・・・・、時間の問題だな、と思った瞬間、オオジシギは警戒の首を伸ばしそしてゲッと一声飛びだした。隣の休耕田の草地に降りたように思う。その後も何度もチェックしたが再会することは無かった。その日は念入りに画像処理をしてみた。初めの一枚から、最後のカットまで見た。その個体はやはり何度も書いているように道東の夏羽と同様な個体である。これなら俺にも簡単に分かる。誰に識別を頼む事無く自力での観察・撮影に至った瞬間である。そして第一回目のフイールドノートと画像を再点検したみたら、なんとこれも色彩は異なるもののプロポーションなどからオオジシギである。と見なおしたのである。この個体は寧ろ冬羽のように換羽直後のフレッシュな羽衣の個体である。これも何度も悩んだ末に、やっと少しながら見え始めてきたのである。このように何となく違和感を感じる個体は何かしら変な個体である。それが何かは個々に異なると思うがこの春にやっと二種類の春の夏羽・初期のオオジシギに出会えたのです。今季のチュウジシギでは昨年と異なっていた。それは昨年の画像からは本州を通過する所謂暗色、黒色タイプの個体が殆どである。しかし、今季はその個体は圧倒的に少なかったのである。その為、昨年はチュウジシギとハリオシギの識別は全く問題は少なかったのです。今季はそのような個体は少ないのですが、第一印象からチュウジシギ、後々画像などから尾羽を見せつけられて、あれれ・・という個体が割と多く感じられた。これを俺の個人的な癖でもあり、過去の観察例の記憶から即、判断可能な個体では無く、情報が未確認で且尾羽を見て無い個体を取り敢えずチユウジシギとする。という原因がそうさせるのです。俺の記憶なんてものはたかが知れていて即○○なんて結論がでるのはそんなに多くは無い、反対に種の個体変異が大変多いと言う事でしょう。この時期の個体はほぼ換羽は完了していて夏羽が普通であるが、なにかしらの事情、栄養不良、発育不全、怪我など明らかに換羽が遅れてた個体も少なくは無い。それらは小さく痩せていて如何にも遅れていると感じる個体でした。沖縄では個体数は圧倒的にタシギ>>>チュウジシギ>>ハリオシギ>>>>>オオジシギです。特にオオジシギでは越冬地のオオストラリアを2月から3月に移動し始め、日本には4月、(与那国島)頃に渡来と記載されている。4月下旬には道東に渡来している。秋と同様に渡りの期間は本当に限られて短期間と感じる。4月に入るとタシギもチユウジシギも少なく反対に何処でもハリオシギという感じである。これもこの時期ならではの光景だと思われる。渡りは天候、気象条件、風向きそのたいろいろな条件で大きく変動するのだろうか?何れにしても今季は鳥の種類も個体数も昨年に比較して少ないことに気が付いている。一過性と思いつつも鳥たちが激減していることに後から気が付くのである。
 以下の個体・画像は2014年春の渡り・北上の個体と思われます。

夏羽に換羽済みのタシギ


 肩羽と雨覆いなど明るいバフ色の夏羽に換羽済みの個体です。このように肩羽の羽縁がゴールドメタリックである個体は分かり易いのですが、反面、本来の汚れた白色の羽縁の個体も多く居るのです。羽縁の幅・広さもいろいろで♂♀、第1回夏羽或いは第二回目の夏羽などか、或いは個体差なのか不明です。このような個体は五月上旬頃にも関東でも観られることがあります。

夏羽のタシギ、羽縁は所謂バフ色です。


 ハリオシギ夏羽


 この個体は頭側線内のバフ色・明るい褐色の斑点が極めて目立つ個体であり、この特徴は春・夏羽のハリオシギの特徴である。しかし、全ての個体がそうでは無いの要注意です。ハリオシギ・同上個体の頭部拡大・頭側線内の明るい褐色斑点 、ハリオシギの繁殖羽では頭側線内の斑点はかなり目立つのが普通です。2022.05.23追記寸詰まり体形です。

春の渡りでこの顔を見つけたら迷うことなくハリオシギです。

 チュウジシギ夏羽

三月下旬なので渡りか越冬かは不明だが、何度も出会った個体です。直感的には越冬個体とこの時期3-4月の越冬個体は換羽途中、肩羽だけ済んでいる、が多く観られる。そして渡って来る個体はほぼ夏羽に換羽済みの個体が多いように感じられた。

 ドラマの始まりです。

以下は沖縄本島でのオオジシギ夏羽・初期 2014,04,25、早朝から午前中。

 周囲の環境にもご注目ください。いも田の畔です。敢えて環境を入れている事に意味が有ります。
畔の下でも何となくそれと確信していた。


 道東で観る夏羽・繁殖羽の個体と全く同様な個体です

 下の個体は俺のような初心者でもハッキリと道東の個体と同じタイプと分かるので筆者よりも経験のあるベテランなら尾羽は不要と思います。雨覆いの淡色、顔、目の位置と大きさなど、標準的なオオジシギです。



 念の為に尾羽の画像を一枚。


 観察中にオオジシギと確信していた。すると観察中に尾羽を開いたのをはっきりと観た。そうか、やはり証拠画像が必要だと思い、その後は連写モードで何度かその瞬間を撮る。 この一枚はチュウジシギを否定する尾羽です。淡色に拘らず枚数、少ない、を観るのが正解です。外側尾羽の枚数や幅も広いことが分かる。2022.05.23追記

中央・中間尾羽・褐色斑は3-(4)枚、外側尾羽は3枚か多くても4枚で合計、片側7-8枚で14-16
枚と推定できる。オオジシギの尾羽は14-16-18枚、19枚も確認されている。山階鳥研資料。
まとめ
今季の春の渡りの夏羽のジシギ・四種類を代表して各個体を掲載、解説しました。各種類毎の図鑑が作成できるほどの個体数を観察して来ました。これらは機会があれば別の項目で公開するかも知れません。オオジシギに関しては以前から何かしら感じていたものがありました。そして今季は個体数が少ないにも関わらず俺が識別できるような個体の出現でした。その経験でオオジシギも少しは自信をもって自力で観察中にそれと分かるように益々腕を磨いてスキルアップしたいと思っているところです。やっと鱗が一枚剥がれ落ちて新しい一歩が踏み出しました。by HappyChappy 2014,05,12車検が終わり何時でもでかけられます。2014,09,08一部訂正加筆しました。
 (C)Birdopia Gallinavi  by HappyChappy 2014,05,12
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