2017年

ジシギの渡り秋の観察
2022.06.09renewal

2017.09.17、台風18号が九州に接近している。今季はジシギが大当たりです。これを記念して書いてみました。

 Golden Snipe Gallinago Aurum キンジシギ 黄金地鴫
  日本のジシギでは7月上旬、小暑、七夕の節句頃から秋の渡りが始まる。利根川流域のR市在住のバーダーから例年オオジシギの初認が報告されている。この個体は決まって成鳥の冬羽への換羽、肩羽だけでの移動が始まっている。季節が進むと雨覆いまで冬羽に換羽を終えている個体が増えてくる。しかし、オオジシギでは風切りが換羽することは非常に稀でほとんどが越冬地に到着後に完全換羽をすることが知られている。八月に入り立秋になる頃には幼鳥、肩羽は第一回目の冬羽に換羽しているが雨覆いの一部が幼羽で残っている個体が見られるようになる。同時期にチュウジシギが渡り始める。我が江戸川中流域の埼玉県側の水田地帯では残念ながらオオジシギの渡来はかなり少ないので観察例は極めて少ない。今季は九月に入りチュウジシギの小群の中にオオジシギ幼鳥が一羽観察された。当地は九月上旬から中旬がチュウジシギのピークがある。今季はコンバインがやや遅く九月に入り始まり一週間で90%が刈り取られた。9月3日、10日、16日にはチュウジシギが複数個体観察された。今季は9月に入るとタシギがぱらぱらと入り中旬でも群れは渡来してない。稲は未だ1-3%程度が残りその周辺の畦、刈田の二番穂の間でチュウジシギ、タシギが観察刺されるようになってきた。これからはチュウジシギが激減して、タシギの群れが入るようになる。秋分の日を過ぎるとヒガンバナが終わりキンモクセイも香りが漂うようになる。残っている稲田にはノビタキがぱらぱらと飛び交い、ほぼチュウジシギは観られなくなる。同時に土手の上を飛び交うツバメたちも姿を見せなくなる。西高東低の気圧配置が続き益々寒さが駆け足で近づいてくる。いつの間にか秋から初冬になり郊外の水路にはタシギが越冬している。厳冬期には郊外の水田・冬水田んぼは凍てつき、早朝には氷の上で休むタシギたちを観察するのが最近の恒例になっている。日本野鳥の会オオジシギプロジェクトの渡りルート調査では太平洋を一路南下6日間でパプアニュウギニアまでノンストップ飛行、5000kmを平均時速40km以上で飛び続けた。
 秋の水田の風景、江戸川流域中流部埼玉県側。

当地では8月下旬から秋の渡りの観察が始まる。コンバインが始まる前には畦の除草を行った場所を探すのがポイントです。


ジシギは除草・草刈りした土手や畔を好んで採食する。

 

当地では9月に入るとコンバインが始まる。刈田の畦を探してみましょう。草が伸びた畦ではジシギたちを発見するのは難しい。彼らも草丈の低い場所を好んで餌場にしているようにも感じる。しかし警戒心の強い個体は稲の中からは出ないだろうし、夜間に採餌することも多いと思われる。



 


コンバイン後、2週間程度で二番穂が伸びてくる。二番穂の間をゆっくりと歩きながらチェックしてみましょう。特に畦際がポイントです。勿論、農道の草地も要注意。

 


コンバインが方向転換した場所には水が溜まる。そんな場所はタシギの台所です。水田がすっかり干上がると水路の水溜まりに居ることが多い。冬でも水の枯れない水田はタシギの越冬場所には最適な場所になることが多いです。探してみましょう。

 



 

TSN884&30W&V-1&10-30mmデジスコシステム

チュウジシギ幼鳥幼羽。
 


チュウジシギ冬羽、

 

水路の中にタシギ幼鳥・幼羽 、一部幼羽が残っている。

 

チュウジシギ第一回冬羽に換羽中、雨覆いに一部幼羽が残る。

 

二番穂の間に休むタシギ二個体。冬羽。


 

チュウジシギ冬羽、二番穂が伸びると隠れ易くなりその中で休むことが多い。伸びすぎると見えなくなる。その頃には居なくなる。



 


農道側の二番穂に隠れて休むチュウジシギ

 フイールド・水田地帯を定期的に観察してみましょう。週一回のペースでフイールドを観察すると初めは何も見つからない、そして初認がある。続いて個体数が増えればジシギが渡り始めたことを知る。増えた週には二度三度と続けると同一場所に同一個体が観察されることが多いです。フイールドをゆっくりと農道を歩いてみましょう。畦を一本一本チェックしてみましょう。広いフイールドなら一度だけしか通ることはないが、フイールドが狭いと同じ場所を二度、三度と見回ると初め観なくとも次に現れることもしばしばある。できるだけ飛ばさないようにして次の個体を探す。飽きたら別の個体を探す。今季はピークは過ぎているがまだまだ楽しめます。2017.09.17by HappyChappy


2017.09.15日本鳥学会のジシギ自由集会に参加して来ました。本州を通過するチュウジシギと沖縄を通過するチュウジシギのDNAには違いが認められた。本州のチュウジシギはオオジシギと酷似し、沖縄のチュウジシギは本州産のものより小柄でハリオシギに酷似している。これらのことは過去10年間の沖縄県での経験からはなんとかく分かっていたが観察だから絶対的な計測値では無いから評価のしようがなかった。しかし、色彩に関しては画像が豊富にある。これらの膨大なビックデータの活用は今後の課題です。


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