タシギ・ジシギ・ワールド

田鴫・地鴫の世界

2022.03.02 Birdopia Gallinavi
by Golden Snipe
Gallinago Aurum

 ジシギの世界に飛び込んではや20年足らずです。初めはタシギ、オオジシギを覚えた。秋の渡りではチュウジシギを観察、そしてオオジシギも観察した。いつかはアオシギを観たいと栃木県まで出かけた。渓流で観たアオシギは忘れられない。夏のオオジシギは初めは軽井沢で夜間にディスプレイフライトするところを観た、その後奥日光戦場ヶ原、道東などで観察した。残るはハリオシギ。そして10年間も南西諸島に長期観察・車中泊した。春と秋の渡りや越冬ジシギに夢中になった。今まで沢山の失敗を繰り返した。失敗したからこそ、それ以上に収穫もある。今も熱意は変わらない。タシギを中心に観察しながら、春秋のジシギ観察は今でも楽しい。観察で得られた図鑑には無いタシギ・ジシギ・ワールドを書いてみた。これには完成という終点は無い。タシギを中心に解説しながらエピソードも思い出しながらの解説です。他のジシギも解説します。少しずつ連載予定です。始めたきっかけは昨年からスマフォデビューした。メモ帳を使用して観察記録など書き留めた、それが貯まりにたまって一行から文書になってしまった。つまりメモ帳からの転記を思い出しては書き続けてみます。この執筆は完成品では無く、随時、校正・追加などを行いより完成に近づいていきます。2022.03.10記
メモを繰り返し読んでいろいろと発想を膨らませています。2022.03.23追記。日付を付して更新の日を現している。フイルド経験を重要視してそれを深く理解することで益々楽しさが増える。狭く深く、誰よりも分かり易く、図鑑には無いことをどんどん書いてみます。2022.04.26記2022.06.22追記JIZZその裏側。
 No 語   句  解     説 
 1  ジシギ・じしぎ・地鴫・Snipe/Gallinago  日本国内で観察されるのは5種類、体形は太めで嘴は長めで脚は短めのシギ類。羽毛は極めて保護色、迷彩色的に複雑な文様で地面、草地、枯草の中では見つけ難い保護色になる。五種類はちょっとずつ大きさやプロポーションが異なり識別には初歩的な観察から相当なフイールド経験でしか得られない知見から識別力を積み重ねる事が必要であり、難しいからこそライフワーク的なテーマにもなる。難しいけれども不可能では無いからチャレンジする。一つ新しいことが分かると更に分からないことも出てくることも事実です。ひとつひとつステップアップしてみましょう。
 2  見え易い尾羽、見え難い尾羽  最も簡単なタシギでは12-16枚、通常は14枚、オスでは16枚メスでは12枚に偏るのが普通。尾羽は通常偶数だが、最近ではかなりの頻度で奇数がカウントされている。野外では全数を観察するのはほぼ困難です。そこで片側、半数をカウントするのが普通です。それで全数が異なっても種の識別が不可能という事ではない。尾羽の全数だけから種を特定するよりも、外側尾羽の形状、色彩、枚数・片側が決定的要因になる。チュウジシキ゛では尾羽を広げた時に尾羽先端がほぼ円周上にある、しかしハリオシギではそれは楕円周・縦長に近い、つまりハリオシギでは細くて短い針状の尾羽は簡単には見え難い、見えないのでは無い、図鑑的表現によれば幸運な場合にはそれが観られる。チュウジシギではちょっとの広げで簡単に外側尾羽が見えてしまう。勿論、重なりはある。それは高画質高画素数高級カメラの時代だからその拡大画像から簡単に枚数、色、形が観ることができるのです。チュウジシギと言えども常に外側尾羽が見えるという事では無い、尾羽が観察者に対してどのような位置で観るか、見せてくれるかが最大のポイントになる。ジシギが観察者に大して正面を向き、尾羽は後ろ側では先ず難しい。反対に尾羽をこちらに頭・顔が向こう側なら最大・最高のボジションになる。そして観る位置、が大事です。尾羽・外側が平面的に見える位置が最高で見間違うことは少ない。ところが水平的に観て重なりがあるると細い・細いという情報が先行する。つまり細いからハリオシギと誤認する例はかなり多いし、筆者も何度も見直した事がある。重なりにも注意しましょう。羽繕いや伸びの時に尾羽を広げる、緊張して驚いた時に尾羽を縦に広げることも有る。いろいろな場合を想定して尾羽はどのように見えるか見せてくれるか観察から学ぶことは多いです。尾羽の議論はハリオシギ、チュウジシギ、オオジシギが理解できれば、その相違点が明らかになる。外側尾羽の色彩は幼鳥、成鳥による変化、特にチュウジシギでは今ではごく一般的になっている幼鳥では淡色、がオオジシギ的になるから要注意です。尾羽だけに頼るとそのような失敗になる事がある。全体的な情報を総合して最後には尾羽・外側尾羽があるとより確実な識別に到達する。チュウジシギでは全数20枚、外側尾羽6枚が普通です。ハリオシギでは26枚、外側尾羽7枚が普通です。一本でも針です。しかしチュウジシギの最外側はかなり細いから要注意です。最近はニシチュウジシギの淡色型も居る。2022.03.03記
 3  ハリオシギの外側尾羽・針尾は見え難い、見えないのでは無い  ハリオシギは本州では個体数は少ないが西日本や南西諸島では比較的多く観察される。ベテランのジシギマニアはJIZZでハリオシギと特定する。まあ経験によるところが大きいです。ハリオシギの尾羽は外側尾羽では細くて羽軸だけのような感じです。所謂羽の感じは少ないです。細い棒状・針状というのが正確です。勿論先端部が針状ですが中ほどには内弁外弁があります。扇状に広げると外側は中間尾羽に隠れるように引っ込んでいる。ちょっと広げる程度では中間尾羽だけが見えてしまうので外側の針状はなかなか見えないのです。見えないと言うのは正しさを欠くのです。見え難いが正しいと思います。理由は短い、細い、奥の方などいろいろな要因が重なるからと思います。しかし、運よく見えることがあるのです。高画質、高画素数のカメでは拡大すると実物よりも大きく拡大可能です。外側、中間尾羽を同時に写しこめばその幅さえ推定可能です。重なっていてもある程度の予測が可能です。兎に角、ハリオシギを観察する、撮影する、尾羽を観る、外側を撮る、ピントが合っていれば確認してみましょう。扇状に広げると長楕円・縦長方向で上が中央とすると、左右に60度くらいに外側尾羽が短く付いている、というイメージです。2022.03.05記、誕生日 チュウジシギではほぼ円周上に広がる、外側尾羽も同円周上にあり、ちょっとの開きで直ぐに外側が見えてしまう。しかし、広げても、近くても、位置が悪いと見えない不幸もある。幼鳥では外側尾羽は淡色傾向、成鳥では暗色・黒色傾向がある。  
 4  チュウジシギの外側尾羽は見え易い
 5  同一円周上
 6  楕円周上
 7  段差とは  タシギでは尾羽は広げると円周上にある。というイメージです。中央、中間、外側がほぼ同幅、同長さのイメージです。中央尾羽と外側尾羽の長さに差は少ない、するとその尾羽の先端部は扇状になり段差は生じないのです。チュウジシギではタシギに近く段差は少ないです。ところがハリオシギでは中央尾羽と外側尾羽の長さが異なり、そこに段差が生じます。それがハリオシギではとても大きいのです。前記の円周、楕円周を思い出してみましょう。楕円周では外側程短くなり中央尾羽先端部との差は明確です。これが尾羽の段差ということです。2022.03.05記当ホームページに詳しく解説してある。
 8  水平的見方では細くて狭い

外側尾羽は正しく評価する
尾羽を観察する時どの位置から観るか、観えるかが大事です。つまり尾羽が最も広く見える位置は尾羽に対して平面的であることです。水平的になると尾羽は本来の広さ・太さとは異なり細く・狭くなります。何故そのような事を考えるかは、以下のような理由です。外側尾羽の形状、色彩は識別の決定的な絶対的識別点です。それが本来の太さよりも細く見えると、一見して細いと観てしまうことにより、ハリオシギだと決定的に誤認する。事になります。そのような例はネットでは見られる。尾羽、外側尾羽を見る、撮るチャンスはフイールドではそんなに多い事では無いから尾羽、外側を撮っただけでも、舞い上がってしまうことが多いのです。筆者もそのような失敗経験は誰よりも多いです。ここではチュウジシギの外側尾羽を重なりや水平的視点から見て撮ってハリオシギという誤認が多いのです。尾羽が全開して中央、中間、外側、最外側全てが広がりその幅・広さ・太さが相対的に分かるような画像なら問題無い。尾羽はいろいろな角度で観察されます。フイールド経験を重ね多くの画像などを参考にすれば一歩ずつ進歩すること間違いないです。2022.03.04記 

参考資料、上から平面的視点・最大、中間、水平的視点・最小の画像です。
 9  平面的見方では広く最大値

外側尾羽は正しく評価する
 10  バフ色羽縁  肩羽の羽縁はバフ色という表現が多いです。バフ色とは白が汚れた色になります。タシギでは外側羽縁は内側羽縁より太く、他のジシギでは同じ幅になる。バフ色は変化に富み、かなり白色に近いものから金色の金属光沢のあるものまで千差万別です。赤味褐色味の強いタシギでは羽縁は黄金色のようなゴールデンになる個体も居るのです。勿論、他のジシギでも同様です。羽縁の幅の広さや肩羽の一枚一枚の大きさは、成鳥や幼鳥では差があるのでは、という疑問を持って観察しています。幼鳥では羽縁は白く細いのがジシギ共通のものです。幼鳥から第一回目冬羽への換羽進行と同時に幼羽が少なくなります。少なくなって残る幼羽一枚から幼鳥と判断する手がかりを得ることができるのです。その後第一回目夏羽への換羽が進むと同時に幼羽は観られず成鳥・夏羽との差は分からなくなる。2022.03.04記 
 11  ゴールデンバフ色の羽縁
 12  越冬地GPS  越冬地は秋の渡りが終了すると始まる。早い個体は9月でも越冬地が確定する。遅くとも10-11月には決まると思える。越冬か否かは長期の観察から分かることがある。昨年の越冬は暖冬により個体数はかなり多かった。今季は厳冬で個体数は前年の半分以下です。今季は9-10月はほぼ雨が多くて刈田の二番穂に定着していた。しかし、乾期に入り11月になるとタシギは二番穂の田んぼから消えた。11-12月は水路で時々観察される程度。年が明けると水路にタシギが入るようになる。それでも湿田は一部残っている。そこに執拗に定着する個体も居た。2-3月入ると定着場所、採食場所が段々明かになった。ごく狭い範囲に採食と休憩をしている。タシギでもチュウジシギ、ハリオシギでも同じ傾向です。南西諸島での冬季観察では同じ場所で繰り返し観察されている。かなり狭い範囲に固執する。そこは安心安全でかつ採食休憩ができる場所だから。タシギでは越冬場所で縄張りを作るか否かは未だ確たる証拠は見つからない。しかし、タシギは本来集団生活する。というのが一般的です。そこは餌が豊富でかつ隠れる場所が有る。関東でも場所により餌は少ない場所が有る、そんな場所では同種を寄せ着けることは無いのではと思える。この時季、厳寒期には何かの理由で飛んだタシギはそうそう遠くに飛び去ることは稀である。観察では目視、双眼鏡で観察可能な範囲に着地するのが普通です。ところが渡り・移動時期ではそうでは無いことがある。飛び立つとかなり高度を上げて少数の群れで飛び去ることが多い。一度飛び立つと元に戻るのは少ない。しかし、時には旋回して飛び去るかと思うと遠くから旋回して戻り急降下して元に降りることもある。よく観察すると、越冬期と渡りの時季は明らかに異なる傾向にあるから自分の目で確認するのが良いでしょう。翼があるから何時でも何処にでも飛んでいけるのに越冬地ではそうでは無いのに驚かされる。2022.03.07記
 13  ジシギのバリエーション  ジシギの識別に夢中なるとその奥の深さにはいろいろと考えさせられる。良い方に取るか悪い方に解釈するかは本人次第です。本州で観察されるジシギでさえもオオジとチュウジはかなり似通っている。ハリオと何かが似通っているのは、南西諸島の場合です。チュウジシギ(ニシチュウジ)とハリオシギがかなり似通っている。関東と南西諸島の両方で観察した方なら理解できると思う。日本全国ではハリオシギとチュウジシギが似ている。チュウシギとオオジシギは似ている。しかし、関東のチュウジシギの典型は秋の暗色型、南西諸島の淡色型は全くの別種のような印象です。それが理解できるまではかなりの識別の経験と年数が必要です。チュウジシギの繁殖地が分かれているからその繁殖地で本州型のチュウジシギ・暗色型と南西諸島の淡色型チュウジシギが居る。南西諸島には淡色型だけでは無く暗色型も通過する。本州では淡色型チュウジシギは稀に観察・撮影されている。ハリオシギでは標準的には褐色の淡い個体が多い。しかし、暗色型のチュウジシギ的な個体も観察撮影されている。本州から南下するチュウジシギやオオジシギは奄美群島、沖縄諸島、先島諸島を経由して南下する訳ではない。太平洋を直接越冬地に向けて飛んで行くと思われる。オオジシギプロジェクトで証明。南西諸島でのオオジシギやチュウジシギ・本州型は極稀に観察されるだけである。2022.03.16記
 14 ニアミス   鳥を探していて突然に近くに現れたら鳥も人も互いにフリーズする。車でのニアミスなら大歓迎です。しかし、徒歩でのニアミスは以外にも何もできないことが多いです。タシギとは何度もニアミスしている。ただただ静止、警戒している姿は一見して直ぐに分かる。目と目が合う。何かのタイミングで人の目がタシギからそれる、そして次の瞬間にタシギは消える。あれ・・どうしたかな、とんでもない速さで隠れたり、音も声も無く一瞬に飛び去るなどで居なくなる。これが瞬間移動です。場合によってはネズミのように速足で遠ざかる姿を見る、飛び去るのを見ることはありますが、それが分からない時は瞬間移動です。車ならある程度はブラインドになることが多いです。徒歩では何かの物陰に隠れるなどの方法がある時は超ラッキーです。そしてタシギが気が付かないか或いは気が付いても警戒することなく自然体で行動してくれるのが最善です。2022.03.07記
 15  カモフラ・擬態・迷彩色・保護色の天才
 ジシギは全て複雑な模様になっている。枯草、枯れ木などの自然界のものが自分自身の身を隠す、保護色、迷彩色になる。しかし、彼らは自然のものだけではない、人工的なものさえ利用してカモフラするのが分かります。当ホームページ、ブログでいろいろな擬態を画像入りで紹介している。擬態の天才です。2022.03.10記空き缶、ポリ袋、ポリ袋などいろいろなゴミが散乱している、それを彼らは利用して擬態する。三面コンクリなども日陰の影ではタシギは目立たなくなる、そんなことを十分に分かっていて電柱の影の下に入り擬態する。とても感動的瞬間です。探してみましょう。タシギは本来自然界では枯草や枯れ木に擬態する模様になっている。色彩的には土と枯草の配色です。自然環境はそればかりではない、つまりタシギはその環境に合わせて保護色になりきる。三面コンクリ壁面、石ころ、木片、そして人工の廃棄物さえも擬態の対象にしている。緊急避難時は水面にさえ伏して身を屈める、より安全を確保するために移動・逃避飛行する。その後は確実に擬態する行動になる。今までは人工物への擬態は記録の為、今季からはその生態を見るためより真剣に観察してみた。擬態している画像はその場所が分かっているから観察可能ですが、探して見つかるような事では無いです。常に採食する場所や休憩する場所を確認していて、その周囲をチェックすることです。観察中に飛んで隠れて擬態する。それを見つける事は容易では無いが、至近距離で着地して擬態することがあります。それでもなかなか見つけるのは困難ですが、一度見つかれば、タシギは擬態に自信があれば動くことは無い、しかし、近づき過ぎては飛び立ってしまう。兎に角、双眼鏡でしっかり探してみましょう。そういう状態で擬態を見つける事が多いです。近くても、見つからない事がある。それは多分瞬間移動・目を反らした瞬間に移動、されていると思える。人工物への擬態では、ばればれだよ、思うような事も多々あります。しかし、自信があるときは全く動じることは無く、ひたすら外乱・天敵が遠ざかるのを待つのみです。そしてゆっくりと採食を始める。安全なら休憩する。より安全なら背中に嘴を入れて熟睡モード・目は開けている。安全でなければ安全な場所に移動、擬態、本格的休憩、二番穂の中や枯草など。全く探すのは困難です。2022.03.24追記
最近気が付いたことがある。今頃の二番穂が残る水田は珍しい、しかし、水が溜まれば最高の採食場所です。擬態するには最良の場所です。この二三日、ほぼ同じ場所で観るタシギが居た。初めは偶然と思っていたが、よくよく考えたらタシギは二番穂が重なり合うほど狭い間に隠れている。つまり居るのは分かるが全身は見えることは無い。顔はタシギがこちらを伺うのに見える程度。これが偶然とは思えない。何故ならタシギは枯草の間では同化、保護色、迷彩色と化してしまうことを理解している、としか思えない。従って動かない、自信があるから、バレて無いと思っている。全く動じることは無い。水の無い乾燥した二番穂には絶対居ないということは無いが、やはり水のある場所を優先して使用して居る事が分かる。年中水田はタガラシの花が咲き良い雰囲気ですがタシギは一度しか入らない。2022.04.11記
 16  小さなジシギ  野鳥図鑑のデーターには大きさには範囲がある。ジシギではそれぞれ大きさが重なることが多いです。アオシギ以外のタシギ、ハリオシギ、チュウジシギ、オオジシギは春秋の渡り越冬地などで互いに同居することがあります。それぞれの大きさから種を特定するのは間違うことが多いです。同じ種でも大きさに差がある。異常に大きい個体はあまり観ることは無いですが、小さめな個体、小柄な個体は以外にも観察、撮影されている。小さな個体はコシギと誤認される事が多いですが、識別点を分かっている方は大小では特定しないです。タシギ、チュウジシギ、ハリオシギなど観察している。オオジシギでもあると思うが絶対数・観察した数が少ないので評価できない。観察経験が豊富ならその大きさが分かることがある。しかし、複数で共存することで大小が明確になることが多いです。小さな個体は可愛いです。あるブログを観ていたら○○県でコシギを観察、撮影とある。なかなか無い情報ですが、検索しても未出てこないです。2022.0308記日本全国に記録はありますが、観察撮影可能なものは極めて稀です。
 17  JIZZ、その裏側には・・・・・・  鳥の識別では識別ポイントが重要です。しかし、ポイントが分からなくとも全体の印象からその種と一瞬で判断できるようになる。所謂、ちょっと見ということです。フイールド経験を重ねるとどんどんレパトリーが広がります。ジシギの世界でも同様です。図鑑で覚えた知識だけでは絶対に識別は難しいです。図鑑を観ながら自分なりの図鑑を頭のなかに作成しましょう。ジシギではタシギが識別点をチェックしなくても分かるように経験を積むことが必要条件です。それから一種ずつ、季節と共に渡りの個体を沢山観察してみましょう。タシギの事がよく理解できれば他のジシギの相違点が明確になります。タシギを理解すればジシギは簡単に習得することができます。2022.03.12記
前記ようにちょっと見いうイメージ゛すが、実際には奥が深いです。それは例えば観察会で冬の河口干潟゛採食するジシギ゛居た。リーダーがあれはタシギです。とこともなげにいうけれど、実はその裏には隠れた情報が沢山隠れている事前に下見を初めとして、この時季はタシギだ。と予め認識しているだから識別ポイントも何も確認してないうだが、そうでは無いいろいろな情報が予め入力されているのです。勿論、下見で識別ポイントを確認しなくとも、この場所この時季なら間違いなくタシとの確信がある、だから観察会ではそう判断できるのです。リーダーは恐らく識別ポイントを確認しなくてもタシギと判断゛きる識別力量を持っている方ノなのです。初心者の皆さんもタシギはタシギと言える力量で研鑽を積み重ねましょう。そしてタシギでは無いと分かるようにフイールド経験を積みましょう。ちょっと見というイメージの裏側には隠されている情報゛あるという事を知りましょう。たかがJIZZされどJIZZでした。2022.06.22追記。野鳥観察だけでは無く動物観察でも使用されている。と書かれている
 18  鳥・ジシギも人も平常心  野鳥の観察では鳥が警戒せず観察者も緊張することなく平常心で観る、撮るが基本です。鳥は近すぎると警戒して目を見開きまん丸にする、頭も体も通常の状態では無い、人も珍鳥、ニアミスなどするとかなりの緊張状態になる。撮影では至近距離で憧れの鳥が撮れるとしたら、カメラの設定も構図も露出も目茶目茶になってしまう。そんな経験はありませんか。初めての黒いハリオシギの幼鳥観察撮影では、マニュアル撮影でした。逆光なので+補正でシャッターを押し続けた。途中で画像のピント、構図、露出の確認もせずにただただ撮り続けた。そして画像を開いたら全部露出オーバーで真っ白です。途中で確認していれば、もう遅いです。翌日、幸運にも再会する。そしてカメラの確認も続けながらしっかりと撮影できた。尾羽までの撮影でした。失敗が次の幸運を産む。鳥が平常であること、人も平常であること、これで初めて撮影の準備が揃うのです。兎に角、撮影中のカメラ設定の確認は常に怠らないことです。チャンスは早々ありませんから、逃さないようにします。2022.03.08記、鳥の図鑑的標準は真横からです。場合によっては鳥の特徴が写しこまれるようなものがベストです。ジシギでも同様に真横からが一番判断し易いですが、一枚の画像だけで種を特定、断定するのはかなり難しいと思う。勿論、一枚だけでもはっきりと万人が識別できるような特徴的なものも沢山あります。
 19  真横からの画像
 20  迷ったら尾羽に頼る   初心者は尾羽に拘った方が良い、何故ならJIZZだけから全種4種を識別するのはそんなに簡単な事では無いから。尾羽に拘るというのは長時間の観察が必要です。なにがなんでも尾羽を観る、撮るに拘りましょう。図鑑に記載してあるような条件で自分なりの識別をする。その尾羽から種を特定して、そして顔、全体、プロポーション、習性、環境を同時に理解する。その手順で一種ずつ理解する。そしてプロポーション、JIZZから種が推定できればかなりの上達です。種の特定に迷ったら尾羽、外側尾羽の形状、色彩、枚数を確認。しかし、尾羽だけに頼ると見間違いなどがある。つまり尾羽だけから特定すると以外にも見誤りが起こる。それを少なくするには全体を観てそして尾羽も確認出来れば完璧と言う事です。この数年間でジシギの情報はかなり増えました。それらの情報も合わせて利用するのが良いでしょう。尾羽に拘らないという境地に達するのは容易な事ではありませんが、不可能ではありません。チャレンジしてみましょう。2022.03.12記、このような記事を書いている筆者は多くの失敗を積み重ねているから、それ以上の進歩がある筈です。兎に角、尾羽は見間違いが多いです。重なり、色彩、枚数、などなどいろいろある。
 21  それだけ・尾羽・外側には拘らない
 22  鳥友・鳥仲間  タシギが飛んでいる、広い田んぼのど真ん中、タシギは急降し始める、そして着地する。渡りの時季の春と秋にはそんな光景がよく観られる。その降りた場所には鳥友・仲間が居ることが多い。移動中・渡りのタシギたちは安心安全な採食地を求める、そこに鳥友が居れば最も安心安全な場所となる。鳥友という語句は清棲幸保著の野鳥の事典で知った。鳥友と言えば人間同士の繋がりと思いがちだが、そのニュアンスは分かる。タシギだけでは無く他のジシギでも同様な傾向は見られる。異種混合で仲良く居るのがごく普通に観られる。越冬地でもタシギ、チュウジシキ、ハリオシギが稀には観られる。南西諸島ではチユウジシギ、ハリオシギが少数、ごく少数が越冬する。タシギの環境にチユウジシギ、ハリオシギが混じることよりも、タシギが他のジシギに混じることが多いように思う。春秋の群れは必然と単独より多く観られる。2022.03.06記
 23 タシギについて解説  頭上にはクリーム色の等幅の頭央線が後頭まで、黒褐色の頭側線に挟まれている。頭側線は目の上で最も広くなり前後では細くなる。頭側線内には褐色の斑点が目立つ個体も居るが個体差が大きい。繁殖期には全体的に明るく赤味が強く褐色斑紋は更に目立つようになる。黒褐色の過眼線は目先では眉班より太く、目後ろでは斑状線となる。耳羽はクリーム色、褐色班が入る。頬は暗褐色の線が入る。喉はクリーム色。後頸、頸側は淡黄褐色で黒褐色の小班が入る。背は黒褐色金属光沢があり、繁殖羽の初期、観られたらラッキーです。カラス、ツバメ、シジュウカラ、カワセミ、レンカク、キジ、ブッポウソウなどが金属光沢を放つ。肩羽の外側は淡褐色の羽縁があり線状に繋がって見える。最下段では後部に斜めに垂れ、連続的あるいは不連続に見えることがある。肩羽は黒色の軸班で赤褐色の班と横班が入る。腰は黒褐色でバフ色の横縞がある。上尾筒は赤褐色で黒の横班と軸線があり白い横班が入る。胸は淡黄褐色で褐色の横縞がある。翼は黒褐色、三列風切赤褐色で黒の横班がある複雑な模様。尾羽は12-16枚通常14枚。黒色で先端部は赤褐色クリーム色と黒の細い横班がある。最外側は淡色で尾羽は全て等幅である。嘴は細く長い。基部から中ほどは黄緑色で先端部は黒。嘴先端部の上は上に開く。これは水中、泥中で動かして獲物を捕食する。嘴の内側はギザギザした歯のようなものがあり、銜えた獲物を逃がさないようになっている。銜えたら舌を使い獲物を引っ張りこむようにして飲み込む。翼下面は下雨覆は淡色部が多く、他のジシギとは異なる。脚、ふしょ・足指は緑黄色、爪は黒。虹彩は茶褐色で白く淡いアイリングがある。タシギは湿った水田で枯草や稲わらに擬態する。天敵が近づいても動かなければ見つからないのに、不用意に飛び出すことがある。彼らは自然の中にあるものを利用して保護色、迷彩色になる。水路の中ではペットボトル、空き缶、ビニル袋などなんでも利用する。三面コンクリの壁でさえも身を寄せて擬態する。何処でもそこにあるものに変身して身を守る。しかし、人間の目には明らかに違和感のある擬態をしているがバレバレの事も多いのです。ニアミスして水面に伏せて警戒することも度々観察している。緊急事態から目を離した瞬間には音もなく飛び去ったり、走り去り物陰に隠れるなど一瞬にしてその場から居なくなる。幼鳥幼羽は、背や肩羽、大中小・雨覆、三列風切などの羽縁は細く白い。初期は光沢がある、しかし幼羽の後期は退色して無彩色的な地味の色彩になる。成鳥夏羽・繁殖羽では顔、後頸、頸、胸、背、肩羽は赤褐色の明るい色彩に変化する。渡りの遅い個体は5月のGWでも観られることがある。オスとメスは嘴の長さに相違があり、メスが長めである。体格差もあると思うが情報は無い。第一回目冬羽や夏羽は成鳥に順ずる。未だ分からないことは沢山あります。色彩の変化、羽毛一枚一枚の大きさや色の変化など。そんな好奇心で観察を続けるとより楽しさが増えます。2022.03.10記。識別ポイントは次列風切後縁が白く目立つ。前記の尾羽の形状、色彩と枚数。翼下面が淡色である。合わせて判断するとミスは少ない。
 24 個体識別とニックネーム  顔の模様、過眼線のパターン、太さ、短さ、形など何度か観察すると分かるようになる。繰り返し観察することが上達のコツ。写真を撮り比較するのがベスト。性格も分かってくる。警戒心の強弱、習性など知れば知るほど楽しい。2022.03.10記
当ブログ或いはタシギ観察記では長期に渡り観察している、個体識別をする。そして愛着を込めてニックネームで呼んでいる。基準はその場所の東西南北で位置を表現、個体識別やその性格からいろいろと自然に呼称を決めている。例えは学校水路のタシギなどと同じ場所に同居するビジターの小柄の個体など。いろいろ2022.03.23記
 25  尾羽はこんな時に見える  伸び、羽繕い、警戒して尾羽を半開きにする。日光浴、羽ばたき・水切り、水浴などいろいいろな行動から観るチャンスはある。至近距離で長時間ねばって観察してみよう。2022.03.10記
 26  一連の行動を理解する  ジシギを観察していると採食、休憩・長短、羽繕い、伸び、日光浴、水浴、油脂塗り、などいろいろな行動が観察される。至近距離で長時間は楽しいし、半面苦痛でもある。尾羽を観るのはこれらの行動の流れを知ることです。今の時代なら動画を撮り続けるのも一つの方法かも知れない。デジイチでの撮影ではずーーっと目を離さずするのは大変です。前記の一連の流れの中でそろそろ始まるかなと予想できるととても楽になる。それでも伸びや日光浴など瞬間芸のように一瞬だけという事もある。そんな時AFピントが合っていたなら最高の幸運です。至近距離、長時間がキーワードになります。餌場に水場があると水浴を始めたら準備です。2022.03.07記
 27  外乱 平常状態から異状事態になる事、つまり何らかの外的要因でタシギが緊急警戒飛び立ち或いは隠れる逃げる行動をする。何らかとは猛禽類などの天敵の襲来や車やバイクの音、警笛などはとても警戒する。突然に起こるから予測不可能です。観察中に人が近づいたりすることもある。2022.03.07記
 28  猛禽類の襲撃・小さな猛禽  猛禽類の攻撃を直接観たのはモズでした。水路で採食するタシギに背後の方からすーーーっと襲いかかったがタシギは間一髪飛び立つ。その後フイールドでモズは小鳥たちの群れの中に何度も攻撃するところを見ている。チョウゲンボウも同様にして耕作田で群れたカワラヒワ、スズメ、などに低空で襲ったところを目撃している。ハヤブサがタシギを捕食している写真集を見たことがある。どうやって捕食したのか。分からない。小さな猛禽モズは何度も攻撃をする、もし何らかの原因で弱っている個体が居れば簡単に捕食される。ことになる。モズはそのチャンスを繰り返すことで稀には捕食できる。大概の元気な鳥たちは難を逃れられる。最近はテレビで自然ものの映像が流れる事も多い。オオタカは学校の野球場の球避けネットが張ってある場所にヒヨドリを追い込み狩をする場面を見た。それは偶然では無く何度も繰り返されたことから証明されている。攻撃だけでは無く待ち伏せてカモを捕食する動画がある。木立に隠れている。池のカモたちは一定の方向に飛び立つことを知っている。待ち伏せる、あっという間に捕食する。猛禽たちも学習して最善の方法で狩を成功する。ノスリの狩も何度も見ている。最も多いのはチョウゲンボウの狩です。ハタネズミ、トカゲ、昆虫、鳥など捕食する。2022.03.14記
 29  天敵  やはり一番は人間でしょう。ゲームバードというターゲットにして狩猟対象です。突然にジグザグに飛翔するからハンターにはターゲットとしては特別なものです。そんな時代が続いているから人は最大の天敵。野生動物のキツネ、タヌキ、イタチ、テンなど肉食動物や外来種のハクビシン、アライグマなど、猛禽類全般、そして小さな猛禽、モズ。小さな水路で採食していたタシギに突然にモズが攻撃を仕掛けた、タシギは間一髪逃げた。カラスなども近づくと警戒する、ジシギたちは自分より大きな鳥は全て警戒するように見える。爬虫類のヘビなども捕食者。ペットなど犬猫も警戒する。バンがタシギを追いかけるのを観たことがある。反対にタシギがより小さな鳥たちに攻撃することはあるのだろうか。ツグミ、ハクセキレイ、イソシギ、クサシギが同じ場所で採食する事がある。側に居たクサシギがタシギからドジョウを横取りしたのを観察している。タシギは何事も無かったように行動している。小さな鳥を襲う・追い払うのは観たことは無い。しかし、同種間ではある程度のいさかいはあるように感じる。2022.03.06記
 30  飛翔と飛距離、越冬か渡りかの違いは  鳥は飛ぶことが命。飛び方も種によりいろいろな形態になる。ジシギでもそれぞれの特徴が有る。タシギでは足元から飛び立ち電光石火のごとく速さで飛び立ち、体を左右に傾けながら、時にはジェーッと鳴きながら飛び去ることがある。タシギの翼動は最も軽く速い。チュウジシギでは春秋の観察では飛び立ちやや重く飛び上がる。オオジシギでは最も重く飛び立ち上昇するまでかなりの距離を要するのが普通。それぞれの特徴であり必ずしもそう飛ぶとは限らない。大きさ、翼動、高さ、声・地鳴き、などいろいろと総合して判断するのが良い。ハリオシギの飛び方には知見が少ないが飛び方は軽い。2022.031記
タシギでは飛距離は越冬個体や渡りの個体で異なることがある。越冬地で飛び立ちは外乱によるものが多い、一時的にその場所からの避難であるから限りなく遠くに飛び去ることはあまりない。つまり目視できる範囲内での飛翔が多い。しかし、春と秋の渡りの季節では移動が主な目的です。フイールドで出会った個体は越冬か渡りかが分かる飛び方をします。しかし、場合によっては越冬個体のように近距離しか飛ばない事もある。
しばしば、渡りは複数での移動が多いからそのような場合は渡りと断定することができる。しかし、中には単独で移動する個体も居るからその辺はよく確認するのが良い。当地は越冬する個体そのものが少ないから殆どが渡りの個体として観る。混同し易いが少ない個体数で数日間同地に滞在していることも多々ある。長くとも数日で居なくなるなど渡りの特徴が観られる。このように飛び方、飛距離、方向など何度も繰り返し観察すると明らかになることが多いです。2022.05.01記オオジシギやチュウジシギは関東で越冬することは無いから全て渡りと考えてよい。
 31  地鳴き  地鳴きはかなり似通っているが筆者のフイールド経験からカタカナ言葉で表現すると以下のようになる。タシギではしゃがれた声で、ジェーーーーと一声から二三声続くこともある。チュウジシギとオオジシギはかなり似通っているがチュウジシギではジッ、ジェッとか濁音で短め、オオジシギでは大きくゲッと一声が普通。ハリオシギでは最も軽いクエッとかキィッと半濁音的単音です。声だけの特定ではかなりの熟練を要する。飛び方、速さ・翼動、大きさなど総合的に判断した方がミスは少なくなる。2022.03.08記筆者は地上に居る個体を特定してしておいてから飛び立ちの祭の声をチェックしている。このようにして地上の個体を特定してから声を聴くとよく正確になる。2022.03.09追記、秋のチュウジシギとオオジシギではかなり似通っているので多くの個体を聴いてみましょう。声は必ず自分なりの表現で記録すると忘れ無いです。つまり同じような声を発することがある。
 32  渡りと移動・通過  秋の渡りは9月が最盛期、当地では上旬に群れが多くなりその後何度かの少数の群れが通過する。九月はコンバインが半分程度稲刈りを終えた状態です。早く刈り終えた田んぼは二番穂が出始める、適度な長さに成長した二番穂はタシギたちの最良の隠れ場所になる。水のある田んぼは採食、草地では休憩している。この時季は群れ、数はいろいろです。数羽から十数羽で一枚の水田あるいは近くの水田に居る事が多い。この時季は雨が多いから湿田はかなり多いですが、田んぼにより乾田、湿田の差がある。乾田で採食することはほぼ無い。しかし、休むことはあるので全てをチェックする必要がある。何度か続けていると、居る場所が特定される。そこを重点的に観察すれば80パーセントはカバーできそう。九月はオオジシギ、チュウジシギも渡るからタシギだけでは無く同時に探してみましょう。当地では雨の後の農道、畔での観察が多いです。用水路も半渇き状態ですが好んで採食場所にしている。10月にはタシギだけになる事が多いです。春は4月が渡りの時季です。タシギの群れが渡る事もあります。田んぼは水が入り、水路は満水です。田んぼの水のある場所にはタシギ、畦などにはチュウジシギ、オオジシギを探してみましょう。渡りの時季は限られているから事前に予定を組んでおきましょう。繁殖羽の初期の新鮮な個体が観られる事があります。2022.03.15記
 33  越冬地  北半球の繁殖地から場合により南半球まで移動する種もいる。緯度が高いほど南下する程度も大きいと聴いたことがある。タシギは本州以南が越冬地ですが、降雪地も以外にも越冬している。南の方が暖かくて越冬し易いと思うのは人間的発想かも。南程餌も豊富だが競合相手も多い、しかし少し降雪するけれど、餌も少なめだけどライバルが少なければ越冬は意外と天国なのかもしれない。これも人間的発想かも知れません。
南西諸島で白化個体のタシギが越冬していた、二シーズン観察している。ひょっとしたら生存中の越冬地は決まっているのかも知れない。何処でも棲めそうだが、いろいろな事情があるのだろう。2022.03.16記
 34  採食地 タシギの生息環境は水のある湿地、泥地が主な採食場所です。河川、湖沼、蓮田、水田、遊水地、水路、三面コンクリート水路、耕作田、海岸の干潟、などなどです。移動や渡りの時季は採食や休憩場所として前記の場所以外にも観察されることがある。飛島の小学校のグランド、甑島の畑、宮古島のサトウキビ畑の刈り取り跡、粟国島の用水路などで観察している。基本的には水のある泥地が採食場所でユスリカの幼虫・アカムシを捕食する。それだけでは無く湿地に棲む生物なら捕食する。ドジョウ、ザリガニ幼生、ヤゴ、ヒル、ホトケドジョウ、エビなどは殆どが水中棲息です。湿地側の土手、畔、岸辺の柔らかそうな地面などては太いミミズ、甲虫の幼虫・芋虫なども捕食する。図鑑によると植物の種子、タデなども食べると記載されている。時には道路、農道に居る事もあり何らかの理由で居るので、その場所・乾いた所で採食する訳ではない。耕作田の中に休むタシギを見つける事もあるが、そこも休憩場所であり、採食はすることは無い。乾いた草地の場所ではタシギは採食することは殆どない。他のジシギは基本的には草の生えた所で嘴を斜めに差し込みながら、太いミミズや芋虫などを捕食する。勿論、タシギの好きな水のある泥地に入り採食することは多々観られる。2022.03.09記
水辺の環境は色々あります。山間部の渓流、清流、中流部の河川、石から砂地、そして下流部の泥地により棲息する生物は異なる、水生昆虫、幼虫、魚類、甲殻類、貝類など様々な生物が棲息している。タシギはそのような環境を上手く利用してその環境で捕食できる生物を捕食しているだろうことは容易に理解できるようになったのは最近のことです。それはタシギがドジョウ、ザリガニ、カワエビ、ヤゴ、ヒルなどを捕食しているのを観察してからでした。元々タシギはほぼイトミミズ・アカムシ・ユスリカの幼虫を捕食していると思っていました。時々、太いミミズや甲虫の幼虫などを捕食すると理解していた。ところが環境を考えるとその場所で捕食可能な生物を捕食する。という風に変化しました。これらは図鑑にはほぼ記載の無いことです。渡りでは海岸を通過するし、山も通過する、その場所で捕食可能な生物を捕食するという必要があります。狭い範囲の観察ですがそれから色々な推論が成立するところがとても面白いです。水辺の環境と生物はこれからもいろいろと勉強したいです。2022.03.23追記 
 35  湿地
 36  環境
 37  一日の行動  越冬地では朝目覚めて採食を始める、少しの休憩をしながら、満腹になれば本格的な休憩に入る。その間にいろいろな行動が観られる。採食、短い休憩、長めの休憩、水浴び、羽繕い、羽ばたき、伸び、尾羽や翼の日光浴、油脂塗り、飛翔、隠れる、擬態、などなどこれらを何度も観察することでジシギたちの習性の一部を垣間見ることができる。 
 38  水浴・羽ばたき・油脂塗り・日光浴・伸び
 39  休憩・長短  採食しながらちょっと休む、そして又採食を始める。獲物の大きさや量によって休む時間の回数や長さはいろいろある。採食中に一旦停止して、ほんのちょっとだけ周囲を警戒監視などする。安心安全なら採食する、やや満腹になると採食場所からちょっとだけ移動してやや安全な場所に擬態・カモフラして背中に嘴を入れて休む。しかし、目は開けている。常に警戒は怠らない。本格的に休むのは枯草枯れ木などの身を隠す場所になる。そこで十分な休養を取ると思う。というのはこのような場所はなかなか観察はできないが、南西諸島では時間があるので車の中から観察していると休耕田の枯草の側に何羽かが休んでいる。そして数時間にわたり休んでいた。外乱が無ければ十分な休養を取る。しかし、猛禽やマングースなどの出現で休憩はあっけなく終わることがある。もっと安全な芋田の葉の中で休むようになる。2022.03.09記水の中で採食していると突然に水浴羽ばたきを始める。その後はいろいろな行動が観られる。
 40  エスケープフライト・逃飛行  タシギが足元から飛び立つ、ジェーーッと声を発することもあるが鳴かないこともある。次第に遠ざかりながら高度を上げる、体を左右に傾けながら、翼動は速い。パッパッパッと翼を閉じるように速く飛ぶ。越冬期と渡りの時季では飛翔は異なる。越冬期は早々に高高度に飛び立つことは稀、渡りではごく普通に高高度になり飛び去って行く。フイールドの上空を高度で旋回しながら元の場所或いは側に戻る事がある。そんな時は何度か旋回してから次第に、或いは突然に高度を下げる、そして鳥仲間・鳥友の居る付近に数メートルの高さからぽとんと落下するように着地する。細い水路にはそのような形で着地するのを何度も観ている。警戒して飛び去り、着地後も警戒するが、その場所で擬態することは稀で、ほぼその場を速足で走り去り、近くの枯草、くぼ地、草叢の中に逃げ込むのが多い。これらは飛翔して双眼鏡で確認できる範囲内に着地した時にはそのような行動が確認できる。2022.03.13記
 41  飛翔から着地・移動・擬態
 42  早生まれ・遅生まれ 換羽の早い遅い個体が居ます。それを生まれた早さで考えてみた。  タシギの繁殖期は大凡4-8月頃までとなっている。早い個体は5月には生まれる。遅くても8月まで。四か月間の差が生じる。タシギの渡りは9月から始まる。早く生まれた個体は幼羽も残すことなく第一回目冬羽で渡来する。又遅く生まれた個体は幼羽の新鮮なまま渡来することが稀にある。殆どは幼羽を一部に残しながら冬羽へ換羽進行中で渡る、越冬を始める。年が明けても幼羽をかなり残している。これらの個体は明らかに遅生まれの個体となる。早生まれ、遅生まれの基準、境は無いけれど換羽の進行状況からそのような事を推定できる。このような事を考える以前には棲息する環境で餌の豊富さや病気や怪我などの事を考えたが、勿論そのような事はある程度は考え得る。それと合わせて出生の早い遅いも関わる思えば納得できることです。タシギは冬羽に換羽完了すれば第一回目冬羽と成鳥冬羽との区別は私にはできない。そこに到達、換羽するまでの過程が様々な要因によるところが多い。だから面白いのです。2022.03.14記
 43  個体識別とニックネーム  個体識別は識別を上達させてくれる。顔の特徴をよく理解する、必ず特徴が見つかる。形が太い、細い、長い、短い、繋がる繋がらない、などの個体差を見つける。それでも十分ですが、その個体の性格?警戒心の強弱、習性などの癖を見極める。更には観察する場所の地名、東西南北、大小、などの地名と併記してそれぞれ観察する。ペットでは無いが愛着が深まるのは確かです。当、ホームページを愛読されていると分かると思います。○○のタシギと言えば、あいつかという風に分かります。定期観察を続けるにはその方法が便利ですよ。個体1個体2というよりは好きですね。2022.03.14記
 44  白化・アルビノ、黒化・メラニア  白化は部分的に色素が欠落することです。部分白化など。アルビノは色素が欠乏して白くなるので虹彩はおおむね赤いです。黒化は反対にメラニン色素過剰で黒くなること。鳥の世界も動物の世界もアルビノ、メラニアはある。人間も例外では無い。鳥は体内で色素を製造することができる。暗色とか黒色系など猛禽類にはあります。又コノハズクなどは褐色型、赤色型などホトトギス系では赤色型が知られている。ジシギでも標準的には褐色系ですが、暗色的なチュウジシギなどは知られている。しかし、南西諸島では淡色型のチュウジシギ(ニシチュウジ)がごく普通です。ハリオシギも淡色ですが、暗色型も居る。当ホームページ掲載してある。つまりジシギも例外では無く色彩の変化は無限大。オオジシギでは雨覆いが淡色が顕著ですが繁殖羽、冬羽の初期ではかなり相違がある。2022.03.14記南西諸島でタシギの部分白化、舳倉島でも同様な個体を観察している。
 45  タシギの生息環境と餌  タシギは湿地を好む。湿地でもいろいろある。河川、湖沼、田んぼ、水路、三面コンクリート、蓮田、河川も上流、中流下流で生態系は異なる。河川は泥地、砂地などがある場所なら棲息できそうだが、清流の石ころだらけの所は多分好まない。中流から下流の泥、砂などの有る干潟が彼らの好みです。山間部では木の葉などが堆積する、その環境で棲息する水棲昆虫幼虫の種が変わる。上流などではカゲロウ、トビケラなどが多い。これらの環境ではアオシギが棲息する。砂地、泥地ではドジョウ、ホトケドジョウ、カワエビなど、更には田んぼの水路ではトンボのヤゴ、ユスリカの幼虫、イトミミズ、ミミズなどが棲息している。アメリカザリガニなどの幼生、その年生まれの小さい個体はタシギの餌、大きなアメリカザリガニを突いて食べることは観たことは無い。嘴から丸呑みできる範囲の大きさが限界。水が無くじめじめしている畔などでは太いミミズを偶然捕食することはあるが、とても不器用で捕食から呑み込むまでは時間を要する。もたもたしているとクサシギが横取りする。他のジシギは太いミミズが主食だから捕食から呑み込みまであっという間です。甲虫の幼虫、芋虫は強い顎があるのでこれらは半殺し状態で飲み込む。動物質以外にも植物の種子も餌にすると野鳥事典には書かれている。2022.03.17記
 46  観察スタイル(最近の情況)  服装と観察用具など。現在の事を書いてみる。タシギは擬態・保護色の天才です。人間がタシギを確認する前に人の動きを察知して擬態・保護色、隠れる、逃げるなどの行動をする。水面など何も隠れるところが無ければ人はタシギを容易に発見する。同時に認識してからの後の行動はとても大切です。不審な動き、速く動くなど相手に対して天敵になりそうな行動は控えたい。つまり動きはゆっくりと、色彩は目立たない地味な色が良いでしょう。フイールドに溶け込むような色合いがベストです。白や黄色の淡色はとても目立つし遠くからでも認識されやすいです。やはりアースカラー、ダークグリンやそのカモ柄が最適です。最近は冬場はモスグリンのジャンバーです。下は紺色のウオーキングタイツ。ハットは天候と寒暖により変えている。雨はカモ柄、防寒は耳あてつきハット、今は天気だと通販で購入した幅広ツバ付後部に幕がある陽射し避け。紫外線にも良好。手袋は100均のスマフォ対応手袋です。足元はモンベルのウォーキング、ハイキングシューズを履き替える。デイパック20リットル、黒パタゴニア製、350ccボトル、お茶。双眼鏡スワロスキー10x30、コンデジクールピクス24-3000=P1000とW100かP310。100パーセント徒歩での観察。秋の渡りではデジイチD500と300か80-400手持ちで飛翔撮影。
春秋用の下はストレッチウオーキングパンツカモ柄かグリン系です。上はTシャッツとシャッツ暗色にメッシュベストでカモフラする。今はビバホームの作業用カモ柄のストレッチカーゴパンツが欲しいです。上着は夏用の薄いカモ柄パーカーを探している。今はモスグリンパーカーを使用している。ジシギの観察にはできるだけ一人で地味にがベストです。いろいろ楽しみながらタシギとの騙しあいをチャレンジしてみましょう。2022.03.18記
 47  タシギの餌  34湿地、35採食地で環境に適応してその場所に棲息する生物を捕食する。植物性としてはタデの実、ミゾソバ、ヒエ、カヤツリグサなどの種子を食べると清棲幸保著野鳥の事典に記載がある。ミミズは太いドバミミズ、シマミミズ・養殖、イトミミズ、アカムシ・ユスリカの幼虫が主な餌となる。アカムシは環境指針となり水質が悪くても生息可能で何処にでも棲息している。多分これが主食と思える。湿地、河川、湖沼、海岸、田んぼ、蓮田などに棲息する生物を捕食している。綺麗な清流ではトビケラ、カゲロウなど中流域では泥地でヤゴ、ザリガニ幼生、ドジョウ、エビ、貝類など、土手や畔では甲虫のの幼虫なども捕食する。その環境に適応して捕食する。なんでも食べる。我々が観ているのはほんの一部分だけです。越冬、旅の途中、繁殖地などで色々と変化する。2022.03.30記
 48  渡りのタシギは水田が分かる  フイールド内には数少ない水田、一年中水が溜まっている田んぼ。があります。越冬タシギたちは好んで採食場所にする。渡りのタシギたちは水田をどのようにして見つけるのか。①本能的に知る②先発隊が居て姿・声などで分かる③水田は元々湧水や岩盤が硬くて水を吸収せずに溜まりやすいから水があれば水田と認識し易い。何故水田かは分かりますよね。年中水が有ればそこに棲む水棲生物は途切れる事無く棲息する。
乾田では生き延びられない、そこで再生するには時間を要する。従って有機無農薬水田は水棲生物の宝庫なのです。勿論、乾田でも生き延びる生物は居ると思いますが
ザリガニやドジョウなどは地中深く潜り半冬眠状態になる。など・・・2022.04.03記
移動中のタシギは高度はどれくらいで飛行しているのだろうか、100-200メートルの高さなら彼らの視力では地上に居る鳥友・鳥仲間の姿を目視や声で確認することが簡単では無いのだろうかと今は思っている。人間の目では100メートルでタシギを視認することは困難だが彼らには極当たり前のことでしょう、と思うこの頃です。夜間でさえも彼らの能力はとても人間の考えの及ばない能力と思える。そうでなければ、何千キロも移動できる筈がありません。2022.04.09追記
 49  タシギの探し方  この時季・春の渡りでの探し方。フイールドは一年中通っているから今は何が居るかリアルタイムに分かっている、しかし、渡りのシーズンはある程度の予想はできるが予想外のものが見つかるのがこれが最善の楽しみです。普通種でもそのフイールドではなかなか観られないというのは幾つもある。さてタシギやその他のジシギを探すのが主な目的ですからタシギを探す方法を書いてみます。越冬地はある程度固定化される。と同時にタシギやその他のジシギも同様な、湿地を好んで滞在する。水がある水路などをはじめとして田んぼはいろいろな環境状態に変化する。乾いた二番穂、春の雨で適度に水が溜まる二番穂、タガラシ、スズメノテッポウなどが生える湿田、休耕田、非三面コンクリ水路・昔ながらの水路はいろいろな草が生えて水が適度に溜まる、などある。この他その場所により様々な環境がある。ポイントは水、泥地、草地です。そのような場所を巡回観察することで何処に多く居るかが見えてくる。効率的に探す為ポイントを探す、時には歩いたことのない場所も行ってみる。タシギが飛び立つ、飛翔形態観察のチャンスです。着地点を必ずチェックする、飛び去ることも確認すると良い。着地点に近づいて観る。殆どの個体は着地後に歩いて、走って移動してより安全な草地などに隠れることが多い。中には着地後付近に留まる個体も居る。所謂、愛想の良い個体はかなりの距離でも隠れる事も無く居ることがある。これがチャンス到来です。観るから撮るまで。あまり調子に乗って近づき過ぎては駄目です。見えるならそこで我慢して観察するのが良い。
まあ殆どは観られないことが多いのです。不思議と同じ場所で観ることが多いのです。
我々の感じない何かがあると思われる。有機農場でミミズやその他の生物が多いなどあるのかも知れない。春も秋も同様に思える。さて探し方を理解出来たらその場所で最も効率的な方法でジシギ・タシギを探してみましょう。渡りの途中の思いもよらない種類に出会えることが必ずあります。今季はウズラ、クイナ、シマクイナ、タマシギ、など我がフイールドに現れました。2202.04.26記
 50  タシギの飛翔を撮る  やはり渡りの季節、春と秋の渡りがベストです。飛翔を撮るにはある程度の高さと空抜き、旋回飛翔が欠かせない、越冬期の飛翔は単独のことが多い、飛ぶ距離も短く、低いから撮影はかなり困難です。春と秋の渡りは群れでの移動が多いから、天候、快晴か晴れが最高です、曇り空ではタシギは見失うことが多いです。群れは近距離で低くという事は少ないです。移動季ですから移動が目的です。少しでも速く移動しようとするから、チャンスは増える。フイールドでは手持ちで準備しながら歩く、飛び去る予想を観る。横移動になれば撮影のチャンスです。デジタルだからフイルム代は不要、消せば済む。そんなチャンスは毎回あるわけでは無い、何度も繰り返してチャンスを得る。幸運を祈る。2022.05.03記
     
     
inserted by FC2 system