い ろ い ろ 雑 記 帳
Birdopia Gallinavi 20220708
Golden Snipe  Gallinago Aurum  キンジシギ 黄金地鴫
スマフォのメモに書き溜めたものをまとめてみました。基本的にはジシギが中心です。
 

1。読本ジシギワールドエピソード

 黒ハリオ

ジシギ祭

段差とは

同一円周

楕円周

見えにくい針尾、見えないのでは無い

見えやすいチュウジシギの尾羽

バフ色

ゴールデンバフ色

越冬地GPS

多様性、ジシギのバリエーション

ニアミス

フリーズ

カモフラる

小さなジシギ

鳥友の仲間

鳥も人も平常心

真横からの観察

ジシギ間の重なり合い類似性

迷ったら最終的な識別点は外側尾羽

外側尾羽が決定的、形状、色彩、枚数は参考

過去の経験、画像と尾羽から引用

スタイルとプロポーション

尾羽の見方と見え方 平面的と水平的

尾羽はこんな時に見える

一連の行動の流れを知れば予測出来る

予測出来ないのは突然の外乱

猛禽類襲撃、ちいさな猛禽百舌鳥

天敵、人、動物、猛禽、爬虫類

水棲昆虫と幼虫、魚甲殻、貝、と環境

タシギの餌、植物種子など

 

以下タシギ中心ワールド

生態行動

飛翔形態

地鳴き

渡りと移動、渡来渡去

越冬地

繁殖地

採食場所、生息地

餌と環境

湿地

水と泥、落ち葉、水草、藻、田圃、河川、湖沼、湿原、いろいろな植生環境

三面舗装水路、

一日の行動は朝の目覚めから採食、休憩、羽繕い、水浴び、羽ばたき、油脂塗り、日光浴、翼伸び、尾羽開き、エンゼルポーズ、

休憩は短く或いは長く、繰り返す。

 2。ジシギ識別絶対的ポイント、  

中央尾羽、中間尾羽、外側尾羽、最外側尾羽、外側尾羽の形状と色彩、

ジシギ識別絶対的ポイント、下雨覆は白く淡色部が多い、地鳴、飛び立つ飛行はジグザグ、旋回飛翔、元に戻る、高々度で飛び去る、低空で飛翔が重い、翼動が重い、翼動が速い、外側羽縁が線状に連なる、最下段羽縁は後方へ斜めに不連続に、ジェーーッ、長音でしやがれ声、しわがれた声、ゲェッ一声、ジッ一声、クェッ非濁音、地鳴きは補助手段、水のある泥地、湿地、畦や草地、乾いた草地、ミミズを捕食、甲虫の幼虫、芋虫、水棲昆虫、幼虫、稚魚、赤虫、植物の種子、明るいバフ色、寸詰まり体形、JIZZ、真横から、平常心、鳥も人も、プロポーション、スタイル、大きさ、相対比較、カモフラ、隠れる、伏せる、瞬間移動、飛び立ち、逃飛行、ブラインド、ニヤミス、フリーズ、水浴、羽繕、、伸び、尾羽日光浴、尾腺、油脂塗り、防水、翼の伸び、エンジェルポーズ、羽ばたき、ジグザグ飛行、左右に傾けて飛行、鳥友の仲間が居る場所、ぽとんと落下するように着地、様子をうかがう、越冬中は移動飛行距離が少ない傾向、枯れ草や枝、湿った水田の稲藁稲株は背面のバフ色ラインに擬態、瞬間移動、ネズミの如く走り去る、目そらす、目が合う、

 3。採食、採餌、捕食  

個体識別、顔パターン、形態特徴、傷病、小柄、生息地、河川湖沼蓮田水田などの湿地、越冬地、移動と渡り、中継地、繁殖羽、越夏、非繁殖羽、小群、集団越冬、集団採食、色彩個体差、黄褐色、赤褐色、黒褐色、鮮やかな斑点、目立つ、小さな個体、遅生まれ、換羽が遅い、生息環境、餌の豊富差、警戒心の強弱、季節変化、縄張り、テリトリー、産まれた年、年が明けた翌年、第一回目冬羽と成鳥冬羽の差が無くなる、肩羽羽縁の太さ、第一回と成鳥の差、雌雄差は嘴の長さと尾羽、背面上面図、外側羽縁のライン、側面、正面、パターン、姿勢、Style、割合、プロポーション、全て。

 4。観察記録のタイトル()

読む図鑑の構想

 

タシギの観察

越冬タシギ観察記録

秋から春までのタシギ観察

幼鳥幼羽から成鳥夏羽までの変化

タシギの羽衣の変化を観る

タシギ識別講座

タシギはこんな鳥

タシギは簡単に分かる

田鴫を観てみよう

タシギはミスが少ないから好きになる

タシギが解ると好きになる

タシギは群れる

タシギは縄張を作る

タシギは擬態の天才

タシギは迷彩色の天才

タシギはカモフラの天才

タシギは瞬間移動する

タシギはネズミより速い

タシギは猛禽が嫌い

タシギはスタイリスト

タシギの詳細写真図鑑幼鳥から成鳥迄

幼鳥幼羽から成鳥冬羽・夏羽への変化

垂れ尾のタシギと仲間たち

タシギの個体識別とニックネーム

垂れ尾とファミリーと嘴太と北側水路

遅生まれのタシギは成長が遅い、換羽が遅い

小柄な個体は可愛いく見える

タシギを楽しむ図鑑

幼鳥幼羽の痕跡は難しい、間違い易い

肩羽羽縁が広い狭いは難しい

タシギの楽しみ方

 

地鴫の世界、ジシギワールド 読む図鑑 観察から解るタシギ田鴫の世界

行動は形態動作習性本能などにより一定の行動がみられる。それらを分析してみる。

 

ジシギ、タシギを理解する生態行動用語解説

 

最新版 タシギの読む図鑑 進化は止まらない新しい発見考えが次々に生まれるから、常にフィールドからの情報が毎日積み重なる。

 

 

5。垂れ尾というタシギと仲間たちの物語

  この年に最も観察された個体で9月から4月までの羽衣の変化が分かる。成鳥冬羽から成鳥夏羽への変化。を魅せてくれた。

 

SNSの進歩によりリアルタイムにジシギの渡りは全国から情報が伝わる。

オオジシギプロジェクトもその代表例。検索してオオジシギの渡りを調べみよう。7月中旬になるとオオジシギが関東平野の利根川流域に渡来する。成鳥(夏羽後期から冬羽へ換羽中)から始まり8月中旬には幼鳥(幼羽から第一回目冬羽へ)が渡来する。9月になるとチュウジシギが渡来する。初めは成鳥冬羽、そして幼鳥幼羽が渡来する。上旬を過ぎる頃にはタシギが渡来する。オオジシギは少なくなる。驚いたのは8月中旬にはタシギの幼鳥が渡来した事。通常は成鳥からだが、かなり成長が早い幼鳥が居ること。幼鳥の換羽状態は不明だが、100%幼鳥でも、或いはそうでは無くても想像しただけでも妄想は止まらない。親離れした幼鳥は果たしてどの程度の期間で渡りに入るのかなど。夕張原野では7月上旬にオオジシギ幼鳥が捕獲されている。早い個体は5月には産卵する。それから2ヶ月で幼鳥は独立し、更に1ヶ月ちょってで関東へ南下する、これは明らかな渡り移動である。つまり3ヶ月余りで本格的な渡りを始める。

9月になり、タシギの渡来が本格的になる。当地、埼玉県東南部の江戸川西側水田地帯はコンバインがあちこちで籾の収穫が始まる。苅田の農道を歩きながらジシギを探す。刈り取ったばかりの水田では二番穂が青々と伸び始めている。少し湿り気のある場所はタシギたちが好んで採餌や休憩をする。そんな所からジェーっとしわがれた声を発しながらタシギが飛び立つ。飛び立ちは突然にそしてジグザグに飛びながら高度を上げる。すると後から次々にタシギは飛び立ち複数の個体がまとまり旋回しながら高度を上げる。

渡の時季は移動が目的だから、あっという間に飛び去って行く。まれには何度か旋回を続けた後に飛び立った場所か近くの鳥友の仲間が降りて居る水田に降りることがある。観察は繰り返し、いくつものデータを積み重ねることで正確性が確実に増すことになる。

タシギが飛んだ、だけに終わらせずに、どんな飛び方をするのか?何処に飛んで行くのか?などいろいろな事に拘ると新しい発見に繋がる事が多くなる。好奇心が何事にも優先する。

偶然にも飛び立った場所に戻ったら慎重に覗いて観る、ある個体は着地と同時にその場から走り去り枯れ草のそばに擬態する。そんなところを観られたら最高の幸せ。

9月中旬に水が引いた小さな三面舗装の用水路に一羽のタシギを見つけた。

その時は未だ渡りの途中の個体が立ち寄ったと思った。その後の観察で、この時季から越冬は始まっている。

ということを後から分かった。それが

垂れ尾のタシギと個体識別ができていたからである。特徴は尾羽が明らかに垂れている。採食していても、耕作田で休んでいても識別が可能。時がすぎてから体形や顔のパターンからも垂れ尾だと分かるようになっていた。それからは垂れ尾はオスかメスか?、成鳥か否か?。それらを確かめるように観察を続けた。ある日、二羽のタシギが

寄り添って採食していた。垂れ尾が小さなドジョウを捕食した。生きているドジョウはなかなか飲み込めない。すると側に居たタシギは小柄で明らかに子供、幼鳥という感じだ。その時、小柄なタシギはドジョウを横取りした。そして少し離れてドジョウを食べた。横取りされた垂れ尾は取り返す事もなく何事も無かったように採食を続けた。こんな事あり得るのか?。

垂れ尾は母親だと思うようになっていた。その後、二羽での観察機会は少なかったが、垂れ尾の嘴は特に長くは無い。やはり母親では無く父親である。つまり雄であるとの結論になった。しかし、確実には分からない。

小柄な個体は幼鳥幼羽である。その後

何度か複数や単独での出会いがあった。小柄な個体は年が明けても完全な第一回冬羽に換羽完了する事なく幼鳥幼羽を残したまま春を迎えた。小柄な個体は警戒心が強くて、何度か出会えても詳細に観察する機会は少なかった。フィールド内には二三個体の幼鳥幼羽が越冬していた。換羽の変化に大変参考になった。垂れ尾のタシギはとても警戒心が強くて開けた水路に現れる事は少なく

いつも草被りの水路が採食場所になっていた。開けた水路では最も遠い場所に居て、至近距離で出会うと走り去り、隠れてこちらの様子を窺うこともしばしば観察されている。晩秋から初冬の頃は水路の水が少なくなり餌も不足になる。この時季からは採食が中心になり警戒心は最も薄くなる様に感じる。食べることが優先である。

厳冬期は更に厳しくなり小さな水路は干上がってしまう。そんな時は定位置から離れて近くの水のある水路に移動して採食する。厳冬期の夜明けは遅く日の出から氷の融解までには時間がかかる。

その間彼らは朝日をあびて暖をとるように日光浴をするところを何度も観察した。氷が溶け始めると採食が始まる。彼らは氷が溶けた場所をよく知り尽くしている。

1月下旬から2月上旬には水深の浅い水路は終日凍結する。そんな時彼らは何処で採食するのだろうか

より多くの水深のある場所、大河、遊水池、蓮田、などがある。当地には江戸川やそこから引き込まれた水路がある、そして住宅地が水田地帯の中にもある。そこには生活排水が水路に流れている、そこは厳冬期でも凍結すること無く彼らの採食場所になっていることに驚いた。彼らはこのように上手く人間の生活を活用している。小さなオアシスのようだ。春の雨が降るまでその場所は利用された。厳冬期に水路は干上がれば彼らは何処かに移動して行く。何日も居なくなる。春も近いから移動したかも?

そして雨が降る、水路は湿り深い場所には水が溜る。すると垂れ尾タシギは思い出したように元々の場所に戻る。

こんな狭い場所にどうして拘るのだろうか。第一番目には餌が確保できる事、安心安全な場所がある。パーフェクトでは無いが続けてきたことは継続する。狭い越冬地は視覚や脳内GPSに刻み込まれている。南西諸島への越冬調査では芋田で越冬するチュウジシギを観察した。芋田の葉はチュウジシギを隠す最高のカバーになる。天敵から身を守るなど。ある日、芋田はトラクターで耕作された。芋田はオープンスペースになってしまった。トラクターが去り静かになった。チュウジシギは戻ったが隠れるところが無い。身を伏せて辺りを伺う。しかし、隠れる場所は無い。彼は暫くして別の場所を選択した。このように条件が変わる迄越冬地は変えない。ということを知った。垂れ尾タシギはとても臆病だ。越冬している場所には天敵が沢山いる。チョウゲンボウ、モズ、カラスなど。更には家猫、イタチ、人などがあふれている。

ある日、垂れ尾タシギの生息地にチョウゲンボウが飛来した。電柱に止まり餌を探している。チョウゲンボウが飛び立つ、すると二番穂の中に隠れていた垂れ尾が飛び出した。あれ、、、、

飛び出したチョウゲンボウに恐れおののいて飛び出した。そして耕作田に降りた。ひょっとして、、、やはり垂れ尾だった。飛び出さなければチョウゲンボウだって気がつかないのに。隠れていた垂れ尾はドキドキしていたに違いない。そんなことがあった事を思い出す。

垂れ尾が不在の事もある。それは採食を終えて休憩の場合などは近くの二番穂に隠れて休んでいる事がある。

また、耕作田に伏せて休むこともある。オープンな場所に長時間居るのはリスクが高い。数分後には水路に入り身を隠す。このような場面を何度も観察した。水路には草被りがあり、橋がある。そんなところも上手に利用して身を護っている。橋の下は天敵からの防御には最高。同じフィールド内にコサギが居た。彼は好んで橋の下を採餌や隠れ場所として利用していた。他の鳥たちも利用していると思える。鳥たちは人工的な工作物を上手く利用している。小さな水路の橋の下にはパイプラインがある、そんな場所をカワセミが利用していた。我が家の玄関先にジョウビタキ♀が塒にしたことがある。

垂れ尾は成鳥冬羽から夏羽の初期までいろいろな羽衣の変化を観せてくれた。時系列で変化を再確認してみたい。楽しみ。成鳥夏羽は全体的に赤褐色が増し鮮やかになる。そんな姿を垂れ尾は魅せてくれた。暖かい春の雨が降り続く日にカメラをびしょ濡れにしながら彼は見晴らしの良い場所で別れを惜しむかのように立って居た。これが今季最後の出会いだった。来季も必ず戻る事を願いながら。

 

 

6。タシギの警戒心の強弱

ジシギは攻撃するような武器となるものは持たない。身を守るのは逃げる隠れる擬態する。もっとも強力なのは地上で枯草などで身を隠す方法が最強だ。湿り気のある土の黒々とした色合いは正しくピッタリです。耕作田は凸凹がある。凹みに伏せる。稲藁の枯れ草色は更に擬態のプラスになる。背面のラインは正しく稲藁模様となる。水路から飛び立ち耕作田に降りた。そんなに距離は離れて無いのに双眼鏡で探してもなかなか見つけられない。暫くして眼が慣れた。

それでも見つけられない。タシギは身を伏せて居る。頭を体に付けて動かない。それが最高の方法だ。ちょっとでも動いたらその場所は見つけられてしまう。見つからないという自信が身を守る。飛び立ち、枯れた二番穂の中に降りたタシギは自信があり動かない。でも俺はそこに居るのを見抜いた。かなり近いのに動かない、多分踏み付けられるまで動かないのだろう。危険が迫った瞬間、飛び立つ。その距離は個体差がある。最も警戒心が強い個体は人の気配を感じる場所には現れない。人知れず大きな湖沼や大河川の葦原の中の湿原、湿地で生活しているから人には絶対に会う事はない。

都市公園の湿地に生活するタシギは柵で仕切られて人はそれ以上近づく事はない。学習している。他の天敵は近づく事もない。そんなタシギとの距離は

ほんの23mだ。そんな場所を探してみよう。警戒心は同一個体でも環境、場所、距離、餌や他の状態など様々な条件による。ニアミスして互いにフリーズなんてことも数多く経験した。そしてタシギはこちらに気がついているのに平然と採食を続ける。こんなことは雨天のことの方が多いような気がする。ある日の夕方の事、雨がしとしと降っていた。道路そばの休耕田にジシギを見つけた、近過ぎるほどの距離。窓から観察する、ジシギもゆっくりと動いて採食する。つまり、擬態しながらカメレオンの如く採食する。こちらを伺っているのがありありと伝わって来る。少しずつ遠去かる。そして視界から消えた。その後、そこを毎回チェックした。しかし全く現れる事は無かった。雨が降っていた。その田んぼには作業者がいた。路側帯の側に見つけた。キーワードは雨、朝夕など人が居ない雨の日に路側帯に居た。その後何度か観た。まさか二羽で居るとは想像もしなかった。二羽ともハリオシギだった。正しく灰褐色の地味な冬羽後期の個体だった。

タシギは本来なら警戒心が強いと思いながら観察すれば、近づけたらラッキーと思える。いろいろな個体でいろいろな警戒心がある事を知る。

幼鳥は成鳥よりも警戒心が弱いと言うのは都市伝説なのかも知れない。これも一つの傾向とした方がよいと思う。

やはり個体差が大きいと思う。弱い鳥たちは警戒心で身を守る。ジシギに夢中になり始めた頃(2000年頃の秋)やたらとチュウジシギが多かった、簡易ブラインド(葦簾と迷彩シートのブラインド)から水が引いた水路を観察するとチュウジシギはかなりの近くまで接近する。そんな事を何年か繰り返すとチュウジシギが一番警戒心が薄いと感じた。しかし、その後の何年かの観察経験から種間の差は自然に消えた。そして、現在では個体差が最優先になっている。ジシギは警戒心が強いのが普通、だから接近する事は少ない、だから根気よく回数を重ねる事でチャンスは必ずある。但し、接近するにはそれなりの対策をすること。ブラインド、車などその場に合う方法は必ずある。観察者もジシギに負けず劣らず地味に変身・カモフラしてみよう。今はアウトドアショップなどで簡単に手に入る。ハット、シャッツ、ヤッケなど安価になった。初めは恥ずかしさが強い、しかし、フィールドで擬態できればタシギを騙す事が出来るかも知れない。

飛翔時の下面は白から灰色だから曇天なら全く分からなくなる。ひょっとしたらこれも保護色かも知れない。春と秋の渡りの季節は雨が多いし、そんな天候までも保護色にしていると思うと奥が深いです。鳥たちは夜間な早朝、夕方に移動するのも暗闇を隠れ蓑にしているからにほかなない。

警戒心の強弱はどのように変わるかは永遠のテーマです。

 

7。タシギの採食、環境と餌

 行動は主に水のある泥地で嘴を垂直に差し込み上下に素早く動かしながら水棲生物を捕食する。獲物を捕食すると動きが一瞬停止、嘴をもち上げて飲み込む。赤虫など小さな獲物は相当な数を捕食しなければならないので採食時間は長くなる。ある時には赤虫の端を銜えてゆっくり持ち上げる、赤虫は伸び切り水中から引き出される。あっと言う間に飲み込まれてしまう。

タシギの嘴の内側には上下にギザギザが有り獲物は逃げられない。上嘴の先端部はピンセットのように器用に上に開く事ができる。多分、水中では嘴を素早く動かしながら獲物を捕食していると思う。ドジョウ幼魚、ザリガニ幼生、ヤゴなどは捕食した後に何度も咥え直し弱らせてから飲み込む。

タシギは大きなミミズを捕食すると、慣れて無いので何度も咥え直しては落とし、又咥え直しては落とす。これを何度も繰り返してやっと頭を咥えて飲み込む。大きな獲物だから喉が大きく膨らみ飲み込まれていく。時には眼を白黒させながら飲み込むこともある。

水辺の落ち葉など堆積した湿地では

嘴を斜めに差し込み甲虫の幼虫を捕食すると、幼虫・芋虫は鋭い歯(大顎)があるから何度も頭を咥えて弱らせてから飲み込む。本能的な行動だとおもう。他のジシギは甲虫の幼虫を捕食する事も多いからこの行動はよく観察される。

ある日、タシギはドジョウを捕食した。いつものように手こずっていた、少しは弱ったドジョウを側に居たクサシギが横取りしてあっと言う間に飲みこんだ。タシギは何事も無かったように採食を始めていた。クサシギはタシギの側に居てチャンスを狙っていたのかも知れない。側に居てもなんら追い出す行動も無く平和なタシギです。

タシギは全く闘争しないのか、否そうでも無い。時には側に居る鳥、イソシギやハクセキレイなど長い嘴(上嘴の先端部は開く)を向けて追い払うことを観た事がある。それは相手を傷つける行為では無く単なる追い払う行為だから。だから平和な鳥なのです。タシギの優しさが少しでも伝われば嬉しい。

タシギが畦を突いていると太いミミズが飛び出した。それを見たタシギは咥える、頭を咥えれば飲み込み易いのに真ん中や尾の方を咥えるとミミズはくねくねと抵抗し続ける。頭を咥えて弱らせてから飲み込むまではかなり手こずっていた。ミミズは生きたままでも害は無い事を知っている。 

観察していると何を捕食したのか分からない程小さな生物を食べている。嘴、喉から入れば何でも食べるようだ。古典的な図鑑や事典から植物の種子まで食べている、と記載してある、これは大発見でした。清棲幸保著、野鳥の事典。食べている餌は小さくて分からない事が多い、最近のカメラの高画質、高速化でそれらがだんだん分かるようになって来た。更には採食を中心に観察をすればもっと明らかになると思う。越冬地と繁殖地では餌の種類は異なるのだろうか、考えは止まらない。

繁殖地から渡り途中、越冬地、いろいろな環境を通過する、そこで得られる生物を餌に対応する。ミミズ、昆虫の幼虫、魚、貝、など活き餌しか食べない。しかし生物は無限

 

 

8。タシギの休憩

 

越冬地では採食と休憩を繰り返す。餌が豊富な時は長い休憩になる。しかし、厳冬期など餌不足なら短い休憩を繰り返す。短い休憩は採食している

その場でちょっとだけ休憩。或いは側の陸地に上がり羽繕いなどの手入れをする。嘴についた泥を足指で丁寧に掻き落とす。などなど、、、時には頭を掻く、尾羽の上の油脂腺からの油脂を羽毛に塗り防水性、撥水性をたかめる。長い休憩では少し離れてる場所、

擬態ができるような枯れ草木などがある複雑な場所を選ぶことが多い。それは長時間の休憩だから天敵に見つかりにくい場所を選ぶのがベスト。畦は丁寧に除草されている。そんな場所は丸見え、しかし除草された枯れ草はまとめられて畦にある、するとタシギはその枯れ草の塊りの側で休む。何と賢い。枯れ草に座れば全く枯れ草だ。

厳冬期に大河、江戸川に行った。大河も浅瀬は凍結している。流れのある浅瀬、干潟は採食場所になる。休んでいるタシギを見つけた。広い干潟はタヒバリ、ハクセキレイ、ツグミ、イカルチドリの採食場所。湿り気のある干潟

に枯れ枝が一本ある、その枝の下にタシギは嘴を背中に入れて休んでいる。

休んでいても眼は交互に開けて警戒している。そんな場面を何度も観察した。渡りの前や換羽には相当のエネルギーを消費する。春の渡り前には採食時間は長く多量の餌を獲る。多分、終夜食べ続けていると思われる。バンディングなどの捕獲調査から体重増加が分かっている。渡りが近いと警戒心は極大になる。とても神経質になる。特に集団になると警戒心は倍増する。一羽が警戒して飛び立つと残りも次々に飛び立ち危機から逃れる。一羽の警戒心は個体数のかけ算の数値になって倍増する。

これが集団の強みだ。一羽では見えない危険を誰かが察知する。センサーは多いほど役に立つ。集団で採食している、そんな時は鳥たちは意外と近い事が多い。誰かが警戒するとその群れはあっという間に遠ざかって行く。

ある日のこと。タシギは採食を終えて餌場から飛び立った。耕作田に降りた、周りを警戒しながら稲藁の切株の側に伏せた。目を離せば見失ってしまう。彼らは動かない事で周囲に擬態する。しかしながら時には擬態に自信が無いのか、更に安全な場所に移動するという方法を選択する。それが天敵には最大のチャンスになる。動かなければ見つからないのに、ちょっとしたミスは最大のリスクになる。

ある日の事、いつものフィールドにタシギが居た、その場所は二番穂が枯れた水田、そこに居るのが分かっていたのでは無い。電柱に止まり地上を凝視する一羽のチョウゲンボウ♂、ハタネズミでも探しているのだろうか、暫くするとチョウゲンボウは飛んだ、タシギが隠れていた田圃の上空をひらひらと、タシギは飛び出した。チョウゲンボウはタシギを襲った訳では無い、タシギは襲われたと感じて飛び出した。

隠れていれば分からないのに、チョウゲンボウは何事も無かったように飛び去った。タシギは耕作田に降りた。まる見えになっている。しきりに周囲を警戒している。それから数分後には小さな用水路に入った。彼の安心安全を守れる場所に。越冬場所にはとにかく拘る。そういう理由があるから

 

9。タシギの色の変化と解説

 全体的な印象は茶褐色が一般的な色になる。もう一歩踏みこんでみよう。背や肩羽は黒の軸斑に赤褐色の複雑な模様が入る、羽縁はクリーム色などのバフ色で片側二本の線状に連なって見える。最下段の外側羽縁は後方に斜線が不連続に連なる事が多い。稀には線状に連なる事もある。雨覆いは黒褐色で淡い羽縁で縁取られる。三列風切りは赤褐色で黒の横斑が複雑に入る、羽縁はバフ色。尾羽は先端が白、黒と赤褐色の横斑が入る。12から16枚、通常は14枚、ほぼ等幅、最外側尾羽は褐色斑が入り淡色になる。

以上が標準的なタシギの色彩になる。

幼鳥幼羽では全体的にモノトーン的で羽縁は細く白い。背や肩羽から換羽が始まり茶褐色の軸斑にバフ色の羽縁に変化する。個体差により赤色の色素と黒色の色素の多少により、茶褐色から黒褐色の変化になる。赤褐色系色素が多い個体は羽縁がゴールドメタリックに輝く。これらの個体はゴールデンバフと呼んで区別している。肩羽の一枚一枚の大きさ、外側羽縁の太さは、幼鳥、第一冬羽、第一夏羽、成鳥冬羽、成鳥夏羽で微妙に異なるように感じる。幼鳥では小さく外側羽縁は細い、成鳥では一枚一枚が大きく太くなると思っている。個体の体格の大小差にもよるがその個体の肩羽の大きさや外側羽縁の太さが分かるようになる。そう言う傾向にある、と理解している。翼下面は淡色で他のジシギとの区別点。飛んだ時は次列風切後縁は明瞭な白帯になる。地上でも伸びや羽ばたき、羽繕いでも白帯は目立つ。

飛び立ちや飛びながらジェーっと、長くしわがれた声で一声、二声鳴く。勿論、鳴かない事もあり、別の声を発する事もあるから沢山の観察から判断すればミスは少なくなる。タシギの地鳴きが一番覚え易い。飛びながら体を左右に傾けて高速で飛ぶ。ジグザグ飛行。翼動は軽く速い。パッパッと開くように見える。旋回飛行して着地点近くでは高度を下げ地上から数メートルの高さからポトンと落下するように着地する。幅の狭い用水路は意外にも深い、そんな場所にもピンポイントでぽとんと上手く降りて、落ちて行く。

ある日の午後、スコールが通り過ぎて晴れ間がでた。水田側にばさっと何かが落ちた、よく観るとジシギが二羽そこに伏せていた。明らかに空から降って来たと思えた。体はびしょ濡れだった。暫くするた警戒するように採食を始めた。この時、昼間でも移動している事が分かった。個体はハリオシギでした。二度目は粟国島での事、悪天候の後回復に向かっていた。車で移動中、窓は開いている、側でバサッと音がした。車の側なので見えないから、一周して戻ったらそこにジシギが1羽、路側帯の草地で採食行動をしていた。同じ日に仲間も同様な経験をしていた。場所は島の南部と同一である。

離島の渡りでは岬など鳥が入る場所、飛び立つ場所は決まっている事が多い。粟国島も南西側か鳥たちが入る場所と思われ、そこには小鳥たちが群れていた。オオルリ、キビタキ、サンコウチョウ、マミチャジナイ、コサメビタキ、ミヤマヒタキ等それに牧場の草地にはハリオシギを沢山観察した。離島は楽しい。

 

10。幼鳥から成鳥

 タシギの繁殖期間はSHORE BIRDSには4月から8月となっている。ペアリングから幼鳥が親離れするには23ヶ月ほどと推定される。早い個体は6月中には親離れする。と推定される。渡りは9月から始まる、早く生まれた個体は第1回冬羽への換羽を始めている、幼羽の痕跡を全く残す事無く、成鳥冬羽との区別は困難になる。幼羽を残す個体はいろいろな換羽状態で、ほぼ100%幼羽の痕跡が残るものまで居る。幼羽は背、肩羽、雨覆、三列風切などの羽縁が細く白い。その痕跡を見つけるのが楽しい。

幼羽はモノトーン的でもあり光沢は少ないように見える。幼羽の後期ほどそう見える。つまり退色が進んだ事による。

第一冬羽や成鳥冬羽では初期の段階では茶褐色の光沢がある。換羽完了から時間経過、経日変化により退色や摩耗、脱落が始まる。美しい新鮮な羽毛と見える期間は極めて少ない。

第一夏羽でも完全に換羽が完了すると成鳥夏羽との区別は困難。なんらかの痕跡、幼羽があれば簡単に分かる。

成鳥夏羽は冬羽との比較では顔、頸側、後頭、胸、背、肩羽など明るく艶やかな赤褐色になる。新鮮な冬羽や夏羽の個体に会える機会は少ない。成鳥冬羽の新鮮な個体は観る機会はあるが少ない。

そのような個体に会える事を目標に観察すると楽しい。

 

11。タシギの複雑な羽毛の解説

 

1、成鳥冬羽では

 

頭上にはクリーム色の等幅の頭央線が後頭まで、黒褐色の2本の頭側線に挟まれている。頭側線は目の上で最も太く目先と目後では細くなる。頭側線内には褐色の小斑が目立つが個体差(有無、多少)と季節による。繁殖期は目立つ傾向。黒褐色の過眼線は目先では眉斑より太く、目の後では斑状線をなす。耳羽はクリーム色で褐色の小斑がある。頬は暗褐色の線が入る。喉はクリーム色。後頸、頸側は淡黄褐色で黒褐色の小縦斑が多い。背は黒褐色の金属光沢があり、新鮮な羽毛だけ、その期間は極めて短いから観られたら超幸運。カラス、ツバメ、シジュウカラ、カワセミ、レンカク等で観られる金属光沢。赤褐色の小斑が入る。外側は淡褐色の羽縁で線状(縦線)になる。肩羽は黒色の軸斑で赤褐色の斑点と横斑がある。外側羽縁は淡黄色に縁取られる。それが線状(縦線)に連なって見える。最下段の肩羽では羽縁は後部側に斜めに垂れ、連続的又は不連続線になる。腰は黒褐色でバフ色の横縞がある。上尾筒は赤褐色で黒の横斑と軸線があり、白い横斑が入る。胸は淡黄褐色で褐色の横縞が入る。翼は黒褐色、三列風切は赤褐色で黒の横斑が入る複雑な模様になる。尾羽は12から16枚、通常は14枚。黒色で先端は赤褐色でクリームと黒の細い横斑がある。最外側尾羽は淡色で全ての尾羽はほぼ等幅。嘴は長く基部から中ほどは緑黄色で先端部は黒色、上嘴先端部は上に開き(この動きは見えないが仲間を威嚇したりする時に観られる事がある)泥地に差し込み獲物を捕食する。嘴内部には歯状のギザギザがあり捕食した獲物を逃すことは無い。獲物は舌を使って引き込むように飲み込む。翼下面、下雨覆は淡色部が多く他のジシギとの区別点。脚、跗趾(足指)は緑黄色。先端部の爪は黒。虹彩は茶褐色で白く淡いアイリングがある。一般的には他種の幼鳥では虹彩は鈍い色が多いがタシギは如何だろうか、高画質画像や接近撮影がポイントだから今後の課題。

 

タシギが湿った水田で枯れ草、稲藁や切株の中に居ると周りに同化して擬態する。ようになる。天敵が近づいても動かなければ見破られる事は無い筈だが時には不用意に飛び出し猛禽類に捕食される事もある。彼らは自然の枯れ草木を上手に利用し、時には空き缶、ペットボトル、肥料袋、用水路のコンクリート壁面等の人工的なものにも擬態するが、人間の眼には簡単にばれてしまう事もある。

ニヤミスして緊急事態では水中に伏せてしまう事もあり、眼を離した隙間に飛び立っていくか走り去り隠れる。瞬間移動。はジシギの大切な防御法と思う。

 

2、幼鳥・幼羽は

 

背や肩羽、大中小・雨覆、三列風切などの羽縁は細く白い。全体的な光沢も乏しく見える。特に幼羽の後期で、他のジシギも同様。

 

3、成鳥夏羽では

 

顔、後頭、頸、胸、背、肩羽などは赤褐色の鮮やかな明るい色彩になる。渡りの遅い個体は5月過ぎに観られる事が多い。換羽の早い個体は34月頃から色彩の変化が観られる事がある。同一個体の観察では明らかな変化が明確になった。垂れ尾のタシギ、多分雄成鳥。全体的には明るい褐色で頭側線には斑点が目立つようになる。2020秋ー2021春の観察。

 

4、♂と♀

 

♀は♂より嘴が長め、色彩差はあるか無いかは不明。多分、あると思う、繁殖地での雌雄を対比してみたい。体格差はどうか。

♀≧  ♂優しい顔は♀らしい。

 

第一回冬羽や夏羽では成鳥に準じる。未だ分からない事は沢山ありすぎる。色彩や羽毛の一枚一枚に小さな変化が有るかもしれない。そんな好奇心をもって観察すればより楽しさが増えると思う。

 

独自解説は赤色で記述する2021.08.03

2022.03.09追記

 

12。タシギの行動

 

移動や渡り、採食、休憩、

秋の渡りから越冬期、春の渡りまで

移動、渡り

移動は夜間に群れで行うことが多く稀には単独で行動することもある。特に秋の渡りの終盤、9月下旬から10月頃には少数から単独が観られ、最盛期、9月中旬では個体数は多く集団数も最大になる。当地では4月から5月に小集団が観察される。渡りの時季は概して警戒心が強い、多数の目が警戒心を強くする。長距離移動は日没後から夜明け前が多い。沖縄県でのジシギ観察では日没直後にタシギが鳴き交わしながら飛び立って行く様を感じた。あー渡りだと感じる瞬間です。

ある日の早朝には畦に佇む一羽のジシギが居た。なかなか目覚めないので種は分からない。距離も遠いから警戒することも無い。時折、畦を突いてはミミズを捕食する。しかし、睡魔が強く直ぐに休む、こんな場面で2時間も3時間も観察を続けていると見えて来る事がある。最終的にはオオジシギでした。オオジシギプロジェクトでは渡りの経路や時間を明確にした。それまでは多分そうだろうと言う推論だったが科学的に証明された。彼らは時速約40km1週間飛び続けてパプアニュウギニアに到着した。なんと言う能力でしょう。途中の島々に降りる事も無く。又、ある日の朝、畦に休む一羽のジシギが居た。典型的なチュウジシギの色彩・暗色からチュウジシギと分かっていた。毎日定期観察を続けているとこの個体は渡って来たのか、そうでは無いのかが分かる。朝から採食もせず休むのは長い距離を渡って来たから、疲労と睡魔で身の安全をも省みずオープンな場所で休むのはリスクが高い。暫く休んでから採食を始めた、少しづつ平常心に戻り始めた。警戒心を取り戻しつつ採食しながら草陰に隠れる。これで安心。ジシギが警戒もせず近づくのは嬉しい反面、警戒心が薄いとこちらが心配になる。そんな経験ありませんか。そんな経験してみたいですか。

 

渡り、移動は繁殖地と越冬地を中継地を経由して行く。秋は北から南へ、春は南から北へ移動する、通過する旅鳥、或いは冬鳥である。日本は南北に細長く、北海道では旅鳥、本州以南では旅鳥或いは冬鳥となる。東南アジアなどもっと南にも移動する。渡りの最盛期が過ぎた頃にタシギが単独で飛び立つ。この個体は渡りか或いは越冬なのかを比べてみる。

渡りなら、旋回飛行をしながら高度を上げて遠ざかる。飛び立ち、旋回飛行は比較的狭く高度も低めなら付近で越冬している。という傾向にある。飛び方だけでもいろいろなことに想像が膨らむ。

越冬期には飛び立ち、旋回飛行して元の場所近くに戻り高度を下げ、ある程度の高さからぽとんと落下するように着地する。着地した付近が分かる時は探してみよう。タシギはその場にて擬態するか、或いはその場から走り去りある程度の距離を移動してから身体を隠す。など個体差により様々。個体差による警戒心の強弱がわかる。このような場合にタシギを見つけることはほぼ不可能で近づく前に飛び立たれてしまうのが普通です。飛び立ちは突然に高速のジグザグ飛行で体を左右に傾けながら飛び去る。翼動は軽く速い。地鳴きはジェーッとしわがれた声。野外でこのジェーッというカタカナ表記を自身の耳で確かめてみるのがよい。裸眼なら追い易いが双眼鏡だと意外にも慣れないと追えない事がある。

 

採食・採餌、捕食

 

水田、蓮田、河川、湖沼などの湿地や水のある泥地・干潟などで嘴を差し込んで上嘴端を開閉(実際には見えない)して獲物を捕食する。

タシギは生き餌が主食、死んだものを食べるところは観察した事が無い。植物の種子なども食べる。他のジシギとは異なり乾いた環境は好まない。乾いた草地(地中は湿っている)などでミミズを捕食する事は極めて稀。水田の畦など湿り気のある柔らかな場所では採食することがある。ハリオシギやチュウジシギ、オオジシギなどが好んで採食する草地は好まない。主食とする餌が異なり嘴の形状が環境、柔らかな泥地と草地を選択させる。タシギの嘴は細長く、柔らかな泥地を他のジシギは嘴は短めで嘴基部は太い。ストロウビルとアイスピックビルの相違がある。タシギは柔らかな泥地で基部まで差し込み捕食する。他のジシギは草地で嘴を斜めに差し込み捕食する。湿り気のある草地、水田の畦や側面では嘴を基部まで差し込みミミズなど捕食する。

 

観察からミミズや赤虫が大好物である。ドジョウの稚魚、ホトケドジョウ、ザリガニの幼生、ヤゴ、稚貝、小海老、甲虫の幼虫イモムシなど、清洲幸保著、野鳥事典では、たでの実、みぞそばの実など植物性も食べる。

甲虫の幼虫を捕食すると頭を何度も咥え直して弱らせてから飲み込む。幼虫には強力な鋏状の(大顎おおあご、クワガタのハサミ)の武器がある、生きたまま飲み込むと内臓が破られる恐れがある。本能的な行動なのだろう。大きなミミズは飲み込むまで時間がかかる、頭部を何度も咥え直して弱らせて嘴に巻きつかなくなったら飲み込む。大きなミミズはあまり食べ慣れないからと思う。他のジシギたちは太いミミズを捕食したら直ぐに頭部側を咥えてあっと言う間に飲み込んでしまう。このような些細な行動の差が分かってくると益々面白くなる。

図鑑によると日中は身を隠している、日没後に天敵からの捕食を逃れるように飛び立ち餌場に向かう。彼らは寧ろ猛禽類から逃れるのに夜間を利用している。と考えられる。

 

休憩

 

ちょっと一休み、採食と採食の合間に短時間の休み。

 

採食で満腹になり長い時間の休み。

 

採食中にちょっと休む、直ぐに採食を続ける。この行動を繰り返す。

餌が豊富な時は満腹になり、休み時間になる。長時間の休憩では天敵対策が必要になる。そんな時は餌場から少し遠くても身を隠す、擬態できるような場所を選ぶ。枯れ草や植物が生えるような場所を選んで休む。地面に伏せ、或いは立ったまま嘴を背中に差し込み、片目をあけて周囲の警戒を続ける。時折、伸びや羽繕い、翼や尾羽を開いて日光浴をする。

ちょっとひと休みなら採食中に、あるいは直ぐ近くの岸辺で同様の行動をする。

集団採食している場所では集団での休憩が観られる。着かず離れず適度な距離感で個々のお気に入りの場所で休む、次々に餌場に戻り採食と休憩を繰り返す。

当地の越冬個体は厳冬期には休むこと無く採食を続ける事がある。餌は少なくてもライバルも少なく住めば都なのでしょうか。水田地帯の用水路に生活する個体は二番穂のある場所などで休んでいる。耕作田でも乾いた土は明るく白っぽい、稲藁も白く、そこにタシギが入るとタシギの茶褐色が目立つ、しかし土が湿っているとタシギは同化して擬態が成功する。そんな場面はたまたま飛んだタシギが着地した事を観た場合にはラッキー。しかし場所が分かったとしてもそれを見つけるのは本当に難しい、分かっても一旦眼を離すと分からなくなる。地面ばかり観ていると均一で同じように見える、目標のタシギを見つけたら、延長線にある木立などを覚えてそのラインを探せば見つけ易い。鳥見の基本です。人に教える場合も同様。

 

羽繕いなど羽毛の手入れ

 

野鳥は飛ぶ為に羽毛を進化させてきた。軽くて防水性や断熱性に優れる。その為には手入れが欠かせない。羽毛を整え防水性を高める為には上尾筒近くの尾脂腺からの脂を嘴につけて羽毛に塗る。時には嘴に挟んで羽をしごく。濡れた羽毛は羽ばたき、ブルブルと身体を振るわせ水をとばす。更には太陽光に翼や尾羽を向けて乾燥と紫外線による殺菌作用など行う。その場で羽ばたきを繰り返すなど。

休憩中にも伸びや羽ばたきを行うが、この後に次の採食行動につながる事も多い。

カワウは潜水して魚を捕食する。捕食後は羽を日光浴をして乾かす。油脂が多すぎては水に潜れない、少ないと溺れてしまう、微妙なバランス。カワセミやヤマセミも同様。

 

水浴など

 

羽毛の手入れには羽繕いや水浴が欠かせない、水浴と羽繕い、油脂塗りは連続した行動になることが多い。採食している場所に水があると突然に水浴を始める。

水中に身体を沈めて羽ばたき、全身に水を浴びる。頭や嘴を水中に入れて左右に傾けて沈める。何度か繰り返し、水中から離れて岸に上がり、羽ばたき羽繕い他の行動を続ける。その後は休憩になることが多い。湿地でも厳冬期は水面が凍結して氷る。そんな時期でも流れのある水場で水浴する。厳冬期には我が家の庭にバードバスを設置する。小鳥たち、スズメ、メジロ、ジョウビタキ、シジュウカラ、ツグミ、ヒヨドリ、ムクドリが水を飲み必ず水浴をする、羽繕いして飛び去る。バスは植木鉢の下に敷く皿がベスト。深過ぎると小鳥たちは入らない、1から2センチがベスト。直径10センチ以上でプラスチックや素焼き陶器がある。場所を決めたら移動しない事。鳥たちは常に羽毛の手入れを欠かさない事がバードバスから分かります。尚、猫に襲われないように高くするなど方策をする。

 

鳥友 とりとも

 

清洲幸保著 野鳥の事典 東京堂出版

 

タシギの行動について面白い用語を見つけた。上記の中に 鳥友 というのがあった。タシギの行動は観察から分かっていたが、仲間・タシギの事を鳥友というので説明していた。思わず納得して思い出し笑いをしてしまった。このように何気ない簡単な文字でも奥深い事がある。

 

高野伸二さんの日本の野鳥も読み返してみると本当にすばらしいです。今は観察機材が高機能化して詳細が明らかになっているから図鑑の解説は益々正確になった。それでも未だ未だ分からない事が多い。そんな所を一つでも解き明かしたいと思いながら観察を続けたい。

 

飛翔と着地

 

元に戻る、鳥友の仲間たちの居る側に数メートルの高さからぽとんと落下するように着地する。

タシギが飛び立ち旋回飛行をする。とある場所になると高度を下げる、そして数メートル上からぽとんと落下するように着地する。そこには鳥友の仲間が居る。人の目では見えないところまで彼らは見えている。仲間の居る場所は安心安全が確保されている。

 

 

13。タシギについて 最新版読む図鑑

田鴫について知る所を述べよ。タシギの特徴や生態行動について

 

 

田鴫は日本産ジシギの中で最も渡来する個体数が多く、日本全国で観察される。タシギは世界にはニ亜種がいる。アメリカ産は別種G.delicataになった。日本で観察されるのは亜種Ga l lna go   G,である。タシギ属にはタシギ、ハリオシギ、チュウジシギ、オオジシギ、アオシギの5種。近縁種としてヤマシギ、アマミヤマシギ、コシギを解説する事が多い。

 

成鳥冬羽(非繁殖羽)の説明

 

背は黒褐色から暗茶褐色、肩羽は黒褐色から暗茶褐色で赤褐色の斑がはいる。新鮮な成鳥冬羽では背や肩羽に金属光沢がある個体も居る。その期間は非常に短く換羽完了と同時に退色、摩耗、脱落などで劣化する。そのような個体は極めてまれである。背と肩羽の内側羽縁は濃い褐色で細く、外側羽縁はバフ色で太め、それらが線状に連なって見える。縦線。最下段の肩羽では外側羽縁は後方に斜めに垂れ下がってる見える事がある。それらの線・羽縁は片側に3本ある。頭央線はクリーム色で嘴基部から後頭部まで等幅。黒い頭側線は目の上で最も太く、目先や目後では細くなる。水路に居るタシギを上から平面図的に観察すると明らか。頭側線内の斑点の有無・多少は個体差や季節により変化する。繁殖羽(夏羽)では明るい赤褐色がより多く目立つようになる。

過眼線は目先では太く、目後では斑紋

状で不明瞭線となる。眉斑は過眼線より細い=過眼線は眉斑より太い、のが普通、個体差によりかなりの変化がある。他のジシギでは過眼線は眉斑より細いのが普通。頬には黒褐色の線が入る。嘴は細く長い。基部から中ほどは緑黄色で先端部は黒。上嘴先端部は上に開く(3040度くらい)。嘴内部には歯状のギザギザが有り、捕食した獲物を落とすこと無く飲み込む。タシギは獲物を小さくしてから飲み込む事は無くその大きさのまま飲み込む。従って大きさには制限がある。大、中、小雨覆は茶褐色で複雑な斑があり羽縁はバフ色。三列風切は赤褐色で黒い横斑があり、羽縁はバフ色。

尾羽は12から16枚、通常は14枚。12枚では♀の割合が多く16枚では♂の割合が多い。黒の軸斑に褐色と黒の細い横斑が入る、先端部は白。最外側尾羽は淡色で褐色の斑が入る。全ての尾羽はほぼ等幅。日本産ジシギ四種(アオシギを除く)の内タシギ以外は尾羽の枚数、外側尾羽の形状や色彩が絶対的な識別ポイント。ジシギの外側尾羽は繁殖期のディスプレイフライトに重要。尾羽以外の情報からも特定は可能で1枚の画像から分かる場合もある。反面、特徴が写されて無い場合には特定は困難である。

翼下面・下雨覆は淡色部・白が多い。他のジシギでは暗色。飛翔時には次列風切後縁は白く目立つ。飛び去る時は次列風切の黒と後縁の白帯のコントラストが目立つ。他のジシギでは目立たない。

脚と指は緑黄色、爪は黒。

飛び立ちは体を左右に傾けながら高速で急上昇する。いわゆるジグザグ飛行。飛びながらジェーッとしわがれた声で一声、二声鳴く。鳴かない事もある。ジシギは全て似たような声で鳴くから要注意。

参考までに、ハリオシギではケッ、クェッなど非濁音、チュウジシギではジェッ、ギィッなどの濁音、オオジシギではガッなどの濁音。特にオオジシギとチュウジシギはフィールド経験を重ねても迷う事がある。地鳴きだけでなく飛び立ち、低く重たそうに近距離を飛ぶ事や、前者・前種より翼動は軽くやや小さいなども参考にするとより確実。声から判断することより、種が明らかな個体が発する声を覚えるのが確実なスキルアップ。翼動が重い、軽いなどはフィールド経験を重ねる事で分かってくる。ある日、声はチュウジシギ的、飛び方も同様、しかし画像からはオオジシギ幼鳥であった。幼鳥や成鳥でも地鳴きは異なるのかも知れない。全てはタシギの行動や飛翔や声をマスターする事から全てが始まる。このように分かってもフィールドで迷うことは度々あるから、たったひとつの情報から判断せず知り得た情報を総合的に判断するのがベスト。

タシギが分かると他のジシギが分かるようになる。益々分かりたくなり、そして分からなくなる。失敗を重ねる事を恐れずに、それ以上の進歩がついてくるから。

 

幼鳥・幼羽から第一回目冬羽

 

背、肩羽、雨覆、三列風切などの羽縁は細く白い。羽縁が白く残る個体は幼鳥幼羽から第一回目冬羽への換羽途中

の個体である。100%幼羽の個体から

数枚の幼羽の痕跡を残す個体までいろいろな換羽状態の個体が居る。換羽は背、肩羽から始まり雨覆や三列風切が残ることが多い。観察だけでは、その時の印象だけが残る。画像があるとパソコンで拡大すると観察では分からなかった事が見えてくる事も多い。換羽した個体の中には羽縁がかなり白く細く見えるものが居るので要注意。雨覆などに幼羽が残る個体はその羽は光沢も少なくモノトーン的に見える。退色し摩耗や脱落でそのように色褪せて見えるのかも知れない。

幼鳥が渡来した時に既に幼羽を残さず第一回目冬羽に換羽(9月末頃迄)が終了している個体は早生れ、それ以外を遅生まれと区別している。遅生まれの個体は翌年まで換羽の進行を観せてくれる。早生まれの個体は換羽の完了を観せてくれる。

 

第一回目夏羽

 

第一回目夏羽と成鳥夏羽の差は未検証

赤褐色の発色が微妙に異なるかも知れない。

 

第一回目冬羽(完了)と成鳥冬羽(同)の差は難しくて分からない。筆者は肩羽の大きさや外側羽縁の太さなど小さな差をいろいろ比較している。未だ結論には至らず。微妙な差異を見つけるのも楽しみの一つ。

 

成鳥非繁殖羽(成鳥冬羽)から成鳥繁殖羽(成鳥夏羽)

 

生まれた年には第一回目冬羽、翌年の春には第一夏羽になる。秋までには(人間の年齢では満1才)完全換羽をして成鳥冬羽・非繁殖羽(第二回目冬羽)になる。二回目の年が明けると春には成鳥繁殖羽(第二回目夏羽)になる。

成鳥夏羽は頭部、顔、胸、頸、肩羽などが赤褐色味が増し明るく艶やかになる。

五月頃になると夏羽の個体が多く北上して行く。田植えが始まりどこでも湿地・餌場、この時季はとても警戒心が強く集団行動しているから一羽が行動・飛び立つと他の個体もそれについて行く。繁殖地に急いでいるから滞在期間は短く、観察できれば幸運である。山野の鳥の渡りで忙しい季節ですが、時々は田んぼにも出かけてみましょう。きっと良い事があります。

雄と雌 ♂と♀

図鑑によると雌雄同色、♀は嘴が♂より長い、体格差は♀〉♂、♀は♂より大きい。顔つきは♀は優しく見える、顔の目の大きさと位置らしい。

微妙な差を見つけるのが楽しみでジシギ界のノーベル賞になるかも

14。ジシギ、タシギの大きさなど

タシギはジシギの中では1番小さい。一般的にはタシギ<ハリオシギ<チュウジシギ<オオジシギである。それぞれの種は平均値であり、種間では重なりがある。場合により逆転する事もある。極端な場合には標準より大きい個体と小さな個体が同時に居たら、その差は驚くほどである。別種ではと思える差がある。経験的には大きい個体はそれほど多くは無い。と感じている。一方では小さな、或いは小さめな個体は意外にも毎年観察している。タシギ、チュウジシギ、ハリオシギでは極めて小さな個体を観察している。画像も有る。渡りの観察例が少ないオオジシギ幼鳥では経験が無い。多分、同様に居ると思われる。経験豊富な観察者であっても大きさから迷う事はある。小さなジシギはコシギと誤認される事が多い。明らかに種が特定可能な画像でも撮影者本人が小さいというイメージからそう思い込む。そういう経験は何度か繰り返すと次第に見えてくる様になる。失敗した以上の経験を重ねると、自ずからその間違いに気付く。そうで無ければ進歩は無い。

対象物がなければ迷わずその個体のプロポーションから種を特定すれば良い。経験が浅いと大きさ小ささが優先になってしまうから。

経験を重ねて数多く観察すると単独で観ても大小が分かってくる。写っている環境からも大きさの目安が分かるようになる事がある。今では画像が無ければ参考記録にもならない。他の鳥でもそのような変化はあると思う。

 

白化個体

 

部分白化から100%白化個体までいろいろ居る。アルビノは色素欠乏による。この場合は虹彩が赤い。ある日のこと、用水路に白い鳥が居た。ドバトが水路に水浴びか水飲みに降りたと思った。しかし、その鳥はタシギでした。80から90%は白化して、残りは淡い褐色でした。他のタシギと行動する事なく単独で行動していた。この個体は春と秋か、秋と春に二回同じ場所で観察した。このように個体識別できるのは渡来情報など参考になる。離島の舳倉島でも海岸のアラメ、海藻の打ち上げられた波打ち際で採食する個体を観察したのが初めてである。この時はジシギ初心者でタシギと繁殖期のオオジシギしか識別できない実力でした。単に白いだけでタシギとは識別できなかった事を覚えている。白化個体やアルビノはテレビのニュースになる。スズメ、カラス、虹鱒、蛇、カエル、ナマズ等記憶にある。大東島には白いカイツブリが長年生息しついる。反対に元々は白いもの或いは普通の色彩が黒化する。事がある。暗色型

とも言われる。猛禽類などが知られている

 

暗色型、白化、アルビノ

 

ジシギも例外なく暗色型が居る。カラスの様な真っ黒では無いが、一見してかなり濃い、黒いと感じる。チュウジシギ、ハリオシギ、タシギでも観察している。濃いハリオシギを黒ハリオと呼称している。初めて観たハリオシギ幼鳥幼羽は秋の渡り。あの典型的な淡褐色の幼鳥幼羽に比べたら驚くしか無い。そしてこの黒ハリオの成鳥を観たいと思う様になり春の渡りにも出かけるようになった。黒ハリオ幼鳥幼羽にはその後一度だけ出会えたが画像は無い。ビギナーズラッキーで初めての画像だけ残っている、この時は800mmマニュアルレンズとD2H、露出をミスして画像は真っ白だった。翌朝には再度チャレンジした。露出を確認して撮る。運良く順光、距離も程良くベストコンディション。おまけに水浴、羽繕い、外側尾羽まで撮れた。この時は針を観ないとハリオシギと識別出来なかったから。そして一つ一つタイプを覚えた。今なら針を観なくとも過去のデータからほぼ識別可能。しかし、似たようなチュウジシギが居るから油断は禁物です。本州産のハリオシギはほぼワンパターンで間違いは少ない。南西諸島はハリオシギとチュウジシギの多様性はジシギウォッチャーの悩みの種。

何年か後にハリオシギの群れの渡りに出会った、そしてその中に黒ハリオの夏羽が居た。とにかく警戒心が強くて草地を這って歩くように地面に身を伏せながらの採食をしていた事を覚えている。あの当時は成鳥はどんなに変身するのか全く分からなかった。今、思うと簡単な事でした。幼鳥は単に黒いだけ、しかしながら夏羽は黒くて金属光沢を伴って圧倒的な存在感だった。このような黒ハリオの画像はこれまで未だ見たこと無い。多分、居るのだが、なかなか画像にするのは難しそうだ。貴重な画像であることに変わりは無い。未だ観ぬ個体、体形や色彩変化を想像するだけでもワクワクする。

 

いろいろな個体

 

識別の参考になる。こんな個体も居るのかと驚くだろうか。小さい或いは小さめな個体は可愛く見えるから不思議です。タシギでは12度、ハリオシギでは数えきれない、チュウジシギは何度かある。ハリオシギとチュウジシギは色彩変化と小ささで混乱するが、冷静になればわかる様になる。タシギの小さい個体は本当に可愛い、おまけに暗色型だったのを今でも記憶にある。

 

 

15。ジシギの絶対的識別点

 

最新の図鑑では外側尾羽の形状と色彩が最終手段であると記述されている。全体の尾羽の枚数だけでは決めてにはならない。それは種間で、重なりあうから。例えばタシギは121614枚)、オオジシギは161816枚)枚、チュウジシギは1826枚(20枚)、ハリオシギは2228枚(26枚)(通常)奇数は稀だがある。枚数が多いのは♂の割合が多い。異なるのは外側尾羽の形状と色彩。ハリオシギでは7対の外側尾羽の先端部は針状でかつ短い。針状とは野外観察では12ミリ幅の先端部は殆ど羽軸だけのように細く針のように見える。実際には内弁外弁はある。捕獲して接写した尾羽には写っているものがある。野外で観察され撮影された尾羽は自然で美しい。野外観察は尾羽の基までは見えないのが普通。しかし、最近のデジタルカメラは高速化、高画質化したから今後はそのような詳細な画像からも羽毛一枚一枚の形状、模様、色彩まで議論されるようになるかも知れない。ハリオシギの尾羽は真ん中の中央尾羽と外側尾羽の先端部は同一円周上には無く、より、縦長の楕円周に近い。従って外側尾羽は見え難い、見るのが困難であるのが特徴。見えないのでは無い。見慣れると翼を水平に伸ばす、その時外側尾羽の何枚かが翼から飛び出している事がある。それは一枚でも針尾です。段差とは、尾羽を全て垂直に横に並べると先端部に段差の大小がある。針尾では大、チュウジシギでは小、タシギではほぼゼロ、タシギは最外側尾羽は淡色で褐色斑がある。全ての尾羽は等幅でほぼ等長、同一円周上でほぼ扇形状になる。最外側の淡色が目立つ。チュウジシギは外側尾羽は6対で先端部は24ミリで外側ほど細い、成鳥では暗色、幼鳥では淡色の傾向。チュウジシギでは同一円周上で扇形状に近いので、尾羽を広げると簡単に見え易いのが特徴。はっきりと枚数が数えられ程に写る。勿論、重なりもある。高画質画像なら拡大すると明らか。オオジシギは外側尾羽3対は先端部で46ミリで淡色。外側ほど細い。チュウジシギは暗色というのは一昔前、今では幼鳥と成鳥が異なる事が知られている。オオジシギとチュウジシギ幼鳥は外側尾羽の色彩は淡色で類似する。チュウジシギの外側尾羽を水平的に見る(撮る)と薄く、細く見える事がある。それを針尾と誤認している事もある。正しく見るのは平面的な位置である事。針尾を沢山観察した経験者で無いと間違うのは当然かもしれない。つまり針尾と誤認し易いから要注意。細いだけで針尾とするには誤認の可能性あり。針尾の外側尾羽は見え無いのでは無く、見え難いのである。尾羽を広げても観察者に対してどの様なポジションかが重要。ジシギが真横で広げると片側尾羽を広げた部分が良く見える。頭が手前で尾羽は向こうならほぼ見えない。反対に頭が向こうで尾羽が手前なら最高の位置になる。常に尾羽が平面的に見える位置なら最高。ジシギを探す、尾羽を広げるチャンスを待つ、位置はどうか、見えるか、などいろいろな条件をクリアしてやっと見る撮る。さて確率はどのくらいでしょうか。針尾をしっかりと写した時はその日は最高ですね。経験者だけの喜び。ジシギファンなら一度は観たいハリオシギの針尾です。

 

 

それでは尾羽を観ないと識別はできないのか、いいえです。種はそれぞれの特徴がある。JIZZというちょっと見、の印象で脳内AIが瞬時に判断する。しかし、ジシギは似ているのが特徴、AIも時には迷う、その時は最終手段になる。尾羽だけに拘らずいろいろな情報を総合的に判断するのがベスト。野外で観察中、迷い続けて最後の最後に尾羽を観た時は何事にも優る。野外観察と識別を重ねるとほぼ分かるようになる、そのスピードは人それぞれ。

 

写された一枚の画像から簡単に種を特定できる事もある。反対に大きく写された画像でも分からない事もある。つまりジシギは平常心で撮られているか、鳥も人も。緊張状態や警戒しているとプロポーションが変わってしまうから。至近距離からジシギの真横から

の画像がベスト。適正な露出、シャッター速度、ピントはカメラが決めるから撮影者は平常心なら撮れる。ジシギのかなりの経験豊かなベテランでも一枚の画像を簡単には特定しない事もある。それは上のような事から自然な事でもある。

 

それぞれの経験でジシギを楽しむ事が一番です。楽しいから観る、観るから楽しい。初心者は拘りを持ちつつ、ひとつひとつ階段を登りましょう。やがては初心者から名人にそして永世名人になれます。それは日頃の観察から始まります。さあフィールドに出かけてみよう。

尾羽や外側尾羽はどんな時見えるか。水浴をする、羽ばたく、羽繕い、伸び、日光浴、外乱による警戒や威嚇で尾羽を立てて半開きにする、尾羽は開いたままの時は撮り放題、その他の場合は一瞬、集中力を高めピントは常にAFで、これら一連の動作には順序がある、しかし突然に来る事があるからいろいろな経験をすると分かるようになる。どのような行動で尾羽が開くか

フィールドで確かめてみましょう。

16.ジシギの成長

 

オオジシギでは

 

繁殖地には4月中旬に渡来

オオジシギは5月には産卵、抱卵、孵化、育雛、雛から幼鳥幼羽、第一回目冬羽へ換羽開始、独立、移動、渡り。

 

7月上旬に幼鳥が捕獲バンディングされる、夕張原野、8月中旬には関東の利根川流域水田地帯に移動・渡来する。

 

56月の2ヶ月間で、6月末には幼鳥になっている。7月上旬に幼鳥が捕獲、8月中旬には関東に移動。7月は独立して移動の準備段階にあり、体力を強化、飛翔力などエネルギー・体内脂肪備蓄、そしていよいよ渡りの開始。

 

 

産卵から幼鳥まで約2ヶ月程度。

幼鳥が独立、1カ月で移動開始、更に1カ月で渡りを始める。

 

SNSの情報からまとめてみた

 

オオジシギの暦

 

4月下旬繁殖地に成鳥カップルが到着

5月初めには産卵

6月末に幼鳥に成長

7月上旬は独立(夕張原野に集結)

8月は移動が(関東へ)始まる

8月下旬本格的な渡りを始める

9月上旬オーストラリア他に到着、約1週間飛び続ける、途中休憩は無い。

オオジシギPJを参照

 

タシギ(SHOREBIRDS)

 

4月から8月が繁殖期間、4月に産卵、抱卵、孵化、雛、育雛、幼鳥は6月上旬、7月中に独立、幼羽から第一回目冬羽に換羽を始める。8月中旬には関東で幼鳥が捕獲。換羽まで時間がある。9月には第一回目冬羽が全国的に渡来始まる。以上が早生まれ個体。5月生まれでは渡りの9月まで4ヶ月あるから換羽が始まっている。6月生まれは3ヶ月しか無いから換羽は始まらない、可能性大。つまり、生後3ヶ月しか無ければ幼鳥幼羽のまま渡来可能性大。以上は個人的な推論です。こんな事考えていると時々夜中に眠れなくなる。45月生まれは早生まれ、6月以降は遅生まれ。

個体差により換羽速度は異なるが標準的個体を想定。
   
   
   
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