黄 金 地 鴫 随 筆 集
きんじしぎ
Golden Snipe Gallinago Aurum

2022.08.23処暑Birdopia2022

バードウォッチングを通じてジシギ・タシギの観察から得られた情報を簡単にまとめてみました。アイデアが浮かんでまとまり次第物語風にしてみたいと思います。暇があるとスマフォのメモ帳でいろいろと書いてます。
 
1. 擬 態 に つ い て
 

472022.08.21夏日曇り空

 

タシギの擬態を解説する。そのII

 

タシギは背から肩羽は茶褐色で赤褐色の軸斑がある、羽縁はバフ色で線状に連なる。上列肩羽は直線状になり、最下段肩羽は後方に斜めに46本が垂れる。田圃の稲藁はバフ色で実にタシギの羽縁の変化に酷似している。稲藁がタシギに似せたのでは無くタシギの羽縁の変化が稲藁に似せたのであると容易に想像できる。稲藁はコンバイン直後は黄色いが外皮は風化して白っぽくなり、いろいろなバフ色が混在している。湿り気のある耕作田は黒々として、稲株や切られた藁が適度に混ざり合い凹凸があり、そこにタシギが伏せると全く分からなくなる。よく観ると目だけが輝きを放つ。全く動かないと同化して保護色になっている。一度見つけても、目を逸らすと又分からなくなる。見失わないコツは必ず観察者、タシギ、延長線上の目印を定める。安心安全なら暫くは伏せている。時間が経過すると立ち上がり、ゆっくりと上下運動を始める。素早く枯れ草のある畔側に隠れるか、突然に飛び立つ。飛び立ち、着地は草地や枯れ草などを好む。乾いた田圃は褐色や白っぽくなり、そこにタシギが居ればあきらかにコントラストから分かってしまう。稀にはそんな失敗の擬態をやらかす事もある。タシギは前述のように草や枯れ草、枯れ枝が基本であるがいろいろな物に擬態や身体を隠す。適度な石、棒杭、コンクリート壁、散乱したペットボトル、農業用肥料袋、ポリバケツ、弁当容器、ビニル袋、空缶など水路にある全ての物。日影や物陰を好んで利用する。東西に流れる水路は昼は南側は日影になり、北側は日が当たる。タシギは決まって日影に擬態し、日当たりには身を寄せる事は極めて少ない。ある日のこと、幅23メートルの水路で採食するタシギを見つけた、水路はほぼ全面日向で影は無い、飛び去るのが普通だがタシギは水中に身体を沈めた、少しでも身体を隠す、本能だろうか。地面に伏せる行動は極普通に観察されるから、水路の水面でも緊急時はそのような行動が見られる。ハリオシギでも芋田の水草に伏せる行動を観察している。ジシギ共通の行動と考えられる。水中に伏せたタシギは機会を窺っている。いわゆる瞬間移動である。観察者が目を離した隙にタシギは飛び立ち、飛んだ瞬間も認識できない事もある。こんな場合には地鳴きを聴いた事は記憶に無い。瞬間移動は近くに隠れる場所があれば走って隠れる。そうでなければ飛び立つことになる。瞬間移動の直前は互いにフリーズしている。その間の時間は何とも言いようが無い長く感じるのだ。冬のある日、水路にタシギを見つけた、居るのは分かっているからフェンスに隠れながらそっと覗く、距離が近いと警戒して物陰に隠れる、水路の側は歩道があり、散歩人が通る、一定速度で近づき、遠ざかるのは、なんら危害を及ぼす事は無い。瞬間的には少し警戒態勢になるが、遠ざかると採食を始める。明らかに不審な行動、覗いたり、カメラのレンズを向けるのは不審な行動になる。少し離れた場所では重機が動く、作業員が動く、遠くなら警戒しない。ある程度の安全距離を分かっての行動である。警戒し壁に身体を寄せていて、警戒する相手が3050メートル離れると警戒を解除して採食をはじめる。距離は個体差にもよるがその場所の環境にもよると思われる。公園などの湿地では人出が多いからタシギはかなりの近い距離でも採食を続けている。安心が担保されているからと思える。都市化された近郊ではタシギも順応しているのがあきらかです。水路のタシギは採食している、少し離れて観察する、中途半端な距離なのか電柱の影に入り静止した。一瞬何か分からない、影の中に溶け込んだタシギは擬態のようになる。暫くして笑いか微笑みか分からない気持になった。こんな日は散歩の足取りも軽くなる。厳寒期に水路は干上がる事がある。そんな時は江戸川河川敷を歩く、干潮時間にあわせて、干潟の砂地が広く出ている。タシギが浅瀬で集団採食している。ある日のこと、干潟の枯れ枝に擬態、観察者からはバレバレの擬態でしたが、タシギは枯れ枝にでもなったつもりなのだろうか。決して干潟の何も無い場所で休む事無い。警戒心は採食行動から判断できる、安心なら普通に採食を続ける、少し何かを感じると、停止して静止する。続いて身体を物陰に隠れる、タシギは不審者の様子を伺う、危険が遠ざかれば採食を始める、更には水路の真ん中に出る。このように危険と対峙しながらも強かに採食を続ける。突然の接近は緊急飛翔になる。いろいろな擬態を観察しているが皆さんはどんな擬態を観察した事があるでしょうか。都市近郊の水田地帯には水路や橋など多数ある。そんな橋の下や中を利用するのはタシギだけでは無い、コサギ、ゴイサギなど明らかに人から避けるように暗い中に意識して隠れる。隠れるだけでは無く採食をする。上空からの天敵、猛禽類やカラスなどから身を守る、隠す。意外な行動に驚かされる。8.23夏日。

 2.ハリオシギの尾羽はなぜ見え難いのか
 ジシギは尾羽の総数の数で種が特定される。しかしその数は種間では重なりがあり総合枚数だけに拘るとミスジャッジになりうる。そこで正しくは外側尾羽の形状と色彩を付加するとより正確性が高くなる。フイールドではJIZZで分からないことがあるとどうしても尾羽に頼らざるを得なくなる。本州西地区では比較的多いハリオシギは関東では極めて少ない。極めて少ない上に尾羽はなかなか見え難い。それはどうしてでしょうか。タシギやチュウジシギなどは尾羽を広げると、開くと扇状になる。比較的正円形になる。つまり簡単に見えてしまうのです。しかしハリオシギは全数も最も多くて26枚が通常、外側尾羽は7対である。外側尾羽は針状、である。羽軸だけのように見える。何故なら野外では外側尾羽の付け根まで観ることは無く、ほぼ先端部だけが見える事が多いのです。特に先端部は羽軸だけのように見えて、付け根の中ほどでは外弁、内弁もある。この状態をよく理解してください。更には外側尾羽は細く、かつ短いのです。つまり尾羽を思い切り開くとその先端部は楕円状で外側尾羽が凹んでいる状態です。だから余ほどの幸運ならその針尾の先端部が見えることになります。これはハリオシギが地上にて普通に伸び、羽繕いなどで尾羽を広げた動作の場合です。尾羽はいろいろな動作、行動で観られるのです。尾羽を繕う時は尾を立てます。それを嘴で丁寧に繕う時に偶然観られます。次いで、警戒或いは威嚇などで尾羽を瞬間的に垂直に立てる。その動作の一連の流れでも見えることがあります。特殊な場合には伸びをして尾羽を広げている、中央・中間は全開状態です。しかし、外側尾羽は初列風切、次列風切の翼の下、中です。しかし、運よく針尾が次列付近から飛び出している。こんな画像はかなり後から発見したのです。いろいろな行動を知り、次の行動を予測すると観られる機会は格段に多くなります。撮る機会も多くなると思います。瞬間の行動を見逃さない訓練が必要になります。ハリオシギに会う事すら難しいのに千載一遇の尾羽を見逃すのは残念な事です。ジシキたちは飛翔から着地に際しては尾羽を広げてブレーキにすることがある。そんな所も見逃さないことです。もっともっと他にも見える行動があるかも知れません。完全換羽換羽では尾羽も換羽します。こんな場合にもチャンスがある筈です。2022.08.26秋雨前線停滞中。
 3.タシギの肩羽など羽縁(内・外)の色について表現方法
 いつの頃からか肩羽などの羽縁の色をバフ色と書いていた。最近気になって調べてみた。ネットで調べてみるとバフ色とはやわらかな赤味の黄色となっている。一方、クリーム色は同じ表現でした。つまりバフ色≒クリーム色で間違いがない。野鳥を始めたのは40年ほど前から初めての図鑑は高野伸二氏の日本の野鳥でした。タシギではクリーム色を使用している。小林桂助氏の野鳥図鑑では黄土色、真木宏造写真図鑑、590、650ではクリーム色。清棲幸保野鳥事典淡オーカー色。バーダー誌2005年9月号考える識別、バフ色。である。つまり筆者がジシギに夢中になった時のバイブル的教科書はバーダー誌である。この時からタシギの羽縁はバフ色ということになった。現代的にはクリーム色というのが分かり易いが筆者は敢えてバフ色を使う。何故ならコードネームでもあるゴールデンバフ色はゴールデンクリーム色では何だか意味が通じない。因みに広辞苑では記載されてない。タシギの肩羽など内縁は細く濃い、外縁はやや太くより淡色であるが個体差が大きい。他のジシギでは内外とも同幅、同色が普通である。幼鳥では全てのジシギに共通で細くて白い。肩羽以外でも雨覆いや三列風切羽縁も同様です。タシギの肩羽の外縁が太いのは成鳥とバーダー誌には記載がある。筆者もそのような傾向にあると思っていたので納得する結論です。第一回目の冬羽や夏羽では肩羽外縁は極端に太くはなく羽根事態も大きくはないと感じます。ジシギを初たばかりでは幼鳥、成鳥、第一回目冬羽などなかなか識別は困難に思える筈です。このような小さな変化を一つ一つマスターすればジシギはそんなに難しくは無いですが簡単では無いです。つまり奥か深いです。2022.09.2秋雨前線停滞中。
 4。[垂れ尾]という愛称のタシギと仲間たち

2020.9秋から2021.4春まで8ケ月間の越冬観察記録

野生の鳥に愛称をつけるなんて考えた事など無いが8ケ月もの長期間の観察でほぼ毎日のように観察、出会いが続くとそこには放し飼いのようなペットのようでもある。

 この年に最も回数が多く観察された個体で9月から4月まで、成鳥冬羽から成鳥夏羽初期への変化を魅せてくれた。初めから幼鳥では無く成鳥であった。つまり成鳥冬羽から夏羽へと換羽の変化を魅せてくれたのです。垂れ尾と言う愛称はこの個体の尾羽が異常に垂れ下り、水中ではいつも尾羽を水の中に濡らしていた。水の無い場所では尾羽はオナガガモのように細く垂れていた。小さな水路に拘り、草被りがお気に入りでタシギ本来の警戒心があり、毎日ちょっとずつ場所を変えるが警戒心は強く異変を感じると身体を隠す、同時にこちらを窺う行動をする。危険が去るまではとても慎重に行動する。9月から観察していた事は記録した画像から後から分かった。個体識別は何らかの特徴があれば特定し易い。垂れ尾は尾羽だけでは無く顔のパターンや性格、警戒心が強く慎重、からも分かるようになった。勿論、越冬地がほぼ固定されていたから特定は容易である。SNSの進歩によりリアルタイムにジシギの渡りは全国から情報が伝わる。オオジシギプロジェクトがその代表例。検索してオオジシギの渡りを調べてみよう。7月上旬から中旬になるとオオジシギが関東平野の利根川流域に渡来する。成鳥(夏羽後期から冬羽へ換羽中、肩羽が冬羽に換羽)から始まり8月中には幼鳥(幼羽から第一回目冬羽へ)が渡来する。9月になるとチュウジシギが渡来する。初めは成鳥冬羽、そして幼鳥幼羽が渡来する。上旬を過ぎる頃にはタシギが渡来する。オオジシギは少なくなる。驚いたのは8月中旬にはタシギの幼鳥が渡来した事。通常は成鳥からだが、かなり成長が早い幼鳥が居ること。幼鳥の換羽状態は不明だが、100%幼鳥でも、或いはそうでは無くても想像しただけでも妄想は止まらない。親離れした幼鳥は果たしてどの程度の期間で渡りに入るのかなど。7月にタシギが観察されているが、越夏の可能性もある。夕張原野では7月上旬にオオジシギ幼鳥が捕獲されている。早い個体は5月には産卵する。それから2ヶ月余りで幼鳥は独立し、更に1ヶ月ちょってで関東へ南下する、これは明らかな渡りの移動である。つまり3ヶ月余りで本格的な渡りを始める。関東では渡り前には大量の餌を食べて皮下脂肪などにエネルギーを蓄積する、渡りの後は体重は半減すると言われている。繁殖地から夕張原野に集合し、そこから一気に南下を始めるのでは無く本州への小さな移動を始める、そこで体力をつけてから太平洋に飛び立つ。9月になり、上旬にはタシギの渡来が本格的になる。当地、埼玉県東南部の江戸川右岸水田地帯はコンバインがあちこちで籾の収穫が始まる。苅田の農道を歩きながらジシギを探す。刈り取ったばかりの水田では二番穂が青々と伸び始めている。少し湿り気のある場所はタシギたちが好んで採餌や休憩をする。そんな所からジェーっとしわがれた声を発しながらタシギが飛び立つ。飛び立ちは突然にそしてジグザグに飛びながら高度を上げる。すると後から次々にタシギは飛び立ち複数の個体がまとまり旋回しながら高度を上げる。渡の時季は移動が目的だから、あっという間に飛び去って行く。まれには何度か旋回を続けた後に飛び立った場所か近くの鳥友の仲間が降りて居る水田に降りることがある。観察は繰り返し、いくつものデータを積み重ねることで正確性が確実に増すことになる。タシギが飛んだ、だけに終わらせずに、どんな飛び方をするのか?何処に飛んで行くのか?などいろいろな事に拘ると新しい発見に繋がる事が多くなる。好奇心が何事にも優先する。偶然にも飛び立った場所に戻ったら慎重に覗いて観る、ある個体は着地と同時にその場から走り去り枯れ草のそばに擬態する。そんなところを観られたら最高の幸せ。9月中旬に水が引いた小さな三面舗装の水路に一羽のタシギを見つけた。その時は未だ渡りの途中の個体が立ち寄ったと思っていた。その後の観察で、この時季から越冬は始まっている。ということを後から分かった。それが垂れ尾のタシギと個体識別ができていたからである。特徴は尾羽が明らかに垂れている。採食していても、耕作田で休んでいても識別が可能。時がすぎてから体形や顔のパターンからも垂れ尾だと分かるようになっていた。それからは垂れ尾はオスかメスか?、成鳥か否か?。それらを確かめるように観察を続けた。ある日、二羽のタシギが寄り添って採食していた。垂れ尾が小さなドジョウを捕食した。活きているドジョウはなかなか飲み込めない。すると側に居たタシギは小柄で明らかに子供、幼鳥という感じだ。印象が。その時、小柄なタシギはドジョウを横取りした。そして少し離れてドジョウを食べた。横取りされた垂れ尾は取り返す事もなく何事も無かったように採食を続けた。こんな事あり得るのか?。垂れ尾は母親だと思うようになっていた。その後、二羽での観察機会は少なかったが、垂れ尾の嘴は特に長くは無い。やはり母親では無く父親である。つまり雄であるとの結論になった。しかし、確実には分からない。小柄な個体は幼鳥幼羽である。その後何度か複数や単独での出会いがあった。小柄な個体は年が明けても完全な第一回冬羽に換羽完了する事なく幼鳥幼羽を残したまま春を迎えた。小柄な個体は警戒心が強くて、何度か出会えても詳細に観察する機会は少なかった。フィールド内には二三個体の幼鳥幼羽が越冬していた。換羽の変化は大変参考になった。垂れ尾のタシギはとても警戒心が強くて開けた水路に現れる事は少なくいつも草被りの水路が採食場所になっていた。開けた水路では最も遠い場所に居て、至近距離で出会うと走り去り、隠れてこちらの様子を窺うこともしばしば観察されている。晩秋から初冬の頃は水路の水が少なくなり餌も不足になる。この時季からは採食が中心になり警戒心は最も薄くなる様に感じる。食べることが優先である。厳冬期は更に厳しくなり小さな水路は干上がってしまう。そんな時は定位置から離れて近くの水のある水路に移動して採食する。厳冬期の夜明けは遅く日の出から氷の融解までには時間がかかる。その間彼らは朝日をあびて暖をとるように日光浴をするところを何度も観察した。氷が溶け始めると採食が始まる。彼らは氷が溶けた場所をよく知り尽くしている。1月下旬から2月上旬に浅瀬は終日凍結する。そんな時彼らは何処で採食するのだろうかより多くの水深のある場所、大河、遊水池、蓮田、などがある。当地には江戸川やそこから引き込まれた水路がある、そして住宅地が水田地帯の中にもある。そこには生活排水が水路に流れている、そこは厳冬期でも凍結すること無く彼らの採食場所になっていることに驚いた。彼らはこのように上手く人間の生活を活用している。小さなオアシスのようだ。春の雨が降るまでその場所は利用された。厳冬期に水路は干上がれば彼らは何処かに移動して行く。何日も居なくなる。春も近いから移動したかも?そして雨が降る、水路は湿り深い場所には水が溜る。すると垂れ尾タシギは思い出したように元々の場所に戻る。こんな狭い場所にどうして拘るのだろうか。第一番目には餌が確保できる事、安心安全な場所がある。パーフェクトでは無いが続けてきたことは継続する。狭い越冬地は視覚や脳内GPSに刻み込まれている。南西諸島への越冬調査では芋田で越冬するチュウジシギを観察した。芋田の葉はチュウジシギを隠す最高のカバーになる。天敵から身を守るなど。ある日、芋田はトラクターで耕作された。芋田はオープンスペースになってしまった。トラクターが去り静かになった。チュウジシギは戻ったが隠れるところが無い。身を伏せて辺りを窺う。しかし、隠れる場所は無い。彼は暫くして別の場所を選択した。このように条件が変わる迄越冬地は変えない。ということを知った。垂れ尾タシギはとても臆病だ。越冬している場所には天敵が沢山いる。チョウゲンボウ、モズ、カラスなど。更には家猫、イタチ、人などがあふれている。ある日、垂れ尾タシギの越冬地にチョウゲンボウが飛来した。電柱に止まり獲物を探している。チョウゲンボウが飛び立つ、すると二番穂の中に隠れていた垂れ尾が飛び出した。あれ、、、、飛び出したチョウゲンボウに恐れおののいて飛び出した。そして耕作田に降りた。ひょっとして、、、やはり垂れ尾だった。飛び出さなければチョウゲンボウだって気がつかないのに。隠れていた垂れ尾はドキドキしていたに違いない。そんなことがあった事を思い出す。垂れ尾が不在の事もある。それは採食を終えて休憩の場合などは近くの二番穂に隠れて休んでいる事がある。また、耕作田に伏せて休むこともある。オープンな場所に長時間居るのはリスクが高い。数分後には水路に入り身を隠す。このような場面を何度も観察した。水路には草被りがあり、橋がある。そんなところも上手に利用して身を護っている。橋の下は天敵からの防御には最高。同じフィールド内にコサギが居た。彼は好んで橋の下を採餌や隠れ場所として利用していた。他の鳥たちも利用していると思える。鳥たちは人工的な工作物を上手く利用している。小さな水路の橋の下にはパイプラインがある、そんな場所をカワセミが利用していた。我が家の玄関先にジョウビタキが塒にしたことがある。玄関灯が明るいだろうと消したらジョウビタキは環境が変わり移動していた。彼らは少しの変化も見過ごさない。垂れ尾は成鳥冬羽から夏羽の初期までいろいろな羽衣の変化を観せてくれた。時系列で変化を再確認してみたい。成鳥夏羽は全体的に赤褐色が増し鮮やかになる。そんな姿を垂れ尾は魅せてくれた。タシギのは人間が感じる以上にその変化に心ときめかせているのだろう。暖かい春の雨が降り続く日にカメラをびしょ濡れにしながら次の光景を見ていた。彼は見晴らしの良い場所、いつもの水路の壁の上に立ち、別れを惜しむかのようにペンギン立ちをしていた。上空を見上げ頭を少し斜めにする、明らかに太陽を観ている。季節を感じ取る。渡りの時季は警戒心が最大になる。少しの変化も見逃さない。これが最後の出会いだった。そして別れだった。そんな事を以前に何度か繰り返した。来季も必ず戻る事を願いながら。しかし、彼は小さな水路に再び現れる事は無かった。あの警戒心の強さと厳寒期には採食優先になり、隠れてこちらを窺う暇が無いと思える様な行動をする。旅立ちが近くなる頃には拘りの小さな水路は干上がり、採食場所は狭くなる。彼は何処かへ移動して何日も戻る事は無い。雨が降ると彼は小さな水路に戻る、しかし、せいぜい12日である。非滞在の日が続く、2週間ぶりに戻る。春の雨が降る、彼はすっかり繁殖羽根に変化していた。桜はとっくに葉桜になり、公園の八重桜が見頃を迎えている、並木通りにある御衣黄の桜は黄緑色で葉と同じ色である。その木と名前を覚えたのはつい最近の事。南西諸島に車旅をしていた10年間は桜、染井吉野を見てなかった。代わりに奄美大島や沖縄本島で琉球寒緋桜の満開を観た。ヤンバルでサクランボを食べるヤンバルクイナ、ノグチゲラ、渡りの途中の鳥たちが立ち寄る。沢山の思い出をくれたヤンバルの林道を思い出す。あの大きなカクチョウランは忘れられない。夜のリュウキュウコノハズクは口笛で側まで飛んで来る。など沢山ある。2022.8.24追記。ある日のこと、小さな水路にはクサシギが居る。クサシギはタシギに負けず劣らず超警戒心が強い、同じ水路の同じ場所で採食している。同居するのは共生か或いは寄生か、分からなかった。垂れ尾は大物のドジョウを捕まえた、小さな獲物なら難無く飲み込むがドジョウは大きく暴れるから手こずっていた。側のクサシギは横取りして、あっと言う間に飲み込んだ。垂れ尾は何事も無かったように採食を続けた。観ていた方が何が起きたか分からなかった。暫くしてからやっと理解する事ができた。警戒は共生しているが、横取りは寄生だ。別の日にクサシギはドジョウを捕食した。極普通に飲み込んだ。勿論、垂れ尾は単独の時にドジョウを捕食して時間をかけて飲み込んだ。春の田圃でダイサギがドジョウを捕食した、ところが吐き出した。ドジョウは何らかの理由で死んでいた。嘴に挟んだ時に動いて抵抗が無ければサギは獲物を食べないと分かった。鋪道には地面から這い出して乾燥して乾涸びたミミズが沢山ある。これを餌とする種と見向きもしない種が居る。ムクドリやシロハラクイナは好んで乾しミミズを餌とする。ハクセキレイは何らかの原因で死んだ昆虫を食べていた。多分農薬だと推定される。もしもミミズが未だ活きていればカラスも食べる。いろいろ条件で選択肢がある。食べるリスクと食べないリスク。どちらも生き方の違いだ。2022.08.26追記、トップガン、マーヴェリック。第一作は何年前だろう。

5.非科学的個体識別法

2022.09.16

個体識別は種、個体の特徴を明確に画像や映像などにより比較すれば簡単に証明できる。例えば顔の模様や色彩に特徴的な変化があれば対比可能である。通常は以上の方法によるが、どうしても証拠になるような画像や映像が撮れない場合がある。しかし何度も観察を繰り返すと、ある一定の行動が重なってくる、更には場所も特定な範囲内である、期間は1週間か10日間程の短期間である。それは春や秋の渡りの時季に起こるからである。ジシギは春も秋も移動、渡りは忙しく長期滞在している時間はそんなに多くある訳では無い。そんな時季に特定の水路の草が生い茂る湿地にチュウジシギが居た、この個体との始めての出会いでした。距離は30メートル程、こちらを警戒して、草地の中に隠れた、側を通り過ぎる直前に飛び立つ。翌日もその場所を通ると、姿は見えない、通過すると草地から飛び立つ。あれ、居たの。二度ある事は三度無い、渡り時季の常識。何日か後同様な行動があった。湿地はすっかり草が伸びている、チュウジシギは草地から飛び立つ、場所は10メートルも変わらない程、それから忘れてしまう程の日が経った。そしてチュウジシギが飛んだ。これまで何度も出会った、これは3回以上重なりで偶然では無い。はっきりと同一個体と認識した。場所の特定、行動、期間などから非科学的だがかなりの確率ではないだろうか。こんな事は妄想や空想では思いつく事は無い。ある年の春、三面コンクリート水路は泥が堆積して草地になっている、4月は未だ枯れ草が多い。そんなところからチュウジシギが飛んだ、3回も日を空けて観た。これも同一個体と思っている。春や秋の渡りは日替わりで個体が変わるのが当たり前だから特定の場所で複数回観察出来るとなんとなくワクワクするのは俺だけかな。今季もタシギで同様な事がある、水路は日に日に水が引く、どんどん泥地は乾く、水がある泥地がタシギのお気に入りだ、湿地はどんどん手前に移動するとタシギも近くなる、土手側の枯れ草に擬態しているが、かなり警戒しているのが分かる。3回目はそこそこ距離はあるがタシギは近いと感じたのか飛び立った。旋回してフィールド内に降りたから移動の確率は低いと感じるが野生は甘く無い。仲間たちと合流すれば本能が目覚めるかもしれない。明日から明後日に水路は乾ききる事は無いから、越冬準備なら戻る筈だが期待し過ぎては駄目。個体の性格、行動や警戒心も個体識別の重要な要素になる。しかし、やはり水路に戻る事は無かった。

2022.09.18台風14号、大型で強力

九州から本州縦断予報。

南タシギ1羽、北タシギ5羽、東水路農道チュウジシギ1羽、北は胡麻工場苅田湿地。雷雨と南風強い。

 
 

6.、ジシギが特定の場所に拘る理由は何か?

 

いろいろな理由はあると思うがこれまでの観察経験から紐解いてみる。先ず生き続けるには餌の確保が最優先になる。従って、十分な餌が採れる餌場の確保が必要になる。渡りの移動中でも同様であり、餌を補給しエネルギーを備蓄しながらでも備蓄エネルギーから消費エネルギーを差し引いて、途中補給のエネルギーを+しても全体重は平均体重よりも減少する。オオジシギのように太平洋をひとっ飛びするにはかなりの備蓄が必要になる。他のジシギたちは如何だろうか?途中でエネルギーを補給できる方がより効率的だと思うのは人間の思い込みだろうか?或いは不眠?不休で一直線に飛ぶのが最少エネルギーで高効率なのだろうか?途中の補給は天敵による捕食や天候変化など予測不可能な事もある。それが何度もあるのはリスクが高い。それでも渡りを続ける理由がある。渡り途中でも、越冬中でも採食は安心安全である事が優先する。それが確保できなければ場所の移動となる。群れで居るリスクと単独で居るリスクは簡単では無い。群れで渡る利点はリスクを共有している事。飛んでいても採食していても群れの1羽が気がついて飛び立つ、鳴く、これらが警戒信号となり一斉に飛び立つ。次に降りる場所は鳥友が先に降りて居る場所を選ぶのは最大のリスク回避である。越冬地では餌、安心、安全な総合的に環境を選ぶ事になる。長く利用するには何ケ所かを持つ事になる。天敵などに襲撃されたら場所を変えなければならない。そんな不規則な変化にも対応する。いくつもの餌場を持っている。同時に休憩場所もいくつか持っている。休憩場所と寝る場所は異なりより安全な場所を選んでいると考えられる。フィールド内に採食後の休憩場所を見つけた。乾きそうな水路の中に葦が根元だけ残る小高い場所があった。ある日の事、付近からタシギが飛んだ。泥地で採食していた。と思った、しかしそこには沢山の痕跡があった、それは糞である。よく観たら二カ所ある。かなり長時間休んで居る事が明らかに分かった。環境の変化など、いろいろある。乾燥化して餌が採れないなど、反対に大雨で冠水して利用不可など、即対応しなければならない。その場所が優れた環境ならば最優先に利用するのは当然の事である。狭くても拘って居る理由はそこにあると思う。南西諸島で観察していた頃、シギチが沢山入る田圃と入らない田圃がある。それはその地区では牛の排尿をローリーで移送してアンモニア液肥として利用している。そんな田圃は水棲生物や植物が大繁殖しているに違いない。いわゆる有機栽培である。化学肥料や農薬が撒かれた田圃は明らかに綺麗な水田になっているが植物も生物も少ないが、有機栽培は植物も生物も多様性に富んでいる事が明らかである。畦を農薬による除草と機械式除草では明らかな差がある事は言うまでも無い。ジシギはどちらに多いかはフィールドに出ていれば簡単ですね。草が長く伸びすぎた畦は敬遠される。やはり身体に草が掛かるのは好まないようだ。適度に刈られた場所などは採食と隠れ場所に最適だから。観察者には分かる事と分からない事がある。しかし、経験から想像を膨らませていろいろ考えるのは楽しいのです。そこから新しい疑問が膨らみ新たなチャレンジが生まれてくる。マイフィールドでは決して良い環境とは思いないような三面コンクリート水路の泥地の湿地に拘るタシギが餌場を確保していた。時々、ビジターが来ても争う事無く仲良く採食するが、決して長期間同居する訳では無い。不思議な事にクサシギが1シーズン、着かず離れず側に居た。共にに警戒心は共有している。タシギは厳冬期にドジョウを捕食した、やや大きめだからタシギは飲み込むまで時間がかかりすぎていた、側のクサシギはドジョウを横取りしてあっというまに飲み込んだ。タシギは何も無かったように採食を続ける。クサシギはタシギの後について様子をみている。俺は何がどうなったのか頭脳は混乱していた。それが分かったのは暫く経ってからだった。クサシギはドジョウを捕食するし、タシギも常に失敗する訳では無い。横取りされたタシギがクサシギを攻撃する訳でも無い。後々も仲良く採食していた。小さな水路だから離れて採食した方が餌を独占できそうなきがするが、それ以上に何らかの利点がありそうだ。越冬期は乾季でもあり水路はどんどん乾いて行く、適度な雨が湿地を維持するが、好天が続くとそれに繋がる下流部に移動する、そこは乾く事無く年中水が流れている。雨が降り元の水路に戻る。泥地にはそんなに餌が無尽蔵に居るのだろうか?調べてみた。湿った泥地には赤虫、ユスリカの幼虫が棲息している。湿地の泥地なら最悪の環境でも棲息するから、田圃が年中水田なら一年中餌がある事になる。赤虫を何匹食べれば一日分のエネルギーかは分からないが泥地には予想外にいろいろな生物が居るから、小魚、ザリガニ幼生、海老、ヤゴ、などが居る。観察から分かったものだけ記載した。もっともっと多くの生物や植物の種子なども食べていると、清棲幸保著、野鳥事典に記載してある。人間が考えている以上にタシギたちは賢く行動している。些細な行動から不思議を紐解くのはバードウォッチングの醍醐味では無いだろうか。タシギが旋回から急反転、急降下、鳥友の居る苅田に降りた。

2022.09.20加筆。黄金地鴫552022.09.19台風14号鹿児島から下関再上陸、新潟再再上陸、気仙沼から太平洋へでる。20日明け方は暴風になる。

7.タシギの警戒姿勢に感じる事 

2022.11.15雨、七五三の日です。
要 約
タシギは警戒するといろいろな姿勢をとる。平常心で採食している時は最も普通の状態です。何かに気が付いて警戒するとその警戒する強度により、採食停止、伏せる、隠れるなどの行動に移る。最後の手段はその場所から離れる、飛び立ち、走って隠れるなど様々な行動をとる。しかし、順番にそういう行動をするわけでは無い。個体により第一段階はそれぞれです。一枚の刈田、二番穂の生えた田んぼでは、極自然に立っているもの、二番穂に隠れているもの、地面に伏せているもの、或いは人を感じて隠れてしまうもの、既に飛び立ってしまったものなど様々です。いろいろな段階はあるものの個体により順番に警戒が上がる訳でもない。警戒態勢から自然体に戻るのは距離間が大事である。水路でニアミスするとタシギは水中でも伏せた姿勢をする。その場を離れると立ち上がる、採食し始める、歩き回りながら採食する。距離は個体差による事が多い。観察中に警戒したら、即離れるのが鉄則です。そして警戒せず自然な採食が続けられる距離から観察するのがベストです。写真を撮るにはどうしても近付きたいという行動になる。それが失敗のもとです。反対にタシギが近づいて来るような場面では静かに撮影することができます。こんなチャンスは稀ですがあるのです。常に観察を続けていると分かるようになります。

572022.09.26

タシギの警戒心の微妙な変化を知る

 

タシギが群れの渡りから少数や単独になると警戒心は微妙に変化する事が分かる

 

渡りの時季は群れになる、いろいろな理由があると考えられる。捕食される確率が下がる、警戒心を共有する、全員がリーダーになる他、などがある。渡りの途中では体力差、産まれてからの経過日数の違いがあり、それは生まれた月により差ができる、徐々に遅れたりする個体がでる、後から来る群れに合流する、群れは常に増減を繰り返す、適度に休んで栄養補給をしてエネルギーを備蓄して次の群れに合流する。多分、単独での長距離移動は無いと思えるが、あっても少ないだろう、数羽から10羽以上の群れになり長距離移動していると考えるのが妥当である、日中の移動を観た事は無い、ヒヨドリのように群れで日中に渡るのもいる。ジシギたちは夜間や早朝などの天敵対策もあり人の目のふれない時間に移動していると思うが、稀には日中でも渡るところを何度か目撃した経験がある。春の沖縄で、午後のスコールがあった。雨が上がったと同時にジシギ2羽が田んぼの畔に落下して来た。どさっという方向を観るとそこにはハリオシギが佇んで居た。春の粟国島での事、午前中は大荒れの天気、雨は止んだ、車でゆっくり走っていた。窓は開けてある、路側でどさっと音がした。窓下なので近過ぎて分からない、一度その場を離れた、もう一度戻った。そこには地面を突くハリオシギが1羽居た。明らかにさっきの個体と思われた。春の早朝に、爆睡するチュウジシギが居た。明らかに夜半か早朝に到着したと思われる。採食もせず休むのは長期移動後の個体である。観ると分かる。回復した個体は採食、少しの休憩を繰り返す。この辺のニュアンスが分かるのは少ないと思う。沖縄のオオジシギ発見時も全く同じ経験をした。やや遠くで休む1羽、爆睡していた。何時間も観察していた。何かしら違和感を感じた、そして確信に変わった。少しずつ採食、休憩を繰り返す。明らかにオオジシギだ。証拠を撮る。以前はJIZZでは不可能だった。今なら大丈夫だ。最終到達点も異なる、極北で繁殖した個体ほど南へ移動するらしい、移動距離が最大になる。本州北端と南端では1000キロも離れている、更にはもっと南なら更に1000キロ、それ以上の距離が離れる、自然環境も冬と夏の違いがある。不思議でたまらない。適度な範囲内に分散する、密になり過ぎない、いろいろな環境による餌場の確保、環境変化で途中移動はあるのか?洪水や干ばつにより止むなく移動を余儀なくされる。タシギは全世界分布して居る。殆どが北半球で繁殖と越冬する。オーストラリアの森林火災や干魃により湿地帯が消失してオオジシギが激減したという情報はつい最近である。一度、激減したら簡単には戻れない。自然環境は一度でも破壊されると回復するにはかなりの時間とコストがかかる。だから自然環境は適度な管理が必要になる。ただ放置するだけでは最高の自然環境にはほど遠い。10月初めに苅田にタシギを観察した。苅田の一部は湿地になり水が少し溜まっている。採食を終えると湿地から少し離れて休憩する。姿勢は様々である。背中に嘴を入れて一本脚で休んでいるが、つぎの瞬間には伏せて擬態する。警戒モードが強くなるほど身体は細く長く地面にへばりつくようになる。この状態ではかなりの至近距離でなければタシギと見破るのは難しい。側に稲藁や切株などが有れば擬態は完璧である。ある個体は距離が離れていた、こちらを窺っているのが手に取るように分かる。あまり警戒してなければ体勢は変わらない。ちょっと警戒すると二番穂に身体を隠す事がある。一瞬で体勢を変えたり、超スロウで動く事もある。警戒体勢から動き始める時の身体を上下運動を始める動作に似ていると思う。ある個体は尾羽をこちらに向けてフリーズしている。かなり近いが動ぜず。感づいているのだがフリーズで擬態、カモフラージュして自信がある。隠れ方も千差万別だ。警戒心が強い個体は人が見つけるより早く隠れるか飛び去ってしまう。地上で見つけるのはほぼ無い。ある日の事、南東の苅田に3羽居た。2週間後に同所に、ばらばらに居た。その擬態姿勢には特徴がある。伏せる、背を向ける、二番穂の葉に隠れる、場所が変わっても擬態姿勢は同じ、それぞれの個性がある。とても面白い事です。



602022.10.29擬態と警戒の姿勢の変化を知る

 

タシギの擬態姿勢はいろいろな形態がある。天敵を欺く為のひとつの手段である。タシギ背面の茶褐色の羽毛が複雑な斑紋を纏い自然環境では枯れ草の中で最も効果的な保護色になる。いわゆるカモフラージュ、迷彩色である。最も得意とする湿田では伏せると背中の羽縁のバフ色ラインは稲藁の茎、枯れ草色と化する。動かなければ目視では勿論の事、双眼鏡でも見つけるには容易では無い。一度、見つけてもなんらかの目印が無ければ見失うのは必然である。見つけたら延長線上に必ず目印を設定して置くと見つけ易くなる。一方、乾いた地面や舗装道路のよう障害物、擬態する場所が無ければ簡単に存在が分かってしまう。元々、自然界では人工物は無かった。しかし、現在の自然界には人工物で溢れている。人工物だけに止まらず、廃棄物、ゴミでも溢れている。田んぼにも、畑にも、水路にもプラスチック製品や金属製品、コンクリート製品が溢れている。彼らは物陰や物影にも好んで隠れるたり擬態する。日向より日影を好む。コントラストの変化は生物には厳しい。ちょっと日影に入る事で存在を半減させてしまう。体色がそうさせているのが分かる。警戒はいつでもその場所から離れる事を意味する。瞬時に飛び立つ、或いは隠れるなどいろいろある。瞬間移動という魔法のような事が起る。出会いがしらに互いにフリーズする。タシギもこちらを見ている、観察者はタシギの行動を見ている。大抵はニアミスだから目視が多い、カメラや双眼鏡を手にした瞬間にタシギは居ない。タシギは観察者が目を逸らす瞬間を待っている。ある時はネズミのごとく走り去り、ある時は瞬間に飛び立つ。その瞬間がどんな風か全く分からない事が多い。こんな場面を何度も経験したから、ニアミスしたら絶対に目を逸らさない、もしも双眼鏡やカメラを手にする事があっても目を逸らさない。そしてその瞬間を観察してみるとこの解説が理解できるようになる。経験が無いと全く理解不可能だと思う。ある日の事、水路を、採食場所にしているタシギを観察した。三面コンクリートである。底には泥や砂が堆積して水草や藻類が繁茂している。厳寒期は田んぼは乾くからどうしても少しの流れがある水路を生活の場所にする。水路が乾くと大河や池などの干潟を利用する事になる。三面コンクリートの水路は経年劣化や適度な苔が生えたりする。いろいろなゴミ、ペットボトル、缶、弁当箱、レジ袋、肥料袋、なんでもある。タシギは壁に寄り添うように採食する。安全なら水路の真ん中でも採食する。水路は鋪道があり、散歩人が通る、自転車、犬散歩など通過する。通過する人や自転車など等速度で移動するのは警戒心が弱い、しかし大音量のオートバイ、トラクター、ダンプカーなどはかなり警戒して飛び立つ事が多い。勿論、フェンス越しに覗く俺なども超警戒する。だから居ると分かれば接近し過ぎない。遠くから攻める、この距離で採食すればOK。警戒したり擬態してフリーズなら近過ぎる。この間合いが大事。いつまでもフリーズを観ていても次の行動は期待できない。さっさとその場を離れてみよう。するとタシギは何事も無かったように採食を始める。その安全距離は固体差による。動かなけばタシギが近づく事もある。タシギは夢中で採食し、突然観察者に気がつく、一瞬、フリーズする。近過ぎてちょっとずつ離れる、安全距離を保つ。ほっとする瞬間だ。採食の合間には羽繕い、伸び、水浴びなど魅せてくれたら最高の喜びだ。上空にチョウゲンボウが飛んだ、タシギはその場に身体を沈めた。暫くは静止する。安全を確かめて採食を始める。人が通る、壁に寄り添う、通過すると採食を始める。影も擬態のポイントだ。小さな水路は東西に流れる、昼は南壁は影、北壁は明るい。水路を覗くと、タシギは南壁に着く、影で見え難い。隠れて観ると真ん中にも出てくる。しかし、北壁に着く事は無い。必ず南壁の影に着く。警戒心の強さはタシギの緊張状態から推測できる。最も薄いと採食行動の停止、物に寄り添う、身体を伏せる、水中なら身体を半分水没させるなど、レベルが上がる。最後は飛び立ち、近くに降りる事は殆ど無い。ある日の事、水路の中に枯れた草地がある、そこにタシギが擬態している。距離は5m以内、フェンスから覗いても動じない、擬態に自信があるのか、カメラを構えても動ぜず、さすがにこちらが退散するだけある。後日も同所に休んでいた、今回はちらりと覗くだけで、そっとしてその場をはなれた。何度も繰り返して観察するちょっとしたテクニックです。擬態姿勢や警戒心の強さの行動は観察されて無い事が沢山あると思うから今後も小さな観察を積み重ねてもっともっと詳細な行動を解明したい。タシギの個体差により、擬態姿勢や警戒心レベルは様々だ、数メートル先で二番穂の株間で背を向けて伏せる、横向きで地面にピタリと伏せる、ちょっと離れて平常心でこちらをうかがって居る。更に遠くでは二番穂の葉影に薄らと隠れる等、いろいろなレベルが観察されて面白い。特定の場所では農道からある一定の距離で休んで居る。時々、変化はあるが、35羽がいつも同じような場所に拘るのが分かる。一度決めた場所に拘るのが越冬である。つまり、多少の変化はあっても大きな変化、二番穂が刈り取られて隠れる場所が無くなる等、或いは天敵に攻撃されるなど。タシギには大事件が起る。それ以外なら拘る。そんな些細な事が分かっている。11月に入ると田んぼは乾き始めた、水が貯まる場所には足跡や穴、嘴の跡、糞が残って居る。小さな水路も同様で泥地に嘴の跡の穴、足跡、糞が残る。これらの痕跡は雨が降り消えてしまう。水路の水際を歩く足跡が続いている。タシギだけでは無く他の鳥、ハクセキレイやクイナ類、サギ類など、水辺を中心に餌を探しているのが分かる。冬のある日のこと、早朝に水路で採食するタシギが居た、付近には隠れるるような物が無い、三面コンクリート壁は陽射しがあるから明るい、こちらの存在には気づいている、半ば警戒気味に採食を中止し静止する。すると電柱の影が水路にある。ほんの狭い範囲内である。タシギはその影の中に入り静止した。影以外の場所は明るいが、影はタシギの存在を薄めているのがハッキリ分かった。タシギは影から出ようとはしない。その場所を離れて、50メートルほどから覗いたらタシギは何事も無かったように採食を続けた。影を利用するのはタシギだけでは無い。橋の下の影は影を利用しているのか、上を遮蔽されているから利用するのか、或いは両方かもしれない。ゴイサギ、コサギ、カワセミはパイプラインに止まる、などが橋の下を利用している。ここでは小さな水路に架かる橋を言います。小さいほど橋の利用が分かり易い。小さな橋はU字溝の蓋でもある、これらもかなり利用される。擬態は枯れ草の中だけとは限らない、擬態よりも物陰に身体を隠すというのが目的だと思う。空き缶やペットボトルでは人間の目では騙されるとは思えない。もしそれがタシギの擬態だとしたら何世代もの進化は最悪になる。だから擬態では無く、単なる身体を隠すという行動かも知れない。擬態と身体を隠す行動がどれだけの違いがあるだろうか。20221117追記。


 

592022.10.04真夏日南強風

 

8.タシギの飛翔を撮るには秋の渡りがベストシーズン。

 

春の渡りでも群れは観られるが秋より少ない、渡る期間が34月と長いから分散する、秋はほぼ9月中に終了する。これは繁殖地が冬への変化が早く降雪、凍結で滞在は不可能になると思われる。この変化を待たずに南下しなければならない

大きな群れが観られるのは渡りの時季だけです。特に秋は群れの数も個体数も最大数になる。しかし、秋は長雨が続き青空が少ない、何度もフィールドに通いチャンスを待つしか方法は無い。少ないチャンスを物にするには日頃からトレーニング、観察あるのみ。タシギの習性、行動をよく観察すればその難しさが分かります。タシギは飛び立ち、観察者から遠去かって逃げるように真っ直ぐに飛行する。エスケープフライト、逃飛行。ジェ〜ッと地鳴きを残して真っ直ぐに飛び立ち、急に上昇しながらジグザグに飛び去るのが普通です。この時季の初期には移動が目的だから飛び立つとフィールド外に旋回して飛び去る事が多い。次々に飛び立ち、旋回しながら合流する、背後からの飛翔が多くなる。かなり遠去かってから旋回、横移動になるが画像は群れの画像として面白い。至近距離での青空抜けの画像は限られる。そんなにチャンスは多くは無い。しかしゼロでは無いから。つまり旋回して近くに着地するようなチャンスが来たら、その瞬間は絶対に見逃してはいけない。フィールドでは機材をセットして準備して歩くと良い。飛んだら準備では間に合わない、見失ってしまうから。今季は何度かチャンスがきた。いろいろな飛翔形態が撮れたら纏めてみたい。画像で一瞬を切り取る事からいろいろな飛び方が分かってきた。翼動やジグザグ方向転換、急降下、上昇、着地、落下、姿勢等はとても参考になる。曇天の雲はタシギを呑み込んでしまう。一瞬でも眼を離したらタシギを見逃してしまう。絶対に眼を外らしてはなら無い。飛び立ってからの速度は極めて速いから瞬時にフォーカスし続ける訓練をすれば直ぐに捕捉する事が出来るようになる。あまり長玉に拘らずに小さくともジャスピン狙いが良い。動体識別、多点フォーカス、AFC、連写などお好みのカスタマイズが最適。一度に押せるのは510コマほどだが半分以上はピンボケだが、良い角度で写ると嬉しさは倍増する。翼下面、翼上面、側面など翼の位置と角度がポイントになる。アイポイントが写し込まれるようなジャスピンなら言う事無し。念願の青空で撮ってみよう。チャレンジすると分かる事だが、タシギは想像以上の速さで飛ぶから肉眼、裸眼で追うのも難しい。ましてや双眼鏡の視野では更に難易度は高くなる。ある日の事、秋の穏やかな曇天の日にタシギの群れが着かず離れず旋回する。明るい曇天だから影ができない明るさだから撮影には最適。旋回するから自分も少しずつ動かなければ視野から外れてしまう。最近会得した方法がある。足を少しずつずらして常に正面にタシギを観る。これを怠ると突然に視野が限界になる。身体は大きく揺れて視野は外れて見失う。こんな事が度々あったから、今では常に正面に観る習慣になっている。こんな些細な事が分かるのは何回も失敗を重ねたからである。タシギは猟鳥、ゲームバードになっていた。今でもそうなのかは分からないが、あの飛び方は正しくクレー射撃のクレーの飛び出しのように何処から出て何処に飛ぶのかが分からないから面白い、これがカメラでも同じような効果が分かるのは俺だけだろうか。一度、飛翔画像にチャレンジするとその難しさと奥の深さを感じると思う。12月の気温になる。10.06雨。10年以上もジシギ観察、撮影をしているが、飛翔はオオジシギを除き殆ど無い。やっといろいろな飛翔形態が撮れたから嬉しい。10月に入りタシギは二度目のピークが来た。フィールド内に残る個体数は10羽前後、飛び立つ個体は単独か数羽、旋回してフィールド内、それも飛び立った場所に降りる事が多くなる。向かって来るのは最大のチャンスだから全押しする。通り過ぎるタシギの顔、目がはっきり見えた。青空なら言う事ない。難しいチャレンジです。10月下旬は移動か少なくなる、飛び立ちは短く近場に着地する事が多くなり頭上では旋回飛翔は少なくなる。飛翔写真はチャンスが少ない。今でもタシギを見失ってしまう事も度々ある。10.23晴れ。

 9.タシギの見え方は変化する
 

58その2

20221122

タシギの渡来から渡りの終わる頃は何かが変化する、、、それはタシギの見え方の違いがある。渡来の初めは苅田からの飛び立ちで分かる、群れは殆どは飛び去るのが多い。九月終盤には苅田も多くなり二番穂は適度な長さになる、そんな所は湿地で採食可能、地上で観るのが多くなり飛び去るのは段々少なくなる。10月下旬には二番穂が伸びて姿は一部だけ観る事になる。至近距離では地上で見られるのは稀、殆どは飛び立つのが普通。

 

 

当地ではコンバインは九月に始まる、苅田はあっという間に二番穂が青々と伸び始める。そんな苅田にぽつんとタシギが現れる。それから週末毎に苅田が増える、未だ二番穂は低いから苅田に居るチュウジシギが良く観える。チュウジシギの小群が多くなる、秋は深まり中旬になるとタシギの群れが来る。殆どのタシギは飛び立つ事で分かる。この時季には苅田の地上で見られるのは少ない。農道をゆっくり歩いていると、苅田から次々飛び立つ。殆どはフィールド外に飛び去る毎が多い。こんな状況が暫く続くと、タシギやチュウジシギの飛翔は十分に観察しているから、地上の姿をゆっくりと観たくなる。10月に入ると二番穂が伸びて葉が重なり合うからタシギの姿は部分的にしか見えない。チュウジシギも飛翔だけで二番穂に降りたらほぼ見えない。そんな事を分かっているようで丸見えの苅田には降りない。タシギの渡りがほぼ終了すると、飛び立つタシギは飛び去る事は無く、フィールド内の移動になる。

二番穂内ではいろいろな姿勢のタシギが観察される、ぽつんとペンギン立ちする、二番穂に隠れる、伏せる、やや遠いと全く見えないのにタシギが殆ど飛び立ってしまう。足音などの気配で近づくのが分かってしまう。秋はタシギやチュウジシギの飛翔を観察、撮影するのが最適です。青空に飛翔するジシギを写して観るのも楽しい。ジシギは飛び立つ時には地鳴きをするから種と地鳴きを確認してみるのも良い。秋は田んぼでも思いがけない渡りに出会う事もあるからできるだけフィールドに行く事をお薦めする。秋の渡りはオオジシギから始まりタシギで終わる。タゲリの渡来する頃にはタシギはすっかり越冬状態になる。本当の観察はこれからが本番になる。些細なな行動を積み重ねるとひとつの物語になる。さて今季はどんな行動を魅せてくれるだろうか。2022112512月に入り苅田は緑色からバフ色に変換した、畦の枯れ草は同様にバフ色になる。暖冬だから雨が多く苅田は湿地が沢山有りタシギは採食に困らない、師走に入り朝は5℃以下に冷え込む、採食を終えたタシギは陽だまりで休憩するようになった。そんな場所を見つけたから、毎日少しずつだけお邪魔して観察を続けている。たった一羽の愛想の良いタシギがフィールドに居るだけで観察は楽しくなる。そんな些細な楽しみを探すのが面白くする。不在の日にはその場所を精査してみる。フィールドサインが沢山残してある筈だから。20221208追記。

 10.タシギの長い嘴は他のジシギと何が異なるのか

64.タシギの採食についての観察経験から

考察する

 

2022.12.19月曜日小春日風

 

タシギのストロウビル、細く長いのは 他のジシギとは異なる、細くて長いのはどのような違いや長所短所があるのか考察してみた。タシギは通常は水のある柔らかな泥地を好んで餌場にする。田圃や昔ながらの水路等の泥地にはいろいろな生物が棲んでいる。主に観察されるのはイトミミズやアカムシの捕食行動である。これらのイトミミズやアカムシはかなりの悪い環境で、つまり泥と水と僅かな酸素、それに有機物などで、大量に繁殖、増殖を繰り返すと考えられる。水()が有ればイトミミズが大量に居るから何処でも簡単に食べられる。アカムシの成虫はユスリカで春秋に発生する。と解説があり、清流から泥地まで1000種も居る。水溜りから田圃等となっている。どちらかというと流れの無い水溜りが多い。高タンパクで魚の餌、成虫は鳥の餌となる。成虫は人を刺すことは無いが死骸はアレルギー性があり、衛生害虫の区分。タシギはやや深い水場でも嘴の根本から頭が隠れる程まで嘴を差し込み採食する。嘴を垂直に素早く上下して、獲物を捕食すると一瞬停止するが、直ぐにゆっくりと持ち上げて地中、水中から離れると、あっという間に飲み込んでしまう。獲物は嘴で咥えて舌で引っ張り込む。これを繰り返すが、果たして何匹食べたら取り敢えず満腹、休憩になるのだろうか。厳冬期は泥地で一日中採食しているような印象である。タシギは越冬地では複数の餌場を巡回していると思う。環境の変化への対応だと思う。いつもの餌場が乾燥化、或いは大雨で水没等、時には外乱、天敵襲撃等。異常事態から平常状態へ。ある日の事、厳冬期に乾季で水路は乾燥化と凍結。こんな時は凍結や乾燥の少ない大河、江戸川を覗いたら砂地の干潟に採食する群れが観られた。通常は猛禽類の襲撃があるから、オオタカやハヤブサが鴨などを捕食している。平常時は殆ど干潟は利用せず。三面コンクリート水路では適度な藻や水草が生えてそこはドジョウの稚魚、ホトケドジョウ、カワエビ、クチボソ、ザリガニ幼生、ヤゴ、ヒル、タニシ稚貝等が棲息する。勿論、アカムシやイトミミズが主食だが時には前記のような大物を捕食する。大物は食べ慣れないから捕食から飲み込むまでは一苦労である。大物の太いミミズを捕食したタシギは頭から飲み込むまで何度も落とす、咥え直す、やっと頭を嘴で押さえて、舌で引きずり込む迄はスロウモーションを観ている感じである。これを観て思わず微笑むのは俺だけでは無いだろう。こんなエピソードは多くある。ある年のある日の事、垂れ尾のタシギ、ニックネームです。時々幼鳥が行動していた。親子と思った事もある。垂れ尾はドジョウを捕食した、なかなか飲み込めない、側の幼鳥が横取りした。そして飲み込んだ。もうひとつの考えは幼鳥にドジョウを分与えた。これは最近の考え方です。何故なら横取りされても取り返す事も無く、何も無かったように振舞うタシギは果たしてお人好し、いやお鳥好しなのか、私には理解不能。但し、平和主義である事に違いは無い、何故ならより小さな鳥が側に来ても攻撃せず、自然に行動する。クサシギはタシギと共生か寄生かも分からない。クサシギはタシギからドジョウなど横取りするがタシギはクサシギの警戒心に助けられる。共生かもしれない。異種行動の不思議。タシギは何処でも大量に居るイトミミズを主食にするように嘴を細くて長い柔軟な嘴に進化した。タシギは世界分布である。他の種はやや乾いた草地で地中のミミズや昆虫の幼虫を捕食し易い、アイスピック状に進化した。オオジシギ、チュウジシギ、ハリオシギはタシギより乾燥した草地の土の中の生物を捕食する嘴に進化した。しかし、タシギ以外の種でも水のある泥地でイトミミズを捕食する。と思われる、実際にチュウジシギでの観察経験がある。反面タシギが畦の草地で嘴を軽く少しだけ突くと太いミミズが飛び出す、それからが大変です、何度も咥え直しては落とす、繰り返すとやっとミミズは弱くなり頭を咥えて飲み込む、余裕があると水溜りで洗ってから食べるのはジシギに共通している。格闘して泥だらけでは不味いのかも知れない。アオシギは渓流や里山の湿地などで水棲昆虫やその幼虫を捕食するが、土の中へ突っ込むような画像は記憶が無い。落ち葉などの下を漁る捕食行動が一般的。それぞれが得意とする環境、柔らかな泥地かそれよりは乾燥した草地の地中か或いは枯葉の積もる湿地などだが、それ以外の環境でも予想外の環境、例えばタシギが離島の海岸で海藻を突く、チュウジシギが水のある泥地でイトミミズを捕食するなどは実際に観察経験がある。渡りでは得意な環境だけでは無いから着地した場所の環境で採食しなければならない。離島のサトウキビ畑に休むタシギを観察した。乾いた赤土の畑で、タシギは水辺を探したのだろうか、或いは草地で表面を突いただろうか。気になるところだ。飛島の学校の校庭に潜むタシギが居た、草地での採食行動は観られなかったが翌朝には移動していた。タシギは泥地のアカムシやイトミミズを捕食して世界分布をしている。ある年のこと隣町の都市排水路の泥地にタシギが採食していた。アカムシやイトミミズを捕食していたと思う。水路なんて誰も覗いたりはしない、猛禽の襲撃も多分少ないと思える安心安全なキッチンとなっている。厳冬期でも凍結することは少ない。何故なら家庭の雑排水は温水だから。2022.12.25追記

 11.黄金地鴫について

 66.20221214木曜日小春日和風⑤

by appyChappy

 

黄金地鴫物語  

pisode of the olden nipe

 

キンジシギ、黄金地鴫が越冬するという場所は人が立ち入ることは不可能な広大な草地の湿地である。春秋の渡りでは草が生えた浅い水路などで稀に観る事がある。印象的な黄金色、ゴールドメタリックは翼下面、尾羽の先端部、肩羽羽縁、背中は茶褐色で金属的光沢の黄金色を放つ、繁殖期の雄は春の通過時に特に濃い発色、光沢を観る事がある。雌や若い雄は金属光沢はやや薄いという。国鳥キジの繁殖羽根を想像すればその構造色が分かると思う。黄金色を観られたらジシギ屋としては最上級の幸せである。繁殖期の雄はゆっくりと浅い羽ばたきをしながら透き通った複雑な声で囀り飛翔を繰り返す、蓮の葉や花にも止まりディスプレイをする。渡りの時季にはかなりの速さで直線的に飛び地鳴きは至近距離なら微かに聴く事がある。とても澄んだ地鳴きらしいが、未だ正式な記録は無い。

 

一方では古文書などには以下の記述が残されている。

人はこの世からあの世へ、極楽浄土に旅立つ。そこにはとても大きな蓮池があり紅白の蓮の花が年中咲き乱れている。風水害など一切無い穏やかな常夏の世界。そんな場所を繁殖地にしている黄金色の地鴫が居る。それこそが黄金地鴫である。極楽浄土は無限に広いので数はとても少ないと記述してある。この世でもあの世でも同じ事を楽しめるから先人たちはきっと既に観ていると思う。ジシギは苦手だと言うが、一度だけ伊良湖岬サシバの渡りでのバス旅は印象に残る、ハードカバー日本の野鳥図鑑は私の宝物です。とても分かりやすい識別図鑑を描いた高野伸二さんも識別にこだわる事なく楽しんでいると思う。我が鳥見人生の恩師のKさんも同様に浄土でも楽しい鳥の解説をしていることでしょう。それともあの世だけでは物足りず宇宙を旅しながらあちこちの浄土を旅しているかもしれない。



 12.アカムシとは


65、ユスリカの幼虫アカムシ

 

水溜り、水田、側溝など流れの少ない場所が多い。富栄養化した霞ヶ浦、手賀沼、琵琶湖、精進湖、諏訪湖、などにも生息する。幼虫は春と秋に羽化して成虫になる。夏は夏眠する事で酸欠を回避している。気温上昇による溶存酸素が減少するから。と解説がある。赤虫、幼虫は魚の餌になり、成虫、ユスリカは鳥の餌になる。幼虫は汚泥中の有機物を餌に成長、同時に窒素や燐等の富栄養化物質を浄化する。汚泥から成虫になって飛び出す。成虫の死骸はアレルギー性があり衛生害虫に指定されている。ワカサギ釣り用の餌アカムシは韓国から輸入されている。余った餌が廃棄されて羽化しているのが確認されている。種類は1000以上あり極端に言えば水が有れば生息する。実際にはかなりの水質汚濁や富栄養化の中でも生息するから都市河川など何処でも居る。と言うことになる。かなり昔の事、三面コンクリート水路の泥が堆積した場所でかなり目の細かな網で泥をすくっていた。熱帯魚などを飼育販売しているおじさんはアカムシを採取していたのです。泥は網の目を通過して網の先端部はより細かな網目になっていて底の袋にアカムシが貯まる。それを採取する。アカムシは動物性タンパク質で豊富なアミノ酸を含む。魚にも鳥たちにも優れた栄養素になる。水があれば何処でも大量に生息するのがキーワード。アカムシは泥中の有機物を浄化する重要な循環の一部でもある。小さな生き物がより大きな生き物の餌になり、最後には有機物を分解処理浄化してくれる。目に触れない部分だが極めて重要な事である。生態系の最下部で小さくても大量に生息し循環を支えている。

 13.ミミズの種類

66.ミミズの種類は何種類

2022.12.24土曜日小春日和風その8

 

シマミミズ、イトミミズ、フトミミズ、アブラミミズ、ヤマミミズ等の分類がある。

環形動物門貧毛網に屬する生物、学名はOligochaetaに属する動物。目も手足も無く紐状の動物。

南西諸島で捕食されたミミズが青味を帯びていたからシーボルトミミズかもしれない。

 

シマミミズは有機物を含む土壌を好む、コンポストで土壌改良、釣り用餌にする。

 

イトミミズは水中、泥地に生息する。アカムシとの区別はし難い。

 

フトミミズは畑や田んぼの草地に生息する。雨が降ると地中酸素が不足し、地上に這い出すが舗道で乾からびてしまう。シロハラクイナなどは好んで食べるがジシギたちが食べるのを観た事は無い。

 

アブラミミズは水中に生息する、一見してミミズとは思いない。

 

ヤマミミズはシーボルトミミズとも言われる。青味がある。

 

見えない物を見て、聴こえ無い音を探す、必ず新しい発見がある。

 

ある。昨年はコガモがハヤブサに捕食された、キジは羽毛だけ散乱していた。猛禽類は良く分かっていて巡回している。

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