タシギの年齢と羽衣の変化 | |
幼鳥幼羽から成鳥夏羽までの変化 | |
幼鳥幼羽 第一回目冬羽、第一回目非繁殖羽 第一回目夏羽、第一回目繁殖羽 成鳥冬羽、成鳥非繁殖羽 成鳥夏羽、成鳥繁殖羽 以下は夏羽、冬羽と記す それぞれの夏、冬の羽毛に完了するまでの途中経過の各段階のいろいろな換羽進行形の個体が観られます。例えば、第一回目冬羽に換羽進行中。は未だ完了してない途中の段階を言う。反対に冬羽が完成して経過すると羽毛は摩耗が発生している。完成形、前期、中期、後期などに区分されるが通常はあまり表現していないのが実情です。冬羽から夏羽への変化は徐々に始まり、ある時点で明確に分かるようになる。タシギでは成鳥冬羽で完全換羽する。他の換羽は部分換羽である。 |
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タシギが生まれたその年が一年目、幼鳥幼羽から第一回目冬羽まで、年が明けたら二年目、春には第一回目夏羽になる。秋に渡来すると成鳥冬羽、人間的には満一歳と数か月になる。更に年が明けると春には成鳥夏羽になる。以後は成鳥の冬羽、夏羽である。タシギは満一歳と数か月以上で成鳥となる。2023.06.08 by Birdopia gallinavi Golden snipe 黄金地鴫 きんじしぎ |
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分 類 | 参 考 画 像 |
幼鳥幼羽 背は換羽済、肩羽、雨覆、三列風切の羽縁が極めて細く白い |
肩羽、雨覆、三列などに幼羽が残る。 |
幼鳥幼羽と見間違う個体の例 アメリカ産Gallinago delicata 風の個体です。 gallinago gallinago の亜種が違うのではと思える 外観の相違は種の違いでもある。 |
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第一回目冬羽に換羽進行中 背は換羽済で冬羽。肩羽と雨覆は換羽しているが未完成でもある。 |
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第一回目冬羽 第一回目非繁殖羽 背、肩羽、雨覆、三列風切全てが冬羽に換羽済。羽縁はそれほど太くは無いから第一回目冬羽完成。 早い個体は渡来時に第一回目冬羽に換羽済になっている。 年が明けるとほぼ冬羽である。 遅い個体は一部幼羽を残す個体も居る。 冬羽でも赤味の強い個体は居るから赤味が強いだけで夏羽とは言い難い、頭側線内の斑点や胸が淡い赤褐色に成れば本来の夏羽と思う。同時に頭側線内斑点も冬羽でも目立つ個体は居る。 |
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10月なのにこんなに赤褐色が強い個体。色彩は無限大だから色彩だけで冬、夏を判断するとミスし易い。必ず観察日を記録必須。 |
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第一回目夏羽 第一回目繁殖羽 年が明けると早い個体は換羽が始まるように感じる。三月からは移動が始まり四月は更にはっきりと夏羽に換羽している。と分かるようになる。 |
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ニックネームは垂れ尾ちゃん、晩秋から春の終わりまで冬羽から夏羽への換羽がよく分かった。 |
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成鳥冬羽 成鳥非繫殖羽 二度目の秋の渡来で成鳥冬羽になる。冬羽の完成形や完成直後から末期の擦れた個体まで越冬地で見られる。 第一回目の冬羽との比較で 明らかに肩羽羽縁の太さの違いが見られる。この違いが分かれば上級者。 肩羽羽縁はそれ程太くは無いのは全て第一回目だとは言い切れない。人間の外見的判断だから。科学が進んでもっと分かり易い区別ができるようになるかもしれない。 秋から年内に見られる事が多い。年が明けると冬羽後期から夏羽への換羽が始まる。冬羽と夏羽の境界線は無く、年明け頃から夏羽への換羽を始まり、三月から四月には明確に分かるようになる。夏羽の完成形は観る機会は極めて少ないと感じる。特に成鳥は春三月には北上、渡りを始めてしまうから。 反対に越冬地では冬羽への換羽から末期、或いは夏羽の換羽始まりが観察される。 |
嘴の上部先端部を反らせるのをrhyncokinesisリンコキネシスと言う。シギ類やキーウィなどで見られる。ゴールデンバフはこの個体から始まった。 |
成鳥冬羽の後期 羽縁の摩耗が見られる |
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成鳥夏羽 成鳥繁殖羽 冬羽と夏羽の相違点は以下のように思える。 夏羽では頭側線内斑点が明るく目立つようになり、胸、顔などが赤褐色味が濃くなる。明るくなる。 冬羽でも頭側線内の斑点が目立つ個体はいるが、夏羽のものと比較すると明らかに異なる。冬羽はバフ色が強くなるが、個体により冬でも濃い個体が居る。 撮影した場所、月は重要な情報であり、それが無ければ年齢特定は不可能に近い。それだけ微妙な相違点でもある。 |
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タシギの幼鳥幼羽から成鳥夏羽までの写真図鑑が一応完成した。これでタシギはどの年齢なのかは明確になると思います。筆者の長年の夢が今叶えられたような気がします。まだまだ分からない事があり、雌雄の識別などは今後の観察で明らかにしたい。擬態や捕食のシーンなども纏めてみたいと思う。2023.0608記 | |
タシギは秋のコンバインが始まると同時に渡来が始まる。コンバインが終了して1-2週間経過すると二番穂が伸び始める。そんな中からタシギが飛び立つ。秋の長雨の合間に農道を歩いてみるのが良い。間もなくチュウジシギが見られる、日によってはチュウジシギの方が多い。次第にタシギは群れが幾つも見られるようになる。二番穂からタシギが10羽以上飛び立ったなら、未だ飛んでない個体、鈍感か愛想が良いのか分からないが残っている事がある。10月に入ると稲の残る水田にノビタキがひらひらと舞う。北風が涼しくなる頃にはタシギの群れは見られない。11月になるといよいよ越冬準備が始まる。未だ二番穂の湿田を利用しているから観察しにくい。師走になり、氷点下になるど二番穂は緑色からバフ色に枯れる。乾季が続くと田圃は乾き水路を利用し始める。これからがタシギ観察の本番となり忙しい日々が続く。観察は毎日少しずつがモットー、決して近いからと無理して撮影に夢中にならないように気をつける。同じ個体が同じ場所で安心して越冬できるようにと願うばかり、出来れば来季も会いたいと思いながら春の別れが始まる。なかなか個体識別は難しいが性格まで覚えると愛おしくなる。長い期間会えるタシギは観察には最適と思う。いろいろなテーマを考えながら課題を解いていくのは楽しいゲームの様です。黄金地鴫 |