郊外の三面・四面コンクリート 用水路で越冬する賢いタシギ

2011.02.15
by HappyChappy


2022.06.08renewal

Golden Snipe Gallinago Aurum キンジシギ 黄金地鴫

 都会にはいろいろな自然が混じりあっている。湿地があり用水路がある。公園は森になりそこには池がある。市民が楽しむ散策路が設けられいつでも自由に都会の自然に触れることが可能である。夜はネオンが灯り、街燈も点くから一晩中明るいとも言える。都会のお堀で夜に餌を漁るゴイサギなら普通であるが、コサギや他のサギたちが餌を獲っている特集記事を専門誌で読んだ記憶がある。また夏の季節にはガソリンスタンドの照明に集まる虫を求めて一晩中飛び回るツバメが居るとか。そんな都会の人工の施設を上手く利用して生活している。少しは地味な話になるが大都市から少し離れた三郷市は都市化が進み段々と畑も田んぼもそして屋敷林さえ減少し続けている小さな田舎の都市である。それでも住宅地を抜けて行くとそこには畑や田んぼそして昔ながらの農家と屋敷林が少しは残されている。本来田んぼには利用する水路が縦横に走っている。メインの水路は季節になると江戸川の上流・中流部から取水門を通じて用水路に水が引き込まれる。メインの水路から更にサブの田んぼに縦横に走る用水路である。まだまだサブの用水路は100%三面コンクリーでは無く一部は掘り下げられただけの用水路も少なくない。そんな地面が剥きだしている用水路は生き物たちの生活の場でもある。農作業が機械化されて田植えから収穫前までは用水路は水が通じでいる。一方では三面・底と両側コンクリートでは無機質で生物が全く生息していないような印象を受けるが設置してからの経過年数にもよるが土砂が堆積し草が生え有る程度の人工的な自然が復元されているのである。そして少しながら水が流れ生活排水の流れ込む用水路は温暖化で水中め地中で様々な生物が活動しているのです。それらの生物はハクセキレイ、クサシギ、ツグミ、ムクドリそしてハシボソガラスなどの餌となっている。ように感じられるのである。用水路は農道が走り田んぼからの排水路としても利用されるから敷設されている土管や橋などはある意味四面・底・両面そして蓋・橋の部分コンクリートでもある。初めは短い橋の下は影になり上空からの天敵猛禽類・ノスリ・チヨウゲンボウ・オオタカ・ハイタカなどやカラス類に対してもかなりの隠ぺい性がありフリーズすると石ころと全く識別困難である。初めて観察した時には上手く隠れるなと思っていた。そして何時見ても同じように橋の下や影の部分で餌採りしている個体に気がついた。何度も同じ場所で居ついているのである。そんなに餌が有るのだろうかという疑問にも関わらず場所を変えて橋の下や影に居るのである。そんなに離れている場所では無いから同一個体であることには間違いはありません。そういう個体が2個体居てほぼ同様な場所・橋の下・影の場所である。それらの個体は特別に接近しなければ飛び立つことは無くじっと壁面に貼り付いてフリーズしている。そして橋が長く暗渠部分になっている付近にいる個体に気がついたのである。まさかである。居る訳無いじゃん。普通短い橋なら少し離れれば向こう側が見通せるのです。しかし暗渠部分は数十メートルはあるのでそれを見通ことは不可能である。でも用水路のタシギたちはそこの湿地に居て向こう側が見通せれば当然通過できると思う筈である。そんな暗渠の場所は天敵も無く餌が豊富にあれば独り占めの天国である。地面の出ている所にはツグミさえ入り込んでいるのも観察しているから暗い暗渠の中は本当に越冬天国なのかもしれない。それからいつものようにタシギを観察していて少しずつ近づいてみると突然姿を隠したのである。見えなくなったのである。飛んだのでは無い。はじめは土管の陰に隠れていると思った。側に行って良く見るとそんな隠れる場所なんて無いのである。????・・・・・・・・・・・。暫く考えていた。まさか・・・・。である。タシギは30cm程度の直径の土管の排水管に入ったのである。その長さは大凡3-4m程度である。今は田んぼに水は無いから殆ど通水はゼロである。メインの用水路からサブの用水路からの排水管がタシギの隠れ場所だったのです。なんどもなんども行き来を繰り返していたから地面からの足音がタシギにはハッキリと聴こえていたのである。だからタシギはその土管から出てくることは無かった。無理に追い出しても次回の観察があるから何時も飛ばさないようにしている。普段通りが彼らが安心して生活ができるからである。それにしても人工的な施設を上手く利用して越冬しているとはさらさら考えもしませんでした。以前我が家の街燈・玄関灯の側で越冬しているジヨウビタキの♀が居ました。それは玄関側に糞が落ちていたのでそれと気がついたのです。気がついてから可哀想だと勝手に思い街燈を消して何日か経過したらジョウビタキは移動してしまいました。街燈があることで安心していたのです。消灯で環境が変化して危険を感じて移動したのでしょう。小鳥たちは人間が思っている以上に賢いのです。日々の散歩コースで見つけた賢いタシギの越冬術には驚きと感動があったのです。視点を変えると自然自然と言うけれども鳥たちにとっては安全な餌場所があれば越冬天国ではないでしょうか。続く・・・・・・・・・・・・。
 いろいろな用水路

メインの用水路・土砂が堆積して草も生えている。乾季には適度な湿地を形成している。
コンクリート用水路は保水性が良好で乾期でも相当な干ばつで無ければ乾くことは少ない。2022.06.08追記。
 


サブの用水路。水面がメイン用水路と同じなので乾くということは無い。

 


昔ながらの水路です

三面・非コンクリートのサブ用水路。メインより水面が高く設定されている。排水路にもなる。
この場所は深なっていて鯉、ナマズ、ヘラブナが越冬する。


 両側のみコンクリートの二面コンクリ・メイン用水路 上の画像です。


 同上・下流側からの流れです。上空から丸見えなのでタシギたちは警戒してなかなか利用する事は少ない。


 サブの用水路。湿地はタシギの絶好の越冬ポイントです。狭いにも関わらずタシギたちは利用する。


 水が涸れることは無いサブ・三面用水路・U字溝。 上の画像。


メインの三面用水路。橋の下や影の部分に居ることが多いタシギ。

影の部分に居ることが多い個体。

 

タシキ゛が隠れた排水土管



 

影の部分を利用している個体・タシギ。天敵の猛禽類の攻撃を避けるため繁みを利用する。



 


壁面でフリーズする個体。

 


竹林の笹が被る下の個体・タシギ。

 


本来のタシギの生息地です。

 

フリーズしながらこちらの様子を窺うタシギ。



 

タシギが隠れた排水土管。手前がメイン用水路。


 

最短距離まで近づいた。タシギはこの後ジェーッと鳴いて飛び去る。これでは観察不適
です。飛ばさないことが何度も観察できるコツなんですよ。



 

橋の下の個体



 

橋の下の別個体・タシギ。コサギやゴイサギなども利用している。コサギは人が近づくだけで橋の下に隠れてしまう。



 

何か有った方が擬態には最適なんです。タシギ。



 


影が好きな個体・タシギ。


 

この個体は何時も暗渠前の壁面でカモフラージュするのです。暗渠の中に居たのは
この個体かもしれません。下の個体と同じです。



 



右隅にタシギが居ます。

 この日は雪解け水が多いので暗渠下には入れないのかも。


 この散歩コースには最大数・7羽のタシギが観察される。


 人が近づく前は用水路の中ほどで餌を探しているのです。人影が近付くと壁面でカモフラージする。

 

2010.10月の秋の沖縄本島にて。タシギでした。



あとがき

散歩するのに越冬タシギが用水路に入る頃が待ち遠しいのです。12月になり乾季になると用水路に湿地が現れるようになる。すると、タシギやハクセキレイ・ツグミ・ムクドリなどが用水路で餌を探しているところを観察することがあります。今年は150-500mm&D90をデイパックに入れて鳥見しながらのブラリ散歩はとても楽しいのです。今日は7羽、今日は2羽今日はボウズとか思いながら郊外の用水路から田んぼの用水路そして河川敷を歩くと季節の鳥たちに出会えるのです。勿論、山菜遊びも実益を備えているのです。毎日・毎日の緑黄野菜の緑を賄っているのです。茹でてユズポン酢で食べるのです。そして気がつくとタシギたちは強かに都会の中で上手く越冬していることに感づいたのでした。何時か暗渠の中のタシギを撮りたいと思っているのです。20110217ジシギ屋のつぶやきでした。
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