ハリオシギ
針尾鴫 Gallinago steruna Pintail Snipe
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BirdopiaGallinavi
by HappyChappy
2022.05.17renewal
Golden Snipe Gallinago Aurum キンジシギ黄金地鴫
取材地沖縄県2007,09-10、2008,09-10

 識別ポイント

1、翼下面は暗い・黒っぽく見える。
2、腋羽(わきばね)は黒帯と白帯の幅は1対1またはそれ以下で黒の幅が広く暗く・黒っぽく見える。
白地対黒帯=白<黒ですが中には白地=黒帯或いは白地>黒帯などやや明るく見える個体も居る。
3、次列風切後縁の白帯は極めて細く目立たない。
4、嘴は基部が太めで先端ほど細くアイスピック状で頭部の約2倍以下で短く見える。
5、目先線・過眼線は細い。個体差が多い。
6、眉班は目先で極めて広い、頭側線は褐色でバフ色の班が入る。斑の多少は個体差がある。
7、尾羽は通常26枚(24-28)で外側尾羽は6-8対が先端部は針のように細く他のジシギのように
簡単には見えないことが多い。写した画像からそれと判断することが多い。
8、尾羽の突出はジシギ中で一番少ない。
9、生息環境、餌場は畦の上や側面で嘴を土中に差し込み太いミミズを捕ることが多い。水田など
  湿った所などでもタシギのような餌捕り行動が見られ水浴の前後は水中でも休息することがある。
10地鳴き・鳴き声は飛び立ちに際しクエッとしゃがれ声に似るがタシギよりは短く聴こえる。筆者
には絶対識別は困難です。
11下列肩羽の内弁・外弁はバフ色で等幅である。幼鳥は内外共に細く白い。ジシギの幼鳥に共通。
  全体のバランス・スタイル・ブロポーションなどは識別の重要なポイントになります。

  ハリオシギの決定的な識別点は尾羽の枚数・形状であるということに注意して観察し決定的瞬間まで根気よく生態を観察することがスキルアップにつながります。識別ポイントだけではなくジシギの生活・生態を観察することでそれぞれのジシギが少しずつ異なる環境・餌場に棲み分けているのが分かるようになります。
  1枚の画像から○○○シギでしょうか?という質問が掲示板等で見ることがあります。標準的で図鑑的モデルの画像からそれと分かることもありますが、緊張した場面での画像は標準的なモデル的プロポーションから外れていることも多く殆どは識別困難な事が多いようです。フイールドでは最良の条件でなければ針尾を観察することはできません。いろいろな個体を観察していると遠くに居るのはハリオシギという直感が働きます。そして詳細にプロミナ−で識別ポイントを確認しながら生態を観察して決定的瞬間の到来を辛抱強く待ち続けます。殆どはこちらの存在に気がついて遠ざかるか繁みに隠れるのが普通です。観察を繰り返して続けることで餌捕り・くつろぎ・休憩・水浴・羽繕いなどの次の行動が予測することができます。そして遂には10-15mという観察・撮影に最適な至近距離まで接近することもあります。さあチャンス到来です。慎重にこちらの気配を消してブラインドの陰からゆっくり落ち着いて行動して新たな発見・感動を見つけましょう。

1、翼下面は暗い・黒っぽく見える。 初列風切先端部が丸っこく見えます。

2、腋羽(わきばね)は黒帯と白帯の幅は1対1またはそれ以下で黒の幅が広く暗く・黒っぽく見える。

 

 1画像の腋羽拡大トリミング

 3、次列風切後縁の白帯は極めて細く目立たない。

 羽ばたきや伸びはほんの一瞬の動作でありプロミナーで白帯はほとんど見えることは無い。

 4、嘴は基部が太めで先端ほど細くアイスピック状で頭部の約2倍以下で短く見える。
 冬羽に換羽がほぼ完了、寸詰まり体形、尾羽の突出が小さい。
 上の画像を拡大・反転・トリミング

頭の大きさに対して眼が大きいのも特徴です。



 ハリオシギは畦などの少し乾いているように見えるところで(実際には地中は湿っています。砂利が敷きつめられた乾いた地面ではそのようなことはありません。)嘴を地面に差し込んでミミズを探します。ミミズをくわえて引きずりだして素早く飲み込みます。嘴の形状はそれに適応進化したものと思います。嘴の基部から先端までの勾配に注目です。除草剤で草が枯れているか或いは草が全く無い畔は地中にミミズが居ないのかそのような場所はジシギたちは好まない傾向にあります。但し、草刈り機で除草されている畔はジシギたちが好んで餌場にしています。草が適度に生えている畔がジシギの最高の餌場であり休憩場所でもある。
 5、目先線・過眼線は細い。幼鳥・幼羽 針尾が見えます

 1-4の画像を参照すると目先線は様々です。図鑑的モデルは本当に少ないです。
 6、眉班は目先で極めて広い、頭側線は褐色でバフ色の班が入るが個体差がある。

図鑑的な標準タイプの個体。幼鳥・幼羽から冬羽に換羽 、この顔を覚えておけば必ず役に立ちます。

 頭側線は黒褐色で班はほとんど見られない、目立たない個体。

 茶褐色の頭側線にバフ色の斑点が多く見られる。幼羽から1W換羽中

図鑑的な標準タイプの個体。


 黒褐色の頭側線にバフ色の斑点が多くみられる個体。冬羽


 7、尾羽は通常26枚(24-28)で外側尾羽は6-8対が針のように細く他のジシギのように簡単には
  見えないことが多い。写した画像から形状・枚数をそれと判断することが多い。

外側尾羽の形状と段差の見本的な画像です。


  外側尾羽は重なり合って黒く見えます。一見、チュウジシギ的パターンですが、中央尾羽の先端部
と外側尾羽の先端部に大差があることがポイントです。つまり、細くて短いのが分かります。
 尾羽の枚数、外側尾羽形状

外敵に驚いた瞬間

下と同一個体で幼鳥・幼羽外側尾羽の形状水浴後の羽ばたき、外側尾羽が観えます。

 
 外側尾羽の形状と枚数

 外側尾羽の形状

尾羽を手入れしている

   外側尾羽の形状

 8、尾羽の突出はジシギ中で一番少ない。

 

 9、棲息環境、餌場は畦の上や側面で嘴を土中に差し込み太いミミズを捕ることが多い。水田など湿った所などでもタシギのような餌捕り行動が見られ水浴の前後は水中で休息することがある。
 

 比較的乾いたように見える所でも餌を探す、実際は地面の中は湿っている。

 10地鳴き・鳴き声は飛び立ちに際しクエッとタシギのようなしゃがれ声に似るがタシギよりは短く聴こえる。
 水中には太いミミズは棲息していない 、土手や畔の斜面を好んで突く。
 

 11下列肩羽の内弁・外弁はバフ色で等幅である。幼鳥は内外共に細く白い。ジシギの幼鳥に共通
 

 

 

 ジシギファンにとってハリオシギは憧れの鳥であることには間違いありません。ジシギに夢中になり四度目の秋の渡りを経験しました。タシギ・チュウジ・オオジを覚えればハリオシギは簡単であると思うことがありました。関東ではオオジ・チュウジ・ハリオそしてタシギと少しずつ時期をずらして飛来してきます。ですから時期を考えながら少ない個体数を一羽一羽的確に識別するにはとても良い条件ではないかと思います。ところが南西諸島・沖縄県では個体数が多いこと個体変異が多いので初めは確実に尾羽を確認したものだけハリオ・チュウジと識別していました。今年は撮影だけに熱中することなくプロミナーで個々の識別を詳細(個体識別・幼鳥・成鳥・換羽状態)に観察することを心がけていました。ところがフィールドノートにはそれほど詳細に記録を書いている訳ではありません。ですから時間が経過してから画像を何度も何度も繰り返してチェックして見と段々とそれらはある程度ハリオ・チュウジと分けられるようになります。しかし、やはり???????というのは必ずあるのです。ある時はハリオである時はチュウジとして区別して、そんなことも忘れてしまうこの頃ですから信頼性に必要十分な画像を選択したつもりですがミスジャッジは少なからずあると思います。時間をかけてキャプションや画像は適宜修正の予定です。そんなことですから読者の皆様もいろいろなジシギサイトを参考にして自分の必要な部分だけ消化吸収されることをお薦めします。ジシギの色彩については現在まで個々のジシギ特有の色彩と模様があります。誰でもが図鑑で勉強するように図鑑のモデルを参考にするのは当然のことです。そこには標準的なものから悦脱した色彩・模様・大きさの異なるものが観察されることに驚きました。淡い褐色から濃い黒褐色までの連続した個体はごくごく普通に観察することができます。尾羽の例にあげた個体変異をご覧ください。色彩も模様もサイズもいろいろですね。画像の色彩は太陽光のもとで順光・逆光でも異なりますし日陰の早朝などでも異なります。その辺は適当に差し引いて色を認識して頂ければ幸いです。2008,11,24勤労感謝の日祝日。2011,12,10、2011,12,31一部加筆訂正しました。2022.05.17renewal

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