ハリオシギ・針尾鴫・の尾羽

2007,05の上旬から中旬にかけて舳倉島に行きました。白い謎のジシギを初めとして多くのタシギや他のシギチ、小鳥たちに会うことができました。この季節としては珍しく西高東低の気圧配置で欠航が続く中、行き帰りは予定通りになりました。今年の目標はシマゴマでした。うまくシマゴマに会うことができて嬉しかったです。おまけに謎の白いジシギとも会えて楽しさ倍増の春の渡りでした。そして、ハリオシギの落鳥から針尾を持っている方にそのハリオ・針尾を見せてもらいました。ジシギ大好き人間にとってはこれほど嬉しいことはありませんでした。そして慌てて最後に写させて貰ったのが下の画像です。
提供・笹田幸一様に感謝致します。

 2007,08,26


左側の細い羽は外側尾羽です。25枚ある。

 SHOREBIRDSによると中央尾羽の長さは42-55mm平均48.5mmです。外側尾羽は1-2mm平均1.5mmです。チュウジシギでは中央尾羽は46-57mm平均51.5mm、外側尾羽は2-4mmとなっていま。タシギでは52-63mm平均57.5mm中央尾羽は7-12mm平均9.5mm、タシギの最外側の尾羽7mmプラスマイナスです。
 

追加訂正2010,01,05

ハリオシギ・チュウジシギの外側尾羽それぞれ1-2mm,2-4mmだから平均が1.5mm,3mmという表現は間違っていると考えました。ハリオシギの外側尾羽は最外側が1mmで外側の始まりは2mmということではないでしょうか。同様にチュウジシギは最外側が2mmで外側の始まりは4mmということだ。ということに解釈を変えました。それぞれ外側尾羽は細く・狭くなりハリオでは最外側は針のようになり、チュウジシギではそのように見えることは無い。ハリオシギ・チュウジシギの識別についての考察をお読みください。チュウジシギの外側尾羽は細く見えても内弁・外弁がはっきりと確認できるのが普通です。
ハリオシギでは外側尾羽の先端部は針状ですが中ほどからは内弁外弁があります。2022.05.18追記つまり1-2ミリちいうのは先端部1ミリ、中ほどからは2ミリ程度という事が正確です。チュウジシギでは最外側は2ミリ程度で順次太くなり4ミリ程度の太さになる。オオジシギでも同様です。外側尾羽は幅が変化するのが普通です。

 加筆訂正20100726
この個体の場合はハリオシギの尾羽中央尾羽は10枚・5対。外側尾羽14枚・7対である。画像から計測すると中央尾羽T1は10-11mmと計測できます。
尾羽合計24枚。
 

追加訂正2011,12,03

外側尾羽の幅についてはいろいろと考えが変化しました。ハリオシギでは1-2mmというのは尾羽先端部から20mmでの幅である。という条件がありました。そこでの幅が1-2mmということです。チュウジシギでは同じように2-4mmということになります。この数値は一見するとオーバラップという感じですがそれは全く異なることに気が付きます。ハリオシギの針は先端部分が2mmという形状では無いのです。上の画像から明らかです。そしてチュウジシギでは幅はある程度変化があり、かなり細い2mm前後から4-6mmの幅の変化があるのが普通です。

 図鑑によれば尾羽根は通常28枚で外側の6-9対(通常8対)は針状になっている。上の個体では中の羽が10枚で外側の針尾は15枚ありますが本来は16枚と思われます。針尾は本当に爪楊枝のように細く感じられました。並べていると鼻息で吹っ飛びそうなくらい小さいのです。貴重な資料です。この針尾羽を見に沖縄本島に長期遠征に行きます。
 2007,09,01-10,18まで沖縄本島の水田地帯の有名探鳥地を四か所で取材・撮影してきました。2007,10,27記
典型的なハリオシギ冬羽の個体です。外敵に驚いて警戒のポーズです。他のジシギでもこのようなポーズは観られます。2022.05.18追記

8本は確実に数えられます。

尾羽部分の拡大画像です。あなたは尾羽・針尾を何枚数えられますか。

上の画像の説明です。 
タシギを撮影中に突然この個体が側に着地しました。10m以内の距離でしたから大変な幸運が舞い込んできました。周りにいるタシギに気遣うかのようにジシギ特有の低姿勢で餌を食べ始めました。直感的にハリオだと思いました。フォーカスをこの個体に向けて息をこらして冷静にその時の瞬間を待っていると、突然何かに驚いて尾羽を体に曲げる独特のポーズをしました。いつもタシギを練習個体に常にその時の練習を続けていました。それでも、時々はその瞬間を見逃すことも多々あります。今回は一応その瞬間にシャッターを押しましたが羽の一枚一枚が確認できることはありません。ほんの一瞬の出来事ですから。宿舎に戻りPCを開いて初めて鮮明な針尾には驚かされます。今回も例外ではありませんでした。ハリオと思いつつその瞬間の尾羽がほとんどチュウジシギでした。又チユウジシギと思って撮影していたがPCを開いてハリオ・針尾だと驚いたことも度々ありました。ですから図鑑に書いてあるように本当に尾羽の数と形・色彩を確認しないとそれは自分がハリオだとかチユウジだとかただただ思っているだけであると思いました。色が濃いからチュウジだとか色が淡いからハリオだという一般的な概念は通用しない訳ではありませんが例外も連続的居るということが本当に分かりました。尾羽に確実にピントを合わせてその瞬間を撮影するにはジシギが向こうむきということは手前に尾羽を向けて伸びをしたり警戒して尾羽曲げの瞬間を捉えることが必要です。距離は10m以内なら600mmか800mmで一瞬のチャンスを捉える高速連写が良いです。ニコンD2Hは7コマ/秒ですが、上の画像は5-6枚映っていました。そのなかで針尾が確認できるのはたつた一枚ですから。その瞬間に一枚か二枚では針尾を捉えるには神業になります。近くても・近すぎてジシギが警戒して安心の伸びポーズはしてくれません。こちら向きが多いのは一応レンズに警戒しているからだと思います。こちらを向いて伸びをされても尾羽は全く見えません。横向きでは大抵、翼に隠れてしまいます。そんな良条件はなかなかありません。ただただ観察を続けて待つだけの辛抱が必要です。行き当たりばったりに見つけたハリオは決して尾羽を開くことはありませんから。2007,10.27記。
この時期のデジカメの画素数は400万でした。その後格段の進歩によりバカチョンでも1800万画素の時代です。今はミラーレス、4500万画素が当たり前になりました。筆者は2400万画素が最大ですがこれでもかなりの拡大に耐えうる画質です。どこまで進化するのかは分かりませんが技術は凄いですね。2022.05.18追記
 

2011,12,03追加
この個体は兄弟か姉妹のように仲良く行動していました。長く観察していたので至近距離から日光浴をしているところを観ることができました。時折尾羽を広げては居眠りを始めるほど平常心で安心の一時でした。そして何度も尾羽を見せてくれたのでした。

 

典型的なハリオシギの幼鳥・幼羽の個体です。外側の針尾が数本見えています。先端部が針状のように尖っていて少しずつ幅が広くなります。形状をよく理解してください。
 

 関東で秋の渡りに観察されるのは殆どが下記の個体です。平常心でタシギも俺もです。標準的な個体です。これを覚えておくと間違いありません。2022.05.18追記

下の画像は現場・フイールドで観るのは余程のことが無い限り不可能です。但し、尾羽をこのように手入れを始めたら連写すべきです。お宝画像が得られることが多いのですジシギマニアは御存じと思います。針が分かりますか。探してみましょう。2022.05.18追記先端部が白く中ほどは黒いです。

中央尾羽と外側尾羽・針尾の重なり具合が分かりますね。初心者ではこのような画像を見逃してしまう事も多いと思います。ジシギ画像のオリジナルは長期保存をお薦めします。ジシギ識別は年々スキルアップするもので考え方見方がどんどん変わるのです。

 下の個体は尾羽・中央・中間が換羽中・伸びつつあります。その為に針尾が突出して
見えています。外側尾羽・右側の重なり具合がよく分かります。

前回掲載の画像はチュウジシギでした。見破った方は凄いですね。他の画像でははっきりとチユウジシギ的幅広の暗色外側尾羽一本でした。

 

 上のハリオシギの尾羽の拡大画像 尾羽の重なり、段差が分かりますし、細さ短さが確認できる。2022.05.18追記先端部は白く中ほどは黒い。


拡大してもハリオ・針尾は細いのです。

 以下の個体はチュウジシギです。ハリオシギと誤認の瞬間です

ハリオシギ的に観えますね、しかしよく観ると・・・・・
 ということで、良く見るとチユウジシギでした。明らかにチュウジシギの外側尾羽です。このように見間違いは本当にあるのです。証拠は多いほど良いのです。

 by HappyChappy2009,01,31加筆
2010,01,05追加訂正
2011,12,03追加訂正画像追加12,08画像12,14変更

追加
Golden Snipe Gallinago Aurum キンジシギ 黄金地鴫 
2022.05.18 renewal
 
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