ジ シ ギ 入 門 編
 初心者の為のものです
 Golden Snipe Gallinago Aurum  キンジシギ 黄金地鴫
2022.06.20by HappyChappy
 ジシギを いつ どこで なにを どうやって 観るか+識別知識
 少しずつ書き足していきます・・・・2022.06.27日完成までは少し時間がかかります。
 いつ・時季・季節・暦月

時季は春と秋の渡り、春はおおよそ3月から5月上旬、秋は7月中旬から10月いっぱいまで観られる。タシギ、チュウジシギやハリオシギオオジシギが観られる。
繁殖期は5月から8月末頃まで本州の高層湿原、北海道平地、原生花園や草原など。繁殖するのはオオジシギだけです。
越冬期、11月から3月末頃まで。タシギとアオシギ。

春と秋の渡りではタシギ、ハリオシギ、チュウジシギ、オオジシギが観られます。秋の個体数は圧倒的に多いです。ハリオシギは西地区・九州の通過が多いです。関東ではほぼ珍鳥扱いです。


 どこで・環境・場所

ジシギは水辺や湿地、草地に生息する。種毎に少しずつ異なる。

渡りの時季は水田や休耕田や農道、畦などの草地が多い。

水田、水路、その周辺の湿地など。アオシギでは渓流から里山の小川まで生息するが少ない
遊水地、都市公園の干潟のある葦原など。
 なにを・どんな種類・

タシギ・ハリオシギ・チュウジシギ・オオジシギ・アオシギが観られます。それぞれ難易度は異なります。識別点も同じ。
タシギの個体数が圧倒的に多いので観察するには最適です。タシギからジシギの事を学ぶ、そしてタシギとの共通点、相違点など自分で区別して書けるようになれば最高です。次に見易いのは繁殖期のオオジシギです。繁殖期に繁殖地に行けばディスプレイフライトや地上、樹上、構造物などに止まりディスプレイするのが観られます。勿論、春と秋の渡りでも観察できますが、時季・暦と場所、環境を正しく選択する必要があります。7月中旬から8月末頃まで、成鳥、幼鳥の順に渡ります。時季はあっという間に終了しますから見逃さないように計画的に出かけてみましょう。春と秋の渡りは移動ですから天候にかなり左右されます。ジシギは雨が大好き、と筆者は思います。それは草地の地面の中に生息するミミズは穴を掘って生活している。雨が降り続くと穴は水に埋まり呼吸困難になるらしい、そこでミミズは地上近くに、そして這い出してしまう。ジシギたちはこの行動を熟知している。としか思えない行動をします。これも筆者が長年の観察から導き出したものの一つです。或いは他の理由かも知れません。


 どうやって観るか

野鳥観察の経験があるという前提で話しは勧めます。バードウォッチング入門者は日本野鳥の会などの自然保護団体のホームページなどを参考にしてください。双眼鏡があれば便利です、更には20-30倍の接眼レンズ付の望遠鏡があれば更に便利です。ジシギは憶病であると同時に警戒心が強いのが普通です、その為に近づいて観察することは容易ではありません、そこである程度の距離でジシギたちが警戒せずに安心して観察するには望遠鏡が最適です。

経験が深まると記録、撮影、録音、動画など様々な方法があります。デジスコ、コンパクトカメラからデジタル一眼まで財力体力に応じて。服装もある程度大事です。野鳥観察では目立ちにくいものが基本です。ジシギ観察は更に地味で目立ちにくいものが最適です。筆者は元々ワークショップの作業用物を着用することが多いです。最近はホームセンター、ワークマンなどオシャレで低価格な衣料が山ほど売られている。それは活用に値します。つい昨日は秋のジシギ観察用に廃タイヤリサイクルで作られた防水サファリシューズを買いました。秋の長雨でブランド品のゴアテックストレッキングシューズは泥だらけになります。そこで価格を気にしないワークマンに買い足しました。好みもいろいろありますが、男性用だけでは無くて女性用も最近多く売られています。


 +識別知識

タシギは観察会などでも普通に観られます。多分、リーダーもタシギを見つけたらいちいち識別ポイントを説明はしてないと思います。誰もが知ってるタシギですから。ではどうしてタシギでしょうか⁇に対して識別点を応えられるのはほんの一部のリーダーやベテランバーダーだと思います。どんな図鑑でも識別ポイントは書いてあります。写真図鑑ではなかなか全ての識別ポイントを写した画像を掲載しているのは少ないか殆ど無いと思います。しかし、イラスト図鑑ではその識別ポイントを描くことができるのでほぼ掲載していると思います。どちらを使用するかは利用方法です。二冊あると便利です。更にはヨーロッパやアメリカの図鑑もかなり役に立ちます。その他の種ごとの図鑑なども探してみましょう。
さて、先ほどのタシギの識別点ですが少し離れた湿地で採食する個体が居ます。嘴を素早く垂直に上下して餌を捕食している。簡単に識別点を広げて見せてくれたり、尾羽を広げたりすることは簡単には観られないです。が、リーダーたちはタシギです。というには確たる情報があるからです。例えば12月の頃の河口近くの湿地で採食するジシギが居た。それはタシギで間違いは無い。つまり個々の識別点も大事ですが、時季、場所、行動などによって種の特定ができるのです。凄いと思えるでしょうが、経験を重ねればそうなれます。そして肝心の識別点まで分かっていれば鬼に金棒でしょうか。これからジシギを始める、ジシギビギナーには難しいかも知れませんが観察の馴れ、回数、積み重ねでタシギはタシギと認識できるまで、観察会や単独で観察を続けてみましょう。先ほどの条件はいろいろあります。タシギは5月上旬頃にはほぼ北上して繁殖地に行きます。そして秋には早い個体は別にしてもおおむね8月下旬から9月初旬には群れで渡る季節です。タシギが観られない、居ない、時期は5月上旬から8月下旬頃になります。例外はありますがこの時期以外は観るチャンスがある。ということです。もっとも数が多いのは秋の渡りで幼鳥が南下するからです。一部は越冬地に残りますが日本国内よりももっともっと南の国まで南下していきます。タシギはタシギと分かりましたか⁇。それでは次に進みます。タシギを完全にマスターするには識別ポイントを自分で確認することから始まります。何故なら、その識別ポイントを押さえて初めてタシギはタシギ。タシギでは無い他の種という判断ができます。渡りでも越冬地でもいろいろな個体で識別ポイントを確認してみましょう。これまでもなんども書いていますが、図鑑には標準的な事しか書きません。例えばタシギの過眼線・目先線は黒く太い、嘴基部では目先線が太く眉班は細いと書かれている。しかし、フイールドにはいろいろなサイズのタシギ、色彩豊かなタシギが無限大です。その中には、あれ・・・目先線が太くない、途切れている、細め、などなど図鑑とは異なる。判断は混乱する、でもタシギのようだ。つまり規格外の個体はかなり居るのです。それでもタシギである。と認識できるには更なる経験だけです。納得すれば即大丈夫です。ここでは規格外でもタシギと認識できる識別力量が試されるのです。些細な変異を追及することで識別力量はどんどん前進します。それには1シーズンや2シーズンで卒業は難しいかも知れませんが必ず理解できる情況になります。そうすればタシギは完全にマスターしたことになります。それでは問題です。自由問題です。タシギについて知るところを自由に書いてみましょう。自分が知り得た知識とフイールド経験から文字数は無制限です、枚数も無制限です。タシギだけで一冊の本ができるほどの知識を身に着けたら言う事なしです。識別論でも良いし、フイールドのエピソードでも良いし、それらが融合して読む人が楽しく成れば最高ですよ。入門はここまでです。各論は少しずつ学習してみましょう。


 1.タシギを探して観よう

秋の刈田でも湿った水が溜まる場所が採食、休憩場所です。

それではタシギを探しに行きましょう。観られる季節は春と秋の渡りと越冬期の冬(11月)から春(3月末)です。それでは秋の渡りのタシギを探して観ましょう。タシギの秋の渡来は8月下旬頃から始まりますが群れが渡るようになるのは9月が多いように思います。地域差にもよるがほぼ9月の上旬から群れが断続的に観られます。少ない日はほんの少数か或いは見つからないという事もあります。天候にもかなり左右されますが天候が続くと渡りは順調に進んで途中で滞在することは極めて少なくなる。反対に天候不順の後、翌日はかなりの数のタシギが群れで移動しているのが観られます。具体的には9月初旬の雨の翌日に田んぼに行きます。農道をゆっくりと歩いて観察します。観察ポイントはコンバインの刈り取った後の田んぼ、刈田、或いは休耕田でも湿っているような場所を丁寧に観て歩きます。刈田からタシギが次々に飛び立ちます。足を止めて、飛び立ったタシギを双眼鏡で追う。地鳴き、飛び方、翼下面、次列後縁白帯の全てか、一部でも観察できれば最高です。刈田から次々に飛び立つタシギはフイールドの上空で旋回しながら高度を上げる。翼下面が淡色なので曇天の空には擬態したように観えなくなってしまう。観察中はその飛ぶ方向を見失うことが無いように追い続けましょう。以外にも見失ってしまうことが多いです。時には飛び立った群れが上空で合流して大きな群れを形成する。そんな飛翔を青空で撮りたいと思うこの頃です。群れだから望遠でも広角望遠、又は遠くに離れた群れを撮る、という風になる。渡りは移動が目的です。一方、刈田の二番穂の間に伏せて擬態するタシギが残っている事がある。100パーセント飛んだと思いながら歩くと更に飛び立つのに驚かされることがある。その為、タシギは飛んだから居ないと諦めず田んぼが終わるまでは探して見ましょう。運よく、刈田で伏せて居るタシギは警戒して稲株に身を寄せて擬態しているからほぼ警戒状態です。いつでも飛び立つ準備中です。一応そのような個体でも上半身だけでも観察してみましょう。ある時は、人に警戒はしているが身を伏せることは無く、ペンギン立ちのように首を伸ばして株間から半身でこちらを伺っていることがある。こちらもあまり動かずにじっとしていれば同じ姿勢を続けてくれる。但し、警戒心が強まったら飛ぶか、株間に身を隠してしまう。相当な距離があり人を認識しても警戒はしているが隠れることも無く採食しているなら安心して観察が続けられます。その場所では何を捕食しているのかよく注意して観察してみましょう。偶然にも何か自分が隠れるようなブラインドがあると観察には最適です。そこなら長時間の観察が可能になります。秋の渡りはあっという間にピークが過ぎて行きます。ぱらぱらとタシギが渡り、突然に群れが幾つも渡る、この時がピークです。これが年によって一度か二度か変化しますが大凡上旬から中旬には観られる筈です。

春の渡りは3月から5月上旬ころまで続く。

冬の越冬地の観察を続けていると、フイールド内の個体数が10羽ほど居る事が多いです。定期的に観察しているとその日その日で観察できるのは半数の5個体程度です。3月から少しずつ個体が増減します、観たような顔、見慣れない顔、が出たり入ったりする。観察される場所はほぼ特定されるからその日に観られなくとも何日かに一二度観られることがある。しかし、桜が咲き始める頃にはちょっとずつ減り続ける。ある日突然に越冬では観られない場所にタシギが居る。これは明らかに渡りの個体です。そして何日も滞在することなく観られなくなる。4月なら既に夏羽・繁殖羽になっている。これが観察ポイントです。ぜひ、夏羽の羽衣を納得するまで観察しましょう。春でも群れが渡りますが秋よりは少ないように感じます。

越冬期間10月から3月頃まで、越冬タシギを探し観よう

秋の渡りが続く9月から順次越冬地が定まる。秋雨前線による秋の長雨が始まる。田んぼはコンバインがどんどん進んで行く。雨が降らなければコンバインは稼動する。天日干しでは無く機械乾燥で温風乾燥が進んでいるから。10月にはほぼコンバインは終了する。
それでもコンバインの開始から終了まで1け月ほどの差がある。先に終わった田んぼは二番穂が伸びて更には実を着ける。それらは小鳥たちの重要な餌にもなっている。その年の降雨、降水量にもよるが田んぼは乾いたり、水が溜まったりする。タシギたちはそんな場所を上手く利用して採食、休憩、隠れ場所などに利用している。田んぼは餌もあり、乾かなければ採食可、二番穂は擬態の最高の隠れ場所。水路も水が溜まり、流れが有れば泥地がある。そこをタシギたちは上手に利用するが、開けすぎて上から丸見えではタシギたちは安心して採食は続けてはいられない。猛禽類の襲撃があるから。適度な木立や土手に生えた葦原があれば適度な隠れ場所になるから利用する事が多い。以外にも三面舗装のコンクリート水路でも泥の堆積があると利用することが多い。筆者はこの三面コンクリ水路が主な観察地として観察している。
 タシギを完全にマスターする

JIZZでタシギはタシギと分かれば一応合格でしょうか。勿論、脳内AIには識別ポイントは整理されている。それが前提です。そうすればタシギでは無い、と判断できるようになります。最低限の識別ポイントだけでは深みは全くありませんから、自身のフイールド経験により、図鑑には無い他の書物などにも無いような小さな発見が一つ二つ三つと積み重なればもう残すはスパイラルアップだけです。フイールドで経験を重ねて同時に他のジシギの識別と観察を習得しましょう。タシギと同様にJIZZで他のジシギを識別する。フイールドの実際の個体と画像による個体の識別は本質的に異なります。この違いが分からないと先には進めないです。つまりフイールドではそこに居るだけで時季、暦月日時間、場所、地域差、その個体は何をどうしていたのか⁇などの隠れている情報は画像一枚からは読み取り不可能ですが、場合により記載されることもある。フイールドと画像一枚の差を端的に表現したものです。一枚の画像でもそれがはっきりと種が特定されるほど特徴が写りこんでいるなどの要件を満たせば識別は可能になることもある。野外では観察しながら種を観てこうだ、と決めるのも理由はある。しかし、誰にも凡ミスはあります。そう思っていても違った判断をすることもある。そう見えてしまった、など細かな事は沢山あります。特に似た者同士のチュウジシギとオオジシギは本州ではかなり類似することが多いので要注意です。識別知識の最後の箇所にタシギについて無制限でまとめてみてください。これが一冊のノートほどに成ればタシギ完全マスターです。
 タシギの何を観るか

観察は形態など識別から入るのが普通です。同時に識別を学習しながら行動観察がとても面白いですし同時に図鑑には書いてない事の新しい小さな発見こそが最大の喜びです。このようにして得られた情報は記録として残し公開することで他のジシギウォッチャーの参考になること間違いないです。そんな行動からそれを確認する観察が多く成れば別の発見に繋がるのです。より多くのウォッチャーが楽しくより多く参加できるような機会が増えれば更に発展します。採食は環境により地域差などもあるに違いありません、当地での普通のことは別の地では不思議かも知れないのです。だから面白いのです。例えは゛、識別は全国共通な筈です。ところが行動、採食の餌は時と場所により千差万別です。タシギたちは何処でも餌を食べなくてはならないから。その場所で捕れる餌だよりです。渡りの海岸などでは何を食べるのか知りたいですね。生態行動なども全国共通でしょうがそれも地域差があるかも知れません。そんな細かな事まで分かるようになれば良いです。
 識別に関わる事でも

飛び立ちでジェーッとしゃがれ声・ハスキー、一声或いは複数回鳴く。勿論、飛びながら鳴き交わすことも普通にある。この声とタシギの飛び立ち、飛翔形態、などは絶対的に理解しなければ他のジシギとの区別はできない。タシギは他のジシギの標準、ものさしのようなものです。これを良く理解する。飛び立ち体を左右に傾けながら翼上面、翼下面を見せながら上空を旋回する。必ず飛び去るとは限らない。元の場所、或いは近くに再度降りたり、少し離れた場所に降りたりといろいろなパターンがあることを知る。飛び立ちの後も近距離、旋回飛翔、飛び去るなどいろいろなパターンが観察されます。これは渡りや越冬期間などにより様々な行動を魅せてくれると思います。一度ずつパターンを記憶しておく、どんどん情報が蓄積する。整理すればある形が見えてくる。降りた後の行動はこれも不思議な行動がある。たまたま近くに降りた場合は双眼鏡で追える。すると殆どの個体は着地、素早く走ってその場から離れる、草地や畦際などの見にくい、擬態し易い草地に隠れる、擬態するから先ず見つけるのは困難である事が多いです。稀には鈍感でその場に伏せるだけの個体も居ますが、これでも地面の濡れた土黒と藁株の枯草の中では動かなければ見つけられないです。見つけても観察者が不用意に近づいたりすると、あっという間に飛び去ってしまう。草地に隠れたタシギは先ず動かない、じっと伏せてほぼ擬態、状態になる。タシギが飛び立ち近くに50-100m程度、近い方がよりはっきりとその場所の特定がし易い。そんな時は今日は一勝、一敗など自分の発見に勝ち負けをつけて楽しんでいる。連敗続きも時の方が圧倒的に多いです。皆さんも試してみましょう。採食場所の近くには水が有ることが多いです、そこでは真冬と言えど水浴が行われます。全身を水入れて翼をばしゃばしゃする、何度も繰り返す、そして今度は濡れた水を切る、羽ばたく、又羽ばたく、嘴で羽毛の水を拭うなど丁寧な羽繕いが始まる。こんな光景が観られるのはタシギが周りに外敵が居なくて安心な場合いに限られる。じっくりと観察しながら最後まで観ているのが楽しくなる瞬間です、更に行動は続きます、尾羽の根元に油脂腺がありみこに嘴を当てては羽毛をしごきます。翼や尾羽や肩羽などに油脂を塗り防水を高めているのです。この動作が一段落すると多分近くの陸地で休憩時間に入るのが一般的です。しかし、冬季では餌が不足しているから採食を続けることもある。採食から休憩、水浴、羽繕い、この一連の流れをよく理解していれば次の行動が分かってくる。それがここで知るべきポイントです。観察では次の行動を予測できれば意外とポイントが獲得できるのです。
 
 
 
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